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藤村隆史論文ヒッチコック・ホークス主義
バスター・キートン機能・運動連関表 日付は2014年のデータを取った日。
■「キートンの恋愛三代記」(1923)48分 (シークエンス交代ごとに番号をふる。)5/18
石器時代 ①岩は人が座るため。ふところは物を入れるため。石板が名刺に。カメは占いの札に、また人を噛むため。棍棒がゴルフクラブに。石がゴルフボールに。石は人に投げ当てるため。②崖は人が滑り落ちるため。岩は人が寄りかかるため。髪は風に揺られるため。服は引っ張って人を引きずるため。女が寝そべるのは立って大女になるため。石、人は崖から川へ落下して水しぶきを上げるため。③女と戯れるのは決闘するため。足の甲が枕に。石がメモ帳に。這いつくばるのはお尻を叩かれるため。棍棒を投げ置くのは敵に反則を知らせて象に引きずられるため。④サボテンはお尻に敷くため、また投げ棄てるため。木々は風に揺られるため。水溜りが風呂に。石がブラシに。一同がキャメラに向かって議論するのは後ろで女を引き上げるため。人は担ぐため。石は落とすため。木がてこに。石が野球のボールに。棍棒がバットに。人は踏んづけため。キートンは飛ぶため。女の髪は引っ張って女を引きずるため。
古代ローマ時代 ①香は煙を吐き出すため。日時計が腕時計に。戦車をとめるのは駐車違反でとめられないため。冠が車留めに。神輿は落とすため。②一階で演奏するのは二階から花瓶を落とされて頭にぶつけられるため。女との戯れがグレコローマンに。③女を抱くのは男を怒らせ戦車レースをするため。階段は人が座るため。馬が点火プラグに。馬車が犬車に。犬車は人が押すため。地面は煙を撒き散らすため。スペアタイヤがスペア犬に。猫は犬に追いかけさせるため。馬車は人が落ちるため。手綱は投げ置くため。猫がエンジンに。壁は人が寄りかかるため。歩くのはライオンのいる穴に落ちるため。④ナイフは投げ置くため。骨はライオンの手を磨くため。ライオンが枕に。人はぶつかるため。盾は槍をひん曲げるため。槍が棒高跳びの棒に。馬は人が立って乗るため。女が二階で襲われるのは高跳びで突入するため。柱は倒して建物を崩壊させるため。槍は人が伝うため。
現代 ①溝は車を分解させるため。ハンドルは投げ棄てるため。電話は男をおびき出すため。肘掛けは指でつつくため。知恵の輪はほどけるため、また投げ棄てるため。帽子は投げ置くため。父親は娘の結婚を決めなられないため。帽子は帰宅を指示させるため。花びらはひきちぎり投げ棄てるため。ハチは刺されるため。②帽子は振るため。車は人が隠れるため、また煙を吐き出すため。水差しに酒を入れるのはキートンを酔わせて女を口説かせるため、また居眠りさせるため。レストランは髭を剃るため。胡椒はアフターシェイビングクリームに。布巾は投げ棄てるため。タバコは煙を吐き出すため。椅子は人が飛び乗るため。カニの足がハサミに。ローソクはマッチを擦るため、また投げ棄てるため。タバコは投げ棄てるため。カップルが喧嘩をするのは男に偽の手紙を書かせてキートンを襲わせるため。テーブルは倒してぶちまけるため。車は人が通り抜けるため(2回)。③ポスターは破って張り直すため。キートンは潰されるため、また棒になって倒れるため、また回されるため、また引きずられるため、また運ばれるため。ポジションは代わるため。股間は人がくぐり抜けるため。キートンが靴ひもを結ぶのは服のポケットに酒瓶を入れさせて警察に連行させ(禁酒法時代ゆえ)結婚詐欺師の書類を見るため。④結婚は詐欺に遭うため。男がキートンに新聞を渡すのは結婚式で新婦を連れ去らせるため。電話ボックスは揺れるため。キートンが電話をかけるのは電話ボックスごと脱出させられるため。逮捕された男は警官を遠ざけるため。荷台は人が転げ落ちるため。高層ビルが高飛び込みに。ビルの壁は伝い落ちるため。屋根がクッションに。配管はしがみついて回転させ部屋に飛び入るため。窓は人が出入りするため。消防車は人が座るため、またタクシーに。火事は煙を吐き出すため。地面は人が滑るため。結婚式は新婦を逃亡させるため。2台の車は取り違えるため。帽子は放り上げるため。帽子は脱ぐため。
■「荒武者キートン」(1923)71分 ジャック・C・ブライストンと共同監督 6/2
雷は光を点滅させるため。雨は降り注ぐため。帽子はランプを叩き消すため。銃は光るため。木々は風に揺られるため。ドアは人が寄りかかるため。衣服は風に揺られるため。壁は人が寄りかかるため。椅子がベッドに。帽子は手紙を入れるため。地面は煙を撒き散らすため。ドアは二つに割れるため。相続は事件を起動させるため。汽車は煙を撒き散らすため。カバンは放り投げるため。娘は乗り遅れるため。帽子は脱ぐため。娘が馬車に乗るのはキートンを家に招くため。帽子は振るため。木々は影を落とすため。石が椅子に、また投げて薪を拾うため。犬は汽車の遅さを露呈させるため。汽車の揺れは帽子を潜らせるため、また娘を男にしがみつかせるため。木の枝は運転手の顔に引っかかるため。ロバは汽車を止めて線路を移動させるため。帽子は落ちるため。炉がレンジに。汽車は道路を走るため。後輪は外れたあと戻ってきて人々をなぎ倒すため。肩が枕に。牛はトンネルで汽車を止めるため。トンネルは乗員を真っ黒にさせるため。ポイントを切り替えるのは客車に機関車を追い越させたあと機関車を客車に衝突させて乗員を振り落すため。居眠りは機関車を追い抜いたことに気付かせないため。顔が鏡に。汽車どめはなぎ倒すため。帽子は蹴り落とすため。家の場所を聞くのは仇に身分を知らせるため。銃は手に入らないため。夫婦喧嘩は止めに入って殴られるため、またキートンを逃がすため。老人は家を教えるため。家は爆破するため。ドアは倒れ柱は崩壊し屋根は落ちるため。カバンは投げ置くため。銃は煙を吐き出すため。銃を撃つのはキートンに当たらないため。壁は人が隠れるため。銃は発射されないため。傘は投げ置くため。夫婦喧嘩は止めに入らないため。釣りをするのはダムを爆破してできた滝の裏に隠れるため。釣竿を投げ棄てるのは当たりを来させて池に飛び込むため。岩はその上に座るため、またベッドに。傘はダムの水を避けるため。大きな魚がかかるのはキートンを滝つぼに引きずり戻すため。階段はつまずくため。仇がジェントルマンなのは家の中でキートンを殺せなくさせるため。兄弟の立ち話は盗み聞きされるため。お祈りは片目を開けるため。召使いはお盆をひっくり返して水差しをぶちまけるため。ナイフを研ぐのはキートンを怖がらせるため。扇は落として拾わせるため。握手は帰りたくないため。帽子は投げ隠すため。犬は帽子を探すため。犬の芸は帰りたくないため。尻尾は引っ張るため。犬が外へ出るのは出られないため。雨は人を帰れなくさせるため。ピアノは人が寄りかかるため。ドアは出て入るため。ピアノを弾くのは楽譜を風で外に飛ばしてキートンに取って来させるため。暴発はキートンを転ばせるため。クローゼットが開いているのはキートンを女装させて家から逃がすため。ドレスのお尻が開いているのは変装をばらすため。汽車は飛び乗るため。馬を横付けするのはキートンに奪われるため。スカートが目隠しに。傘は放り落とすため。馬は人が落馬するため。傘は馬をキートンにするため。岩は人がしがみつくため、また踏み落とすため、また人が伝うため。木は人がしがみつくため。川は人が落下するため。仇がロープを投げるのは2人でつないで引っ張り合いっこするため、また汽車に切らせてひっくり返って川に転落するため、また流木につなげて命綱にさせ娘を救出させるため。汽車はキートンを引きずるため、またキートンに乗っ取られて川に転落しイカダになるため。ロープは投げつけるため。木は人が寄りかかるため。二両の列車はキートンを股裂きさせるため。女が水辺にいるのは流されるキートンをボートで追跡して溺れるため。岩はキートンをでんぐり返しさせるため。ツタがロープに。流木は人がしがみつくため。ロープを切るのは切れないため。岩はしがみつけないため。ダムを爆破するのは激流に流されるため。滝は娘を救出するため。牧師が宿泊するのはキートンを結婚させるため。ドアの枠は人を隠すため。ドアは人が隠れるため。銃はテーブルに置くため。キートンが水浸しになるのは毛布をかぶせて銃を隠すため。髭は触るため。
