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藤村隆史論文ヒッチコック・ホークス主義
監督別機能・運動連関表 日付は2014年にデータを取った日
アンソニー・マン
■「高い標的」(1951) 78分 11/18
汽車は鳴り響くため(ガタンゴトン)、また煙を吐き出すため。鐘は鳴り響くため。紙は落とし渡すため。指令は断れないため。報告書、バッヂ、新聞は叩き置くため。ガラスが鏡に。コインは落とし置くため。意見は違うため。帽子は脱ぐため。質問は聞かれないため。カバンは人物を特定させるため。格子は影を落とすため。バッヂは無いため。汽笛は鳴り響くため、また煙を吐き出すため。情報は役に立たないため。車輪は回転するため。通路は人で塞がれるため。ランプは揺れるため。メガネは人物を特定させるため。カーブは汽車から死体を振り落すため。情報はもらえないため。酒は飲まないため。子供は騒いで怒られるため。新聞は顔を隠すため。座席は奪われるため。酒は薄めないため。ホルスターはボトルを入れるため。肘掛けは人が座るため。銃は盗めないため。汽車は人が寄りかかるため、またマッチを擦るため。マッチは人の顔に投げつけるため。車輪は拷問に。銃は煙を吐き出すため。通過物は影を落とすため。帽子は落とし置くため。メモ帳は自分のお尻の下に敷くため。汽車は揺れるため。紐は揺れるため、また揺れる影を落とすため。人は人にぶつかるため。壁は人が寄りかかるため。タバコは煙を吐き出すため(弱い)。ランプは振るため。ストーブは電報を燃やすため。新聞が日よけに。銃は空砲のため、また滑らせ渡すため。地面は光るため。壁は人が隠れるため。話はできないため。汽車は出発できないため、また屋根に人が登るため。子供は隠れんぼするため。ブラインドは影を投射させるため。銃は人を殴るため、また銃身を叩き下げて撃たせないため。旗、カーテンは風に揺られるため。唾は吐くため。汽車は馬に引かれるため。ガラスは叩くため。窓の汚れは文字を書いて反対側の窓に反射させるため。口は挟めないため。噛みタバコは椅子を蹴飛ばすため(締まりのないアクション)。布は投げ棄てるため。汽車は人を落下させるため。
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
■「犯罪河岸」(1947) 106分 11/17
背中がフェイドインに。壁は光を投射するため。傘は畳むため。雨は滴を垂らし落とすため。タバコは煙を吐き出すため(劇場のタバコが凄い)。ピアノは人が寄りかかるため。女の脚を触るのは夫を怒らせるため。ガラスは叩くため。ギターはどけて写真を出現させるため。鏡は人を分裂させるため。楽譜は抜けているため。ピアノは叩くため。犬は恥ずかしがるため。赤ん坊は泣かせて連れ出すため。ガムは口の中から引っ張り出すため。おしゃべりは注意されるため。踊り子に見とれるのは妻に盗み見させるため。光は白光させるため。宝石は光るため。カーテンは開けて人を出現させるため。服は落とし置くため。格子は影を落とすため。帰るのは呼び止められて振り向くため。鍋は吹き出し煙を吐き出すため。写真は買えないため。壁は影を投射するため。衝立が洋服掛けに。荷車は影を落とすため。バッグ、服、帽子は叩き置くため。地面は煙を撒き散らすため。ドアは耳をそばだてるため、また叩き閉めるため。人はかき分けるため。猫背の男は女を誘惑して夫を怒らせてから殺され女と夫と親友の女に罪を着せるため。カーテンは閉めるため。キスをするのは写真家の女に盗み見させるため。ピアノはタバコを置くため。伝言は伝わらないため。手摺は影を投射させるため。鍋は落とし置くため。料理をするのは切り抜きを落として見つけるため。本は落とすため。ロープは叩き置くため。チケットは買わないため。座席には座らないため。机は叩くため。コートと帽子を預けるのは疑われるため。光の円は影を落とすため。地面は影を投射させるため。靴は床をきしませて鳴り響かせるため。部屋は散乱しているため。ヘッドライトは光るため。車は盗まれるため