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藤村隆史論文ヒッチコック・ホークス主義


ハワード・ホークスを起動させる


①映画開始時既に運動が起動している作品 29(主人公以外の職業的運動も含める)


「無花果の葉」(1926)原始人が狩りをするところから始まる

「港々に女あり」(1927)船乗りたちが雨の中ヨットを操舵するところから始まる                        

「ファジル」(1927)アラブの王子が捕まえた脱走兵を連れ戻すところから始まる

「暁の偵察」(1930)陸軍飛行隊の飛行士が戦闘するシーンから始まる 

「暗黒街の顔役」(1931)ギャングが敵を暗殺するところから始まる(映像は街灯が消されギャングのパーティが終わった明け方から始まるが暗殺まで長回しで撮られているこのシークエンスは「暗殺すること」のために撮られているのであり最初の街灯が消えるショットの時、既に暗殺者は殺害の準備をしていることになる)  

「奇傑パンチョ」(1934)政府軍が農奴たちの土地を取り上げる告知するところから始まる。 

「特急二十世紀」(1934)役者が舞台稽古をしているところから始まる                            

「バーバリ・コースト」(1935)船乗りが海に錨を放り投げるところから始まる

「無限の青空」(1935)航空貨物会社の司令室で通信官が飛行士と交信しているところから始まる                 

「永遠の戦場」(1936)戦時中、伝令が上官に命令書を持ってくるところから始まる                        

「大自然の凱歌」(1936)木こりが伐採した材木を馬車で運ぶところから始まる                         

「赤ちゃん教育」(1938) 考古学者が恐竜の骨について考えているところから始まる                      

「ヒズ・ガール・フライデー」(1939)新聞社の記者たちと電話交換手嬢の日常的業務活動から映画が始まる              

「ヨーク軍曹」(1941)信者が教会で歌を唄い牧師が説教するところから始まる                       

「空軍」(1942)空軍の通信室の通信兵が暗号を受け取りそれを情報局に届ける所から始まる                   

「脱出」(1944)船長が出航許可をもらいに行くところから始まりそのまますぐに出航する                  

「三つ数えろ」(1946)探偵が依頼人の家を訪れる所から始まる

「赤い河」(1946)牛追いが牛を移動させるところから始まる

「ヒット・パレード」(1947)音楽教授たちが演奏するシーンから始まる                          

「僕は戦争花嫁」(1949)軍人が任務のためにタクシーで軍へと向かっているところから始まる

「遊星よりの物体X」(1951)新聞記者が取材のため基地に訪れるところから始まる。                

「モンキー・ビジネス」(1952)製薬会社に勤める博士が開発中の薬について考えながらドアを開け家を出ようとするところから始まる                            
「紳士は金髪がお好き」(1953)歌手でダンサーが歌って踊るシーンから始まる                       

「ピラミッド」(1954)戦争に勝ったファラオの王が凱旋帰国するところから始まる                       

「ハタリ!」(1961)ハンターが双眼鏡で獲物を探すところから始まる                             

「男性の好きなスポーツ」(1963)釣り具店に勤める男が出勤途中に女の車にあおられたあげく駐車スペースを占拠されるところから始まる(出勤行為は任務に含まれる)                

「レッドライン7000(1965)休暇から戻ったレーサーが車を運転してレース場にやってくるところから始まる(出勤行為は職務行為に含まれる)                          
「エル・ドラド」(1966)保安官が被疑者に尋問するためにホテルへ向かうところから始まる                   

「リオ・ロボ」(1970)北軍大佐が金塊輸送列車を護衛するところから始まる 

②映画開始後に運動が起動する作品 8

「光に叛く者(1930)刑事たちがカードゲームをしているところから始まる(すぐ事件を告げる電話が入って任務へと向かうので職務行為との密接性はある)

「虎鮫」(1932)漁船が遭難したニュースの書かれた張り紙を港の者たちが見入るシーンから始まる              

「今日限りの命」(1933)イギリスに船でやって来たアメリカ人が入国検査を受けるところから始まる               

「コンドル」(1939)女が港に降り立ったところから始まる  

「ならず者」(1941)親友の医者が町へやって来た情報を得た保安官が彼に会いに行くところから始まる(保安官の任務ではない)           
「教授と美女」(1941)教授たちが日課の散歩をするところから始まる(学者のゲーリー・クーパーは本を読みながら歩いており職務行為と言えなくもない)

「果てしなき蒼空」(1951)森の中で何かが動いたのでハンターが探しに向かうところから始まる(既に獲物を探しているところから始まるのではないが職務行為と密接しているので①とも言える)

「リオ・ブラボー」(1959)ガンマンが酒場で酒をたかるところから始まる(酒浸りの男が酒をたかるところから始まる、とすれば「職業」運動となり①となる)