■「キートンの探偵学入門」(1924)44分 6/5
本は指紋を押すため。歩きながら本を読むのはゴミにつまずくため。髭は取るため。ホウキは看板を掃くため。カウンターにホウキを置くのは紙をくっつけるため。紙は手足にくっつけるめ。観客は紙を足に付けて去るため。ホウキは投げ置くため。3ドルの品はキートンに一ドル探させるため。掃除は一ドル失うため。壁は人が寄りかかるため。1ドルの品を買うのは1を4にして犯人にされるため。懐中時計は盗まれるため。指は間違えるため。バナナの皮は投げ置くため、また人が滑るため、また投げ棄てるため。帽子は脱ぐため。色男が女の手にキスするのはキートンをバナナの皮で転ばせるため。本を読むのは質札をポケットに入れられるため。服は叩きつけるため。身体検査は犯人にされるため。指輪を贈るのは返されるため。タバコは煙を吐き出すため、また投げ渡すため、また投げ棄てるため。尾行がモノマネに。コンテナは人が隠れるため、また人が挟まれるため。汽車は煙を撒き散らしてキートンに浴びせるため。柱は顔をぶつけて帽子を落とすため。列車は人を閉じ込めるため、また屋根の上を歩くため。給水管はしがみついて水を浴びるため。服は投げ置くため。マッチは投げ棄てるため。色男が質屋の前でタバコを吸うのは面通しされるため。居眠りは夢を見るため。スクリーンは人が出入りするため。舞台は人が転げ落ちるため。椅子は人が転げ落ちるため、また消えて人を転倒させるため。車、通行人、列車はよけるため。砂山、岩は人が座るため。波は砕け散るため。砂は頭から突っ込むため。木は人が寄りかかれないため。爆弾は煙を吐き出すため。ビリヤードの球は爆弾に。椅子がギロチン台に、また人が乗るため、また人が座らないため。酒が毒に、また交換されるため。キューは人をつつくため。キューを磨くのはその隙に爆弾を台に置かせるため。爆弾の玉は当たらないため。キューはポケットを叩いて玉を出すため、また投げ置くため。ボールは叩き置くため。毒は吹き散らすため。ビリヤードのボールは蹴るため。カーテンは風に揺られるため。鏡は人が通り抜けるため。金庫が玄関のドアに。車、路面電車は通過するため。電柱は人が隠れるため。ドアは鼻をぶつけるため。帽子は人物を特定するため、また投げ置くため。タンスは人が隠れるため。屋上に監禁されるのは遮断機にしがみついて車に乗るため。座席は滑り落ちて隠れるため。銃は人を殴るため。懐中時計を盗むのはコインと交換するため。木々は風に揺られるため。窓は人が出入りするため。洋服箱は飛び込んで変装するため。服が目隠しに。地面は煙を撒き散らすため。人は人が通り抜けるため。壁は回転するため。ハンドルが椅子に。水溜りは運転手を振り落すため、また水しぶきをあげるため。ハンドルに座るのは運転手の不在に気づかないため。荷物は投げ落とすため。道路工事はキートンに砂をかけるため。綱引きはキートンに引きずられるため。ベンチは人ごとなぎ倒されるため。人は引きずられるため。トラックが橋に。橋は崩壊するため。倒木は爆破して煙を吐き出すため。通行止めは壊し破るため。車は煙を吐き出すため。農耕機はすり抜けるため。踏切は汽車をかすめるため。丸太はキートンを飛ばしてダイブさせるため。机は人が寝そべるため、また座るため。壁は突き破るため。キートンが跳び箱に。窓際に車を横付けするのはキートンたちを逃がすため。背もたれは座って急発進でひっくり返るため。銃は煙を吐き出すため。車は飛び乗るため。車のサイドは人が乗るため。車は爆破して煙を吐き出すため、また人を転げ落とすため。車はヨットに、また沈むため。川は転落して水しぶきをあげるため。オープンカーのシートは帆に。水面は波紋を生じさせるため。椅子は人が転げ落ちるため。映写機は煙を吐き出すため。映画は模倣するため、また模倣できないため。映写室の窓はフレームに。
■「海底王キートン」(1924)ドナルド・クリスプと共同監督 58分 6/19
草は風に揺られるため。新婚旅行の車は結婚を決意させるため。風呂は服を着て入るため。服は体に。車はUターンするため。プロポーズは船旅に出るため。チケットは破るため。門は数字を隠すため。カバンは落とし置くため。チケット、帽子は風に吹き飛ばされるため。机は人を縛るため。父親が書類を忘れるのは拉致させて娘を追わせ船に乗らせるため。タラップは落ちるため。ステッキは帽子を支えるため。タバコは投げ落とすため、また人の存在を知らしめるため。巡洋艦は鬼ごっこをするため、また海に飛び込むため。板はベンチに、また折り割るため。通気口は人を落下させるため。帽子はお尻で踏みつぶすため、また投げ置くため。流しはマッチを擦るため。海が井戸に。缶詰は開かないため、また叩き潰してぶちまけ吹き飛ばすため。鍋は煙を吐き出すため。机は人が乗るため。缶詰はこぼすため、また投げ棄てるため。卵は取り出せないため、また落とすため。鍋は火傷するため。マッチがライトに。皿は卵を隠すため、またナイフで突き刺すため。ハンカチは振られるため、また吹き飛ばされるため。服は振るため。船は煙を吐き出すため。SOSの旗が伝染病危険の旗に。救命ボートはキートンごと落ちて沈むため、また巡洋艦を引っ張るため。浮輪は頭を直撃するため。救助船は救助しないため。海は飛び込んで水しぶきをあげるため。ワイヤーは娘を海に落として失神させ壊れたリクライニングチェアに寝かせるため。娘に背を向けて椅子を直すのは娘を見失うため。ローソクはキスの影を壁に投射するため。ローソクの点火がキスに。マッチは投げ棄てるため。荷台の荷物は落ちて丸窓に注目させるため。船が揺れるのはドナルド・クリスプの写真を揺らすため、またドアを開けたり閉めたりするため。シーツをかぶるのはお化けになるため。シーツは叩きつけるため。壁は人が寄りかかるため。ほうきは殴るため。樽は倒れるため。木箱は文字を隠すため、また蹴り倒すため。花火、爆竹がローソクに、また煙を吐き出すため、また投げ置くため。ドアはマッチを擦るため。膝が椅子に。船が揺れるのはドアでレコードをかけて怖がらせてデッキに逃げさせ雨を降らせてびしょ濡れにさせるため、また椅子を滑らせて海に落下させるため。椅子は人が乗るため、また人が隠れるため。キートンはしがみつくため。雷は光るため。毛布は投げ棄てるため。地面は人が滑るため。雨はトランプを濡らして貼りつかせしおれさせるため。トランプは投げ置くため。肩が枕に。机は足を乗せるため。トンカチはノックするため。機械室が寝室に。のこぎりが缶切りに。最初の食事を失敗させるのはオートマ化させるため。クツは落とし置くため。人食い族は錨をおろさせその拍子に船を座礁させてキートンを海中に潜らせて修理させるため。波は水中に影を投射させるため。タバコは煙を吐き出すため、また窒息するため。ナイフは逆手で握られている。水面は揺れるため。息は泡を吹き出すため。海中の船の修理が道路工事に。地底は煙を撒き散らすため。手を汚すのは水中でバケツに水を汲んで手を洗いハンカチで拭くため。エビがハサミに。ノコギリザメが剣に。娘が背を向けるのは人食い族に捕まえさせて上陸させ海の中から出てきたキートンに救出させるため。娘が命綱を引いているのは命綱を切らせて水中のキートンを歩いて上陸させ人食い族を蹴散らすため。タコは黒煙を撒き散らすため。ナイフは逆手で握られている。潜水服が宇宙人に。棍棒は投げ棄てるため。水中メガネはキスするため。キートンがイカダに。木は人が隠れるため。水を含んだ潜水服はキートンを階段から落下させるため、またナイフで「ハラキリ」させるため(その時ナイフは逆手で握られている)。階段は服を脱がせるため。潜水服は投げ置くため。ハシゴは崩れ落ちるため。水は人にぶっかけるため。桶の水は転んでぶちまけるため。花火が大砲に。斧は人が振り回されるため。ヤシの木がはしごに、また倒すため。ヤシの実は頭に投げつけるため。サルはキートンの頭にヤシの実をぶつけるため。ロープは足に引っかけて小さな大砲にキートンを追いかけさせるため。槍を投げさせるのはキートンを伏せさせ大砲を人食い族に直撃させるため。大砲は煙を吐き出すため。股は人がくぐり抜けるため。浮輪が椅子に。海は地面に。ハッチを開けるのはキートンを海に放り込むため。キスはキートンを失神させて舵にぶつけ潜水艦を回転アトラクションにさせてキートンと娘を転ばせて座らせ娘にキートンにしがみつかせてラストシーンを撮るため。
■「キートンのセブン・チャンス」(1925)55分 5/7
遺産とその条件は運動を起動させるため。犬は月日の流れを指示するため。経営難は弁護士から逃げるため、また遺産を必要にさせるため。ドアは開閉するため。帽子は同時にかぶって脱ぐため。大男は道を塞ぐため。タクシーは入れ違うため。車は煙を吐き出すため。弁護士をつまみ出すのは窓ガラスに証書を貼り付けるため、また追いかけるため。帽子は脱ぐため。椅子は座らないため。机は人が座るため。メガネは落として拾うため。柵は人が飛び越えるため。独り言が告白に。帽子はずらすため。「Someone」は結婚を断られるため。秘書の部屋が社長室に。帽子が机の上に置かれるのは受話器をはずすため。メモは届かないため。木々は風に揺られるため。プロポーズは笑われるため。ゴルフがプロポーズ鑑賞に。メモは投げ上げるため、また舞い散るため。キートンがいなくなるのは弁護士をキートンと見間違わせるため。弁護士の風貌は女を怒らせるため。雑誌は叩きつけるため。階段は上ってから降りるため。電話ボックスはプロポーズをするため。メモは落とすため。鏡を見るのは黒人になるため。新聞は赤ん坊を隠すため。帽子はコインと交換するため。壁は人が寄りかかるため。鏡は人が寄りかかって倒れるため。小娘は結婚できないため。結婚は断られるため。STOPがGOに。列車は通過するため。馬は逃げるため。大木は車が乗り上げるため。トラックはよけるため。黒人が白人に。女がマネキンに。マネキンが女に。女が男に。木箱は看板を隠すため。帽子のひさしが首輪に。チップは取り返すため。長椅子がベッドに。教会はお見合いに、居眠りは大勢の花嫁を見せないため。神父は女たちを怒らせキートンを逃走させるため。人は揺するため。窓、通風孔は人が出入りするため。ハシゴは人とぶつかり転げ落ちるため。階段は人が座るため。人がベッドに。生垣は飛び越えるため。懐中時計を格子付きのどぶに落とすのは時間を聞くため。時計が栓抜きに。足首の時計は顔を蹴られるため。時計屋は時間を知らせないため。靴は投げて目覚まし時計を弾いてキートンの頭にぶつけて時間を教えるため。窓は時計を弾き出すため。電車は止まらないため。レンガは投げるため。道具は投げ棄てるため。ガラスが鏡に。スクラムは女たちに踏み潰されるため。路面電車は追跡車に。車は人がしがみつくため、またぶつかるため。サウナ風呂は追い出されるため。警官隊の行進は紛れ込むため。車は通り抜けるため。穴は人を転ばせるため。作業道具は放り投げるため。地面は滑るため。クレーンは人を釣り上げるため、また煙を吐き出すため。煙突は煙を吐き出すため。汽車の通過はキートンが死んだと思わせるため。石は投げるため。帽子は投げ置くため。畑は踏み潰すため。鉄条網が巻き付くのはそれを取ろうともがくキートンに股の間から猛牛を見せるため。ミツバチは逃がして人を襲わせるため。地面は煙を撒き散らすため。タオルは叩きつけるため。ボートに乗るのは泳ぐため。水しぶきは撒き散らすため。カメがネクタイに。銃は煙を吐き出すため。狩猟はキートンを逃がすため。斜面がすべり台に。谷間は飛び越えるため。大木は人を絶壁から着地させるため。木こりは大木を切っておくため。斜面はでんぐり返しするため。岩は転げ落ちて人を逃がすため、また大木を倒すため、また人が隠れるため。木の枝が鉄棒に。女たちが低地に近道するのは岩に蹴散らさせるため。棒は投げ棄てるため。馬車は跳び箱に。車はくぐり抜けるため。汽車は煙を撒き散らすため。柵は服を引っ掛けて引きずられ転んだキートンの頭をドアにぶつけて開けるため。外へ出るのは教会の時計を見るため。参列者の花嫁への抱擁はキートンにキスをさせないため。犬はキスさせないため。
■「拳闘屋キートン」(1926)75分 6/24
帽子、手袋は投げ置くため、また脱ぐため。タバコは煙を吐き出すため。ハンカチは振るため。山へ行くのはあらくれ者を父と兄に持つ娘に恋をさせボクサーにさせるため。杖が椅子に。鳥は飛び立つため。銃は煙を吐き出すため、また逆さにして撃つため。狩りは娘のハンカチを穴だらけにさせて娘とめぐり会わせるため。杖の椅子はキートンを転ばせ助けようとした召使いのライフルを倒して暴発させて娘を驚かせ娘に石を投げさせるため。魚は飛び跳ねて水しぶきをあげるため。カバンは落とし置くため。カモは撃てないため。ライフルがオールに、また水面を叩くため。カヌーは沈めて娘と再会させるため。水面は揺れるため。ボートはつかまるため。ランチを食べるのは正装するため。木の枝は折り通るため。テーブルは沈めて時間の経過を示すため。木は人が寄りかかるため。娘を家まで送るのは送られるため。新聞は投げ置くため。湯船は煙を吐き出すため。オーデコロンがバスクリンに。ポーチは人が座るため。落ち葉を拾うのは落とすため。召使いに結婚を申し込みに行かせるのはボクサーになるため。帽子は新聞を入れるため。新聞はちぎり棄てるため。テントは人をぶつけて壊すため。体は叩かれるため。タラップは人が座るため。シャドーボクシングはキートンを殴るため。ガラスが鏡に。帽子は振るため。ボクシング会場の消灯がフェイドアウトに。歓迎は入れ違うため。車の後部座席の丸い窓の向こうから手を振る娘が人間の瞳に(ヒッチコックは同年「下宿人」(1926)でオープニングの新聞社のトラックの2つの丸窓に人間の後頭部を映して人間の瞳が動くようなイメージを作り出している)。結婚式で次の対戦が決定するのは娘をキートンから引き離してから近づけるため。花束は投げ置くため。女がフロントと見つめ合うのは女の浮気性を指し示すため、また針で夫のお尻を刺すため。ドアは人を隠すため。地面は煙を撒き散らすため。車はよけるため。田舎の車の運転が乱暴なのはキートンに車を誘導させて手袋を落とさせその隙に女を車に乗せてキートンを驚かせるため。女のハイヒールが壊れるのはキートンと同乗させるため。通過する車はキートンを車に乗せるため。ブラインドは上げ下げするため。女が車の中に花束を忘れるのはキートンに渡させて夫を嫉妬させるため。あん馬は人が寄りかかるため。温水は煙を吐き出すため。ロードワークは紛れ込むため。ニワトリは蹴散らすため。木々は影を落とすため。柵は人が座るため。キートンは回るため。服は投げ置くため。机は人が乗るため。電球の取り換えは部屋を暗くさせて夫に浮気を誤解させるため。電球は落とすため。お菓子を出すのは女たちに喧嘩をさせ夫に嘘を言わせてキートンに試合をさせるため。階段はつまずくため。夫が妻を殴るのは妻に反抗させないため。大男はキートンを隠してから出現させるため。ロープは乗って転んで挟まり落ちるため。ファイティングポーズをとらせるのはグローブが逆さなのを指示させるため。キートンの肘を叩くのはキートンを殴るため。レフリーはぶつかるため。グローブをロープに引っかけるのはほどいた反動のパンチで相手をKOするため。ロープは頭をぶつけるため。ガードは噛み合わないため。グラブは落とすため、またお尻に敷くため。ロープが洋服掛けに、また飛び越えられないため。棍棒は使えないため。肘がフレームに(ヒッチコックは翌年撮ったボクシング映画「リング」(1927)の最後の試合前のコーナーで似たようなショットを撮っている)。グローブは投げ置くため。サンドバッグを叩くのは叩かれるため。睡眠がマッサージに。人は踏みつけるため。靴紐を結ぶのは走らなくさせて走らせるため。車は人がしがみつくため、また衝突して横転するため。通行車がタクシーに。木々は風に揺られるため。川は人が落ちるため。首根っこは掴まれるため。水面が鏡に。水たまりは渡るため。泥の付いた靴がかんじきに。酒、たばこは飲めないため。ごちそうは食べられないため。タバコは投げ棄てるため。帽子は投げ棄てるため。頭は掻くため。蹄は投げ棄てるため。前座のボクサーがKOされるのは担架でキートンを逃がすため。椅子は後転させるため。グラブは叩き置くため。物置は監禁するため。人はドアを塞ぐため。ガウンは脱ぎ棄てるため。壁は人が寄りかかるため。キスはドレスを落とすため。
■「キートンの大列車追跡」(1926)78分 クライド・ブラックマンと共同監督 5/6
汽車は煙を撒き散らすため。帽子は脱ぐため。子供は真似をするため。服は靴を拭くため。帽子をかぶるのは子供たちを出て行かせるため。壁は人が寄りかかるため。戦争はキートンを入隊させずに機関士に留めておくため、また女に嫌わせるため。段差は人を転ばせるため。地面は煙を撒き散らすため。机は人が乗り越えるため。大男は背を比べるため。小男はキートンに再度入隊希望を抱かせるため。帽子は顔を隠すため。許可証は取り違えるため。汽車の車輪留は人が座るため、また揺られるため。木々は風に揺られるため。はがきは投げ置くため。ハマキがペンに。机は叩くため。女が汽車に忘れ物をするのは敵兵に連れ去られるため。木箱は踏み台に。休憩は汽車を奪われるため。煙は地面に影を投射させるため。レールは人が走るため。荷物が椅子に。柵は人がくぐり抜けるため。電線は切るため。レールははずすため。斜面はトロッコを転げ落とし川へ落下させるため。レールは放り投げるため。自転車が置いてあるのはキートンを乗せるため。自転車は転倒させるため。援軍は連れて行かないため。大砲が置いてあるのはキートンに撃たせるため。木片は投げ置くため。給水塔は人に水をかけて煙を吐き出させるため。屋根が展望台に、また人が歩くため。大砲は煙を吐き出すため。連結器の留め金に足を引っかけるのは大砲を切り離して自分を狙わせるため。木は投げるため。線路のカーブは敵に向けて大砲を撃たせるため。貨車を切り離すのは汽車で押すため。木はレールの障害に。服は投げ置くため。汽車は脱線転覆させて煙を撒き散らすため。材木は材木にぶつけて除去するため。薪は落とすため。薪を集めるのはポイントに気づかせないため。車輪は空回転させるため。砂を集めるのは汽車を暴走させて追いかけるため。貨車は燃やして煙を吐き出すため。トンネルは煙まみれにさせるため。給水口はお尻を埋めるため、また椅子に。薪がうちわに。薪割りは南軍の撤退と北軍の進軍を見ないため。人が隠れるのは出て来るため。帽子は振るため。敵兵が服を脱ぐのはあとでキートンに着せるため。斧は折れるため、また投げ棄てるため。橋は材木を落下させるため、またキートンが一人であることを俯瞰で知らせるため。木は帽子を引っかけてからかぶせるため。帽子と服は投げ置くため。木は人が隠れるため。雨雲は地面に影を投射させるため。木は人が飛び越えるため。窓は人が出入りするため。窓枠は落下するため。雨は人を寒がらせて民家へ忍び込ませるため。机はその下に人が隠れるため。椅子は洋服掛けに。くしゃみはしないため。タバコは煙を吐き出すため、またテーブルクロスにのぞき穴を開けるため。枕は叩き置くため。薪、銃は人を殴るため。銃は投げ置くため。お尻は机を倒すため。抱き上げるのは一緒に転ぶため。雷は木を倒すため、また光るため。クマは女を逃がして探すため。倒木は人が乗り越え座り転げ落ちるため。動物の罠は人間を引っかけるため、また女の罠をはずそうとするキートンを引っかけるため、また投げ棄てるため。雷光は逃げる女にキートンをぶつけて2人を転げさせ寄り添わせるため。膝がベッドに。松ぼっくりは落下させ人の頭にぶつけて起こすため。木は人がくぐるため。大木が敵兵に。麻袋は引きずるため、また女を中に入れるため、また投げ置くため。靴は投げ置くため。麻袋の中に靴が入っているのはキートンの靴を脱がせて紛らせてから履かせバランスを崩させて女を踏んづけさせるため。木箱は投げ置くため。電柱は引きずり倒すため。貨車は飛び移るため。連結棒は投げ棄てるため。敵将軍が汽車の中で打ち合わせをしているのは気絶させて捕虜にしサーベルをキートンにあげるため。柵が薪に。薪は落下させるため。汽車は登り乗るため。木は汽車に絡みつくため。壁は剥ぎ落として視界を開くため。樽、木箱は転げ落とすため。給水塔は女と敵兵をびしょ濡れにさせるため。穴の開いた薪はかまどに入れないため。ホウキは投げ置くため。銃は煙を吐き出すため。汽車の衝突と急発進は兵士を転ばせるため。ポイントを壊すのは修復の隙に橋を燃やすため。薪は投げ渡すため。ランプは橋を燃やすため、また投げ棄てるため。キートンが灯油を垂らした薪を乗り越えるのは火のついた薪を飛び越えて橋から川に落下するため。水面は水しぶきを上げるため。橋は燃やして煙を吐き出すため。南軍兵を呼ぶのは撃たれて着替えるため。ベルトは投げ置くため。指差すのは腕を人にぶつけるため。群衆はよけるため、またサーベルを落としてキートンに拾わせるため。キートンが女に説教するのは無視させて父親と再会させるため。街は無人になるため。走るのは転ぶため。斧が漆喰に。汽車は橋から落下させて煙を撒き散らすため。橋は焼け落ちるため。光が帯に。サーベルは投げるため、また鞘に入れ損ねて人を刺すため。木は撃ち倒すため。指図するのはサーベルを振り回して放り投げ敵兵を刺すため。大砲を撃ち損なうのは堤防を破壊するため。合流組が川を渡るのは流されるため。列車は被弾し脱線するため。旗手が撃たれるのはキートンが持ち継ぐため。人の背中は踏むため。ハンカチは振るため。汽車は人が寄りかかるため。埃は振り払うため。銃は暴発させて煙を撒き散らすため。制服を脱がされるのは着せ直すため。服は投げ渡すため。軍人になるのはキスをしながら敬礼するため。大量の兵士が通過するのは何度も敬礼させるため。
■「キートンの大学生」(1927)監督ジェームズ・W・ホートン64分 6/6
雨は降り注ぐため。木々は風に揺られるため。値札は剥がして投げ棄てるため。服は脱ぐため。傘は家の中でさすため、また閉じられないため、また投げ棄てるため。ボタンは掛けられないため。ポケットは入れた手を抜けないため。キートンは傾くため。ボタンはちぎれるため。本はほころびを隠すため。新聞が傘に。演説は聞かれないため。キツいズボンはしゃがめないため。汽車はキートンを出現させるため。バッグは落とし置くため。グラスは滑らすため。帽子は脱ぐため。バッグは置き忘れるため、またドアに挟まるため。コップは逆さに。タマゴは投げ落とすため。アイスクリームは飛ばないため。ソーダは吹きこぼすため。グラスは滑らせて転落させるため。机は叩くため。カウンターは人が隠れるため。バーテンが客に。バーテンはしないため。壁は人が寄りかかれないため。地面は人が座るため。キャッチャーがサードに。ベースは乗るため。足は引っかけられて転ぶため。グローブは落とすため。素振りはバットに頭をぶつけるため。右打者が左打者に。ベースは引っかかって転ぶため。前のランナーは追い抜くため。お尻は蹴るため。人は人にぶつかるため。毛布がトランポリンに。トランポリンが覗きに。傘はパラシュートに。テラスはしがみついて壊すため、またそこから人が落下するため。キートンが黒人に。かぼちゃがアメフトのボールに。鍋は煙を吐き出すため。テーブルを掃くのはカップルの出現に驚くため。布巾を落とすのはしゃがんで拾ってドアに頭をぶつけてひっくり返ってもコーヒーをこぼさないため、また黒人のメイクを剥がして首になるため。お盆の皿はぶちまけるため。砲丸は握れないため、また重くて倒れこむため。子供の喧嘩は走っているキートンを追い抜くため。円盤は帽子を吹き飛ばすため。走り高跳びのバーは引っかかって転んだり折れたり落ちたり投げ棄てたりするため。砂は顔を突っ込むため。ハードルは倒すため。ハンマーは振り回されるため。棒高跳びは棒が折れるため。ドアは手を挟むため。Coxswain=艇長はCoaxer=口のうまい人に。女への挨拶は男への挨拶に。帽子は叩き置くため。机は人が座るため、またその上を人が滑るため。握手は人を引きずるため。紙は握りつぶすため。コーヒーが睡眠薬に。クッキーは睡眠薬を飲まないため、また割るため(役割を終えたので)。木は人が隠れるため。鍵は投げ上げるため。帽子は投げるため。机は人が寄りかかるため。服は投げ置くため。コーチの演説は盗み聞きされるため。ベンチがベッドに。人はクニャクニャになるため。ボートが椅子に、また飛び乗るため、またひっくり返るため、また新しいボートに交換されるため。水面は光を反射させるため。旗は風に揺られるため。ボンボンは振られるため(過剰に振られている)。オールは絡まるため。キートンが舵になる。故障したボートは船に衝突して選手を川に落とすため。オールは尻尾に、また女のお尻に触るため、また椅子に座れないため。人形のスカートは電話を隠すため。電話線はひきちぎるため。電話は投げ置くため。窓は人が出入りするため。生垣が障害物競走に、また走り高跳びに。池が幅跳びに。地面は人が滑るため。物干し竿が棒高跳びに。女が2階に監禁されるのは棒高跳びで飛び込むため。置物は投げるため、また円盤投げに、またボールに。オールがバットに。机は投げるため。ベッドは乗り越えるため。帽子掛けが槍投げに。洗濯ロープは人を人を引っかけるために。女からの電話はキートンを陸上競技王にさせるため。
■「キートンの蒸気船」(1928) 64分 監督チャールズ・F・ライスナー 6/9
木々は風に揺られるため。船は煙を吐き出すため。帽子は振るため。旗は風に揺られるため。壁は人が寄りかかるため。水面は光を投射するため。親子が赤ん坊の時以来会っていないのは再会できないため。地面、汽車は煙を撒き散らすため。黒人がカバンを探るのは顔を隠すため。ユダヤ人が頬を触るのは髭を隠すため。汽車はキートンを出現させるため。花は人物を特定させるため、また落とすため。カバンは落とし置くため、また人物を特定させるため。乳母車は人が座るため。赤ん坊はキートンをバカに見せるため。父親が大柄なのはキートンが小柄なため。服はウクレレを隠すため。車は乗り違えるため。車掌は送迎バスに放り込むため。髭を生やすのは床屋で娘と回転椅子で会うため。壁は人がぶつかるため。前掛けがマスクに、また投げ置くため。帽子は剥ぎ取るため、また投げ置くため、また似合わないため、また叩きつけるため、またツバを上げ下げするため、また風に吹き飛ばされるため。風は埃を撒き散らすため。帽子を買うのはなくすため。帽子は脱ぐため。階段は人がコケるため。ウクレレは落とすため、また踏み潰すため。浮き輪は寄りかかって川に落として水しぶきをあげるため。柱は頭をぶつけるため。ワイヤーは人が激突するため。ロープは足に引っかかって転ぶため。人は落下して水しぶきをあげるため。ロープはまたがるため。人は人にぶつかるため。船は船にぶつけて乗客を転倒させるため。上を仰ぎ見るのは後ずさりして薪につまずいた拍子に舵を動かして船をぶつけライバルの社長を川に落として父親に褒められるため。背中を叩くのは物を飲み込ませため。ココナツを散乱させるのは足で踏んで痛がるため。帽子は落とすため。お尻は叩くため。洋服ダンスは更衣室に。着替えるのは着替え直すため。シーツは投げ置くため。枕、パジャマがキートンに。窓は人が出入りするため。柱は人が伝うため。船が高層なのは駆け下りたりよじ登ったりするため。板は橋に、またベッドに。ネコは投げ棄てるため。船をずらすのはキートンを落下させるため。ズボンは叩きつけるため。ライバル社長がドアを開けるのはキートンを入れるため。キートンがお尻を蹴られるのはライバル社長を川へ落下させるため。木箱はベッドに。黒人はキートンの出現に驚くため。ギターは放り投げるため。花瓶の水は顔にぶっかけるため、また投げ置くため。札束は投げ置くため。通達は破り捨てるため。石は投げて窓を割るため。髭剃りのハケは口の中に入れるため。営業停止は父親を牢屋に入れさせてそのまま川へ流しキートンに救出させるため。車は煙を吐き出すため、またキートンのカバンを引っかけて転ばせ父親が投獄されることを知らせるため。地面は人が座るため。切符は破り捨てるため。めかるみは人を沈めるため。傘は強風でオチョコにさせてキートンを吹き飛ばすため、また溜まった水をぶちまけるため、また投げ置くため。秘密の合図は糸くずを抜き取るため。パンは抱きしめるため、またその中に工具を隠すため。囚人の唄が手信号に。ドアは人が寄りかかるため。工具は落とすため(工具は使われない)。パンは叩き落とすため。アッパーがボディに。倒れた人は踏み越えるため、また椅子に。カギは叩き置くため。ズボンはドアに引っかけて脱ぐため。銃は人を殴るため。車のシートがベッドに。脱獄させるのはキートンを失神させて病院に入れベッドごと吹き飛ばすため(父親は牢屋ごと川に流されるために投獄されたのだから脱獄が成功するはずがない)。車は人が転げ落ちるため。オープンカーのシートはマストになって風に吹き飛ばされるため。暴風はあらゆるものを吹き飛ばし舞い上げ崩壊させるため、また家や蒸気船を漂流させてキートンに救出させるため。ベッドは滑るため、またその下に人が隠れるため、またその上に人が飛び降りるため。窓枠はキートンが壁に潰されないため。トラックの段ボールはキートンに降りかかるため。ロープは足に絡めてサンドバッグを頭に直撃させるため。キートンは消えるため。ホリゾントは人が飛び込むため、また崩壊するため。電線は感電するため。塀は人が乗り越えるため、また人がぶつかるため。犬小屋は入って噛まれるため。防空壕は入れないため、大木はキートンごと吹き飛ばされて川へ落下させるため。家は流されるため。イカリは家の屋根に引っかけるため。船は家を突き割るため。娘とその父親が流されるのはキートンに助けさせて和解させるため。キスはしないため。
■「キートンのカメラマン」(1928)
爆破、煙突は煙を吐き出すため。人はキャメラの前を横切るため。紙吹雪は舞い散るため。写真は撮られないため。パレードの群衆はキートンと女を引き合わせるため。帽子は脱ぐため。三脚は潰れるため。クラッカーは風に揺られるため。よそ見をするのは女の不在に気づかないため。地面は煙を撒き散らすため。壁は影を投射するため。回転扉は巻き込まれるため。ドアはキートンにぶつけるため。帽子はかぶれないため。男と秘書がいちゃつくのはその隙にキャメラをいじるため。三脚は顔にぶつけるため、またドアに挟むため。キャメラはドアにぶつけてキートンを転ばせるため。地面は人が滑るため。ガラスが鏡に。キャメラが高額なのは映画用キャメラを買わせるため。三脚は扉に引っかけるため。キャメラは窓ガラスを割るため。ドアノブは服に引っかけるため。三脚は足を突き刺すため。消防車は飛び乗りしがみつくため、またタクシーに。スタジアムがパントマイム劇場に。映像は撮られないため。鉛筆はメモと取り違えるため。貯金箱は割れないため。ベッドは崩壊するため。壁は叩き割るため、また頭に落下するため。トンカチは落とすため。電話のベルはキートンを走らせるため。階段は下って上り過ぎて下り過ぎるため。スロープはキートンが滑るため。人は人にぶつけて倒すため。受話器はちぎるため。壁は人が寄りかかるため。電話が対話に。裁縫は針でキートンを突き刺すため。ソファーは転げ落ちるため、また人がその上に立つため。床は人が座るため。ライトは倒すため。方角は間違えるため。リンゴの皮?は滑って転ぶため、また蹴飛ばすため。バスの乗客はキートンと女を離れ離れにさせるため。バスはしがみついたり振り落されたりするため。手をつなぐのは人を巻き込むため。硬貨はまき散らすため。入場券が紙テープに。更衣室は間違えるため、また小突き合うため。大男は更衣室を狭くさせるため。ズボン、靴は叩きつけるため。プールは水しぶきをあげるため。浅瀬は急に深くなるため。噴水が椅子に。ぶかぶかの水着は高飛び込みで脱がせるため。ボール投げはキートンを沈めるため。太った女はキートンに水着を配給するため。帽子を脱ぐのはキートンを吹き飛ばすため。ハンカチを落とすのは大男をプールに突き落すため。バスのドアは開けて乗客を転げ落すため。自動車の急発進はキートンを振り落すため。車に乗るのは雨でキートンをびしょ濡れにさせるため。帽子がバケツに。息は白を吐き出すため。雨はしたたり落ちるため、また降り注ぐため。木箱が椅子に。脚気のテストはスネを蹴り上げるため。レストランはマフィアの企みを目撃するため。カバンは落とし置くため。カーテンは風に揺られるため。風はドアを吹き飛ばしガラスを割るため。猿回しはぶつかって小猿を手に入れるため。肩は三脚を立て掛けるため。樽はサルが座るため。犬はそれに驚いた猿がキートンにつがみつきその拍子にぶつかった警官を失神させるため。帽子は振るため。木箱は人が隠れるため。獅子舞が暗殺団に。柱は撃ち抜くため。三脚の足は撃たれて低くなるため。祭りがギャングの抗争に。階段は落ちて宙づりになるため。窓は撃ち割るため。サルがマシンガンのレバーを回すのはのちにキャメラのレバーを回すため。足場は倒れてクレーン撮影に。キャメラがマシンガンに。ギャングと猿の握ったナイフは逆手で握られる。木箱は人が飛び越えるため。樽は人が隠れるため。カバンは人を殴るため。木箱がバリケードに。壁は人が隠れるため。裸電球は地面に投げ割って人を呼び寄せるため。たんすが隠し扉に。窓がシャッターに。ドアは蹴破るため。2階から撮るのは監禁されるため。キートンは放り投げられるため。連行はされないため。車は煙を吐き出すため。フィルムは投げ棄てるため。情報源を明かすのは女を怒らせて男と復縁させた後キートンと結びつけるため。旗は風に揺られるため。モーターボートは人を海に振り落し回転凶器にさせて女を襲わせキートンに救出させたところを猿にフィルムに撮らせるため、また水しぶきをあげるため。服、帽子は投げ置くため。岩は人が座るため。女の失神は真実を知らせないため。背広は枕に。薬屋へ行くのは女を奪われるため。マフィアの抗争をキートンに撮らせるのは猿にフィルムを交換させて空フィルムを提出させたあと抗争が映っているフィルムをキャメラに再度装填させてボート転覆の救出シーンを猿に撮らせそれを知らないキートンに再度抗争のフィルムを提出させて救出するシーンを女に見せるため(キートンが自分の救出の手柄を誇示していないことが綿密に練られている)。猿はフィルムを抜き取るため、またフィルムを回すため。リンドバーグの歓迎パレードはキートンの歓迎パレードに。
■「キートンの結婚狂」(1929))監督エドワード・セジウィック 75分 6/29
馬が飛び跳ねるのは帽子を脱いだりかぶったりするため。帽子を脱ぐのは握手しないため。クリーニングが貸衣装に。プレスは煙を吐き出すため。杖は人をつまずかせるため。パンフレットは尻に敷くため。拍手は鳴りやまないため、またしないため。肩が枕に。舞台は真似るため。口笛は吹けないため。帽子は脱ぐため。ブロンド女は女を嫉妬させキートンと腹いせ交際させるため。柱は人がぶつかるため、また握手できないため。看板は人が隠れるため、また人がぶつかるため。手摺は人がぶつかるため。窓は人が出入りするため。役者がお尋ね者なのはキートンと交代するため。耳はハサミで切るため。花束は投げ棄てるため。椅子は倒すため。サンドバックは剣で穴を開けて幕を落としキートンを下敷きにさせるため。ホリゾントは波打つため。粉は頭からかぶるため。ホリゾントは人がくぐり抜けるため。人は人にぶつかるため。じゅうたんは足にくっつくため、また投げ置くため。銃はスカートをまくるため。棚は人が寄りかかれないため。サーベルは投げ置くため。柵はつまずいて転んで崩壊させるため。銃は人の足の上に落とすため。キスはできないため。舞台は人が転げ落ちるため。床は人が滑るため。机は人が乗るため。木箱が踏み台に。靴は投げ棄てるため。壁は人が寄りかかるため。恋人が結婚するのは女をキートンと腹いせ結婚させるため。手袋は投げ置くため。写真は落とすため。ベッドは人が転げ落ちるため。椅子はどけるため、ローソクはマッチを擦るため、またマッチに。花瓶は倒すため。レストランに元恋人カップルを同席させるのは女を泥酔させてふにゃふにゃにさせるため。椅子が洋服掛けに。床は人が座るため。ハイヒールを脱ぐのは履かせるため。階段は人が転ぶため。人は人を引っかけて転ばせるため。マフラーは投げ置くため。床がベッドに。椅子は人が座れないため、また人が落ちるため。テーブルは人をつまずかせるため。ベッドは人がその上に立つため、また崩壊するため。人はベッドに寝かせられないため。服は脱がせないため。紙袋は投げ置くため。ぬいぐるみであやすのはあやせないため。車は人がしがみつくため。キートンが男を殴るのはタクシーの中に逃げてお尋ね者に監禁させてから逃がしまた監禁するため。銃は煙を吐き出すため。車は人が転げ落ちるため、また海へ転落してギャングに救助させるため、また水しぶきをあげるため。抱きつくのは服を濡らすため。マストの手入れは空中ブランコに。船は人がしがみつくため。手摺が枕に。タバコは投げ棄てるため、また火事を起こして女に元恋人の性質を見せてからキートンと2人きりにさせるため。火事は煙を吐き出すため。酸素ボンベが消火器に。火事は報告されないため。窓はバケツが入らないため。海は人が飛び込むため。雑巾は投げ置くため。階段は手摺で滑り落ちるため。帆は人が吊るされるため、また風に揺られるため、また人命救助袋に。マストは綱渡りに。タオルは振るため。ベッドは人が着地するため。帽子は叩き落とすため、また投げ棄てるため。皿と瓶はけん玉に。瓶は人を殴るため(ボトルは何度も逆手で握られている)。パンの粉引きは人を殴るため。花瓶は投げつけるため。長椅子がベッドに。スパナは人を殴るため。修理するのは頭を殴られるため。通風孔がスピーカーに。足は人をつまずかせるため。箱、袋、服は投げつけるため。海はキートンを流すため。帽子は船長のマークに。キートンが怪我をするのは舞台のセリフを言うため。船は煙を吐き出すため。ボートは水しぶきをあげるため。
以下 トーキー
■「キートンのエキストラ」(1930))監督エドワード・セジウィック92分 6/27
汽車は煙を撒き散らすため(ただし弱い)。耳うちはできないため。汽車は乗れないため。スピーチは汽車に乗り遅れるため。話は通じないため。帽子は投げ置くため。切符をキートンに預けるのは母娘が汽車から降ろされるため。カバンは叩き置くため、また投げ置くため、また人にぶつけるため。肘掛けは人が座るため。車は車にぶつけるため。床は人が滑るため。キートンが運転するのは車を駐車させて劇場に入るのを遅らせ母娘を探させて立ち上がらせスターと勘違いさせるため。名刺はトランプに、またちぎり棄てるため。舞台は人が転げ落ちるため。階段は人が座るため、また人が転げ落ちるため。壁は人が寄りかかるため。スタジオは入れないため。建物がセットに。ドアは顔にぶつけて帽子を落とさないため。エキストラはキートンをスタジオの中に巻き込むため。監督会議はキートンが紛れ込めないため。火薬の樽はその上に座るため。机は人が座るため。起爆装置は足を乗せて爆破させるため。爆弾は煙を吐き出すため。ベッドは人が乗り越えるため。ロープは足に引っかけて転ぶため。置物はもたれられないため。セリフは言えないため。照明は引きずり倒すため。ソファーは人が転げ落ちるため。車で送るのは運転手にさせるため。タイヤは人が座るため。通過物は光を投射するため。車は揺らすため。暖炉は光を投射するため。車は揺れるため。ピアノは人をぶつけて弾くため、また枕に。置物は人を殴るため。机は足を乗せるため。トウモロコシは投げ置くため、また皮をむくため。大女たちがセリフを言えないのはキートンを何度も殴り倒すため。男が娘を誘惑したのは怒った娘の母親に舞台のセリフを言わせてスカウトさせるため。パウダーはキートンを粉まみれにさせるため、また煙を吐き出すため。バルコニーはダイブするため。グラス、帽子は落とすため。服はひきちぎり下着姿にさせるため。下着はバレータイツに。風呂がプールに。柱のオブジェは飛び込み台に。人間があやつり人形に。スパナは投げ置くため。トンカチはプロペラを回すため。キスはキートンを転ばせるため。愛の告白は愛の仲介に。
■「キートンの決死隊」(1930)
ハンカチ、帽子は振るため。デートは断られるため。帽子は脱ぐため。花束は渡せないため。運転手がいなくなるのは職業安定所へ行って兵士になるため。職業安定所が陸軍志願者事務所に。出てきた男が踊るのは看板を落とすため。看板は投げ置くため。帽子は叩き落とすため。服は投げ棄てるため。机は人が座るため、また立つため。シャンデリアは人がしがみついて揺らすため。ロープは足に引っかけて転ぶため。ボタンをかけるのはライフルを回し渡すため。食べ物は吐き出すため。左が右に。退役はしないため。受話器はひきちぎるため。ドアは人を挟むため。またぶつかるため。握手はし間違えるため。銃剣は刺したまま忘れるため、また落とすため。お尻は蹴るため。人殺しの実演はキートンたちを失神させるため。口笛が合図に。窓枠は人が座るため。窓は人が出入りするため。バケツが椅子に。許可証はちぎらり棄てられるため。外出できないのはするため。肩が肘掛けに。車は人が寄りかかるため。ジープの看板がMPの紋章に。床は人が滑るため。樽が踏み台に。ウクレレが太鼓に。ライフルがチェロに。剣が弓に。ボートは人が寄りかかるため。シャワーを浴びるのは裸で整列するため、また女から隠れるため。壁は影を投射するため。シートはかぶるため。雨はキートンをぬかるみに沈めるため。水は将校にぶっかけ同僚に責任をなすりつけて殴られ入院するため。地面は煙を撒き散らすため。転ぶのは助け起した者と一緒に倒れ込んで泥まみれになるため。笑うのは顔に泥を投げつけられるため。見張りは女と行ったり来たりするため。キスはキートンを転ばせて銃を暴発させるため。あらゆる物はキートンに投げつけて窓から外へ放り出すため。壁は人が寄りかかるため。キートンが歌うのは騒音に怒った仲間に放り出され仏女の家に泊まって恋人を怒らせるため。ダンスは踊れないため。テーブルはひっくり返すため。キートンは振り回すため。爆弾は煙を吐き出すため。天井は崩れ落ちてキートンを埋めるため。帽子、服は投げつけるため。爆弾は光るため、また鳴り響くため。ハシゴは崩れるため。ガスマスクがイビキに。鉄条網は引っかけた足を振り払った反動でキートンを転ばせるため。味方が捕虜に。手榴弾はすっぽ抜けて見方を爆破するため。敵が部下に。銃を土産にするのは重要書類で包んで持ち帰るため。爆弾は土を撒き散らすため。女がやって来るのは爆弾を積んだジープに乗って空爆されるため。ジープは木端微塵になるため。土は人が埋もれるため。ヘルメットは投げ上げるため。机は足を乗せるため。工事のドリルがマシンガンに。人は踏み潰すため。
■「キートンの恋愛指南番」(1931)
プールは水しぶきをあげるため。タオルは投げ置くため。ビラは落とすため。電柱は叩くため。木は人にぶつかるため。釘は飲み込むため。事故は記憶を喪失させてプレイボーイに仕立てあげるため。指は噛むため。男一人部屋に残るのはキートンと相談させるため。机は人が座るため。花は人に引っかけて転ばせるため。手摺は乗り越えるため。壁は人が伝うため。プールは渡るため。ホースは引っかけて転ばせるため。クワは人を殴るため。カーテンはその裏に人を隠すため。失神は人が押し合いするため。階段は人が落下して人にぶつかり倒すため。洗濯箱、洗濯籠はキートンを入れるため。切手は犬に舐めさせるため。エンピツは耳に挟むため。お尻は蹴飛ばすため。椅子はキートンごと押し倒すため。メモするのは綴りを書けないため。臆病を見破られるのは臆病でないことを見せるため。ソファーは人が乗り越えるため。帰るのは帰れないため。肘掛けは人が座るため。階段は滑り台に。バッグは落とすため。夫婦喧嘩は妻をキートンと浮気させるため。タイヤが抜け落ちるのは線路で車を汽車に轢かせるため。汽車が車に衝突しないのはそのあと衝突するため。バッグが大きいのは運び出すため。ヒッチハイクはめかるみの泥を撒き散らして白いジャケットを泥んこにさせるため、また馬車を呼ぶため。バッグは投げ置くため。雨はゴルフバッグの中に水をためてホテルのロビーで撒き散らしみんなで滑って転ぶため、また乾かした女の服を夫の前で返却するため。帽子のツバは雨水を垂らすため。床は人が滑るため。人は人を押し潰すため。帽子は落とすため。札を出すのは硬貨をチップに出すため。雷は光るため、また女をキートンにしがみつかせるため。膝が椅子に。ドアは人にぶつけるため。カバンが洋服掛けに。椅子は人が乗り越えるため、またその周りを人が回るため。ソファーはその上に人が立つため。大女はキスできないため。ソファーが「セッシュウ」に。洋服ダンスは人が隠れるため。キートンは投げ棄てるため。足は人を防御するため。花瓶は投げ割るため。服は投げ置くため。女は投げ置くため。ソファーがベッドに。ドアは寄りかかれないため。銃は煙を吐き出すため、また投げ置くため。タンスは寄りかかって箱を落とし拾う拍子にお尻でスタンドを倒して女の頭に直撃させるため。銃は投げ落として暴発させるため。女を引きずるのは服を脱がせて下着姿にさせるため。タンスのドアははずして人を乗せ戻して中に入れるため、また警官を押し潰すため。窓は人が出入りするため。電柱は2人が縦になって隠れるため。柱は人にぶつかるため。
■「紐育の歩道」(1931)
階段は人が座るため。石は窓を割るため。背広は手形をつけるため。顔は足跡をつけるため。犬はキートンの出のショットを演出するため。野菜、レンガ、タオルは投げるため。車は揺られるため。マイクはくわえるため。車がリングに。野菜は人を滑らせ転ばせるため。カーテンは風に揺られるため。机は人が寄りかかるため。三塁ベースを踏まないのは乱闘して法廷でキートンに子供を助けさせるため。窓が眼に、また鼻をくっつけるため。帽子は脱ぐため。ドアは開かないため、また乗り越えて転ぶため。段差は人がつまずくため。帽子は宣誓させないため。手が帽子掛けに。杖は人の指を潰すため、また水差しを倒すため。椅子は人がこけるため。机は人が乗るため。唾は飛ばして顔にかけるため。杖は人を差すため。子供がキートンを殴るのは殴ってないと証言させるため。鉢植えは落として割るため。縄は引っかけて転ぶため。杖は落とすため。演説は聞かれないため。あん馬は人が座るため。手を広げるのは顔や胸を叩いてキートンを落下させるため。ボールはその上に乗って転ぶため。人はぶつかっておやつを投げ落とすため。帽子がグローブに、また壊れるため。床は人が滑るため。小窓は女とキスをするため、またドアに頭をぶつけるため。子供はボウリングのボールに。口笛は人を呼ぶため。レスリングがダンスに。指は鳴らすため。椅子はどけて尻もちをつかせるため。シューズが財布に。ロープは首を絞めるため。ボクシングがプロレスに。水をカブ飲みさせるのはボディーブローに水を吐いて反撃させるため。右パンチは空振りさせ反動の左パンチでKOさせるため。キートンを担ぐのは鉄棒に頭をぶつけつけさせるため。机は足を乗せるため。ドアは鼻をぶつけるため。窓は人が出入りするため。ローソクの火は消すため。姿焼きは食べられないため、また落としてゴミを払うため、また賄賂を入れるため。時計を盗むのはキートンにかばわせるため。雑誌の見出しが愛の言葉に(ゴダール「女は女である」(1961)に似たシーンがある)。プレーヤーがソファーの背後にあるのは女を誤解させるため。ソファーは人が乗るため。サイレンは鳴り響くため。銃を落とすのは弾入りの銃と交換させるため。キートンが子供を目撃するのは殺されるため。舞台が殺しに、またキートンにブロンドのカツラをかぶせるため。肘掛けが足掛けに。カツラは引っかけて落とすため。服の中が物入れに。スカートは脱がすため。柱は人がしがみつくため。キスするのは髭をくっつけるため。膝が椅子に。剣が傘の骨に。ロープは人をコケさせるため。ケーキは投げるため。樽は人が隠れるため。金髪強盗は金髪のキートンと入れ替わるため。カーテンはシルエットを投射させるため。首を絞めるのはカツラを落とすため。弾は暖炉に捨てて爆発させ敵をホールドアップさせるため。花瓶は割るため。指がピストルに。カーテンは人が隠れるため。椅子は倒して人を引っかけるため。キューは人を殴るため。家具がバリケードに、また崩壊させるため。机がシーソーに。花瓶は投げ割るため。排水管は人が伝うため。ドアは人が隠れるため。懐中電灯は人を殴るため。ズボンは脱がすため。バットは人を殴るため。炭はズボンの中に入れるため、また煙を吐き出すため。机はその上を人が滑るため、またその下に隠れるため。女が背後から抱きつくのはキートンに投げられるため。
■「キートンの決闘狂」(1932)
バーナーは煙を吐き出すため。ライターは点かないため。服、手袋、カバンは投げ置くため。キートンが配管工なのは女の愛人になるため。壁は叩くため。工具は落とし置くため。色男が仏女に迫るのは置物を落として階下の男にシャワーの栓をひねらせてキートンをずぶ濡れにさせ裸で出てきたところを女の恋人に見せて愛人と誤解させ決闘させるため。帽子は脱ぐため。机は足を乗せるため。手袋、タオル、マントは顔をひっぱたくため。帽子は投げ置くため、また撃ち抜くため。マントの鎖は引っかかって転ぶため。銃は煙を吐き出すため。木の枝はぶつかって失神するため。グラス、瓶、皿は投げ割るため。ドアはナイフを突き刺すため。パーティは入れないため。柱はぶつかって転ぶため。人は人にぶつかるため。将軍はキートンの発明した銃を撃たせて自殺者が金をもらえることを教えるため。銃声は死を偽装するため。落下するクモは女のドレスの肩のボタンをはずさせ決闘させるため。ポケットからハンカチを出すのは飴玉?をルーレットに落とすため。名刺は交換するため。テーブルはその下に隠れてお尻を蹴られて立ち上がりテーブルの上のチップをぶちまけるため。木々は風に揺られるため。階段はつまずくため。膝が椅子に。名刺は投げ舞わせるため。テーブルは人がその上を走るため。将軍はキートンに銃を撃たせ逃走させて車を壊させ持ち主の女の恋人を装わせるため。階段は人がコケルため。床は人が滑るため。塀は乗り越えるため。車のエンジンを点検するのは車を乗っ取られるため。車は事故で煙を吐き出すため、また人が寄りかかるため。鼻はつままれるため。帽子は叩くため。床は人が座るため。車の背もたれは人が座るため。壁は人が寄りかかるため。家政婦がドアを開けるのはキートンを部屋に入れるため。コーヒーはこぼすため。砂糖は取り出せないため。陶器は落とし壊すため。朝食は皿ごとぶちまけるため。うがいは存在を知らせるため。ドアは鼻をぶつけるため。窓は人が出入りするため。人は人で押し潰すため。配管工が医者に。目覚まし時計は脈拍を図るため。また鳴り響くため。寒暖計は体温計に、また投げ棄てるため。吸引パイプが聴診器に。じゅうたんはその上に人が乗って滑って転ぶため。姪が叔母に。ベッドは人が乗り越えるため。カーテンは人が隠れるため。名前は間違えるため。あらゆる物は投げつけるため。枕がバリアに。
■「キートンの歌劇王」(1932)監督エドワード・セジウィック 80分 7/1
本は逆さにして読むため。生徒のデート、前任教授の自殺、遺産はキートンを外へ出すため。ソファーは寝そべられないため。手袋、封筒は投げ置くため。手摺は人が乗るため。帽子掛けは人がぶつかって転ぶため。地面は人が寝そべるため。ドアは鼻にぶつけるため。カバンは落とすため。ジョークは通じないため。網棚に帽子箱を乗せるのは人の頭に落とすため。帽子は投げ置くため。椅子は人が乗るため。赤ん坊は受け渡すため。トランクを忘れるのは赤ん坊を忘れるため。トランクは倒すため。帽子がうちわに。汽車はキートンを引きずり煙を吐き出すため。握手は車から転げ落ちるため。汽笛は鳴り響くため。列車に乗れないのは女に再会するため。木々は風に揺られるため。袋は投げ置くため。地面は鳴り響くため。観客は帰るため。書き割りは人が挟まるため。道具箱はその上に人が座るため。劇団が資金難なのはキートンをパトロンにさせるため。机は人が寄りかかるため、また人が座るため(2回)。ソファーは人がぶつかって転ぶため、また転げ落ちるため。肘掛けは人が座るため。椅子は人ごとひっくり返るため。ピアノは人が寄りかかるため。椅子は2人で座って転げ落ちるため。傘の柄は人の腕に引っかけるため。ハンドバッグは投げ置くため。人は人にぶつかるため。服、傘は投げ置くため。テーブルはお尻で押してよろけるため。ハト時計は回転するため。ゴムで結ばれたメガネは人の顔にぶつけるため。ソファーがベッドに、また人がその上に立つため。カクテルは女をふにゃふにゃにさせるため、またキートンを酔わせて女のアパートに泊らせるため。新聞は叩き置くため。ベッドは人が落ちるため。転ぶのは寝ている女を起こすため。傘がバリアに。ポールは倒すため、また人がその上に座るため、また人がその上に立つため、また人を転げ落とすため。幕はキートンの頭を直撃するため。書き割りは人が隠れるため。装置はつまずいて転ぶため。椅子は逆さにされている。ピアノは人にぶつけて転ばせるため。紙吹雪は舞わせるため、またまとめて落とすため。風船は割るため。女に質問するのは殴られるため。床は人が滑るため。水は人にぶっかけるため。拍手するのは傘を落とすため。キートンを二階に行かせるのはロープで宙づりにさせるため。書割は回転させてキートンを走らせるため、また振り回して舞台から振り落すため。
■「キートンの麦酒王」(1933))監督エドワード・セジウィック
帽子は脱ぐため。ドアノブを持つのは車を発進させてキートンをひっくり返すため。車は煙を吐き出すため。名札は奪われるため。膝が椅子に。キートンは引きずられるため。カンガルーが傘立てに。ホースの水は傘をさすため。傘はオチョコになるため、また人の頭を叩くため、またテントに掛けて崩壊させるため。投票所の個室は更衣室に、また倒壊するため。ハケは口に入れるため。泡は引っかけるため。椅子は上がって下がってコケルため。机は人が寄りかかるため。肘掛けは人が座るため。ラジオは撃ち壊すため。銃は煙を吐き出すため。椅子はその上に人が乗るため。コップ、ハケは落とすため。騒ぐのは口を封じられるため。クリームは服にこすりつけるため。剥製は金庫に。本はその上に座るため。ドアは倒れて一緒に人も倒れるため。バケツはかぶるため。工場は失業者の宿に。服は投げ置くため。缶の中身はこぼすため。缶は放り投げるため。ホースの水は人を攻撃するため。帽子は吹き飛ばすため。泡は流れ落ちるため。ビール瓶は叩き潰すため、また泡を噴き出すため。泡は人を滑らせるため、また人を埋もれさせるため。階段は滑り台に。地面は煙を撒き散らすため。2人が手錠でつながれるのは男に4人の警官に抗議させてキートンを振り回し同じ動作を強要させるため。机は叩くため、またその上の物を払い落とすため、また人が座るため(3回)。階段は人が座るため。ボードは破るため。キートンが席を外すのは内緒で本物のビールを作るため。タバコは煙を吐き出すため。人はつつくため。ギャングと契約するのはコートのポケットに札束を入れるため。帽子掛けは倒すため。樽は転がすため。クラクションは人を呼ぶため。窓ガラスはオデコをぶつけるため。足首をひねるのはキートンにだっこされるため。ソファーがベッドに。女はその下をくぐり抜けるため。花瓶の水は女にひっかけてドレスを脱がせてポケットに1000ドル入ったコートを着せて帰らせボスを怒らせるため。バックルは投げ置くため。目を閉じるのは机はぶつかって転ぶため。テーブルは倒して逆さにするため。ソファーは人を倒れこませるため。肘掛けは足を乗せるため。札束は顔を殴るため、また投げつけるため。服は投げつけるため。受話器は落とすため。坂道でトラックがパンクするのは荷台から樽を転げ落としギャングを撃退するため。帽子が吹き飛ぶのは荷台の樽を直して落下させるため。マーケットは車が突っ込むため。車の屋根は人が座るため。キスはキートンを池に落とすため。新聞は投げ上げるため。握手するのはメモを渡すため。樽は人が座るため、また人が中に隠れるため。足場は落ちるため。煙突は煙を吐き出すため。人は人に飛びついて倒すため。足は引っかけるため。窓は人が出入りするため。馬はビールを飲んで酔うため。群衆は証拠隠滅のため。馬はいななくため。帽子は振るため。ビール工場はギャングを退治して禁酒法を廃止させキートンをビール王にさせるため。服は持ち去られるため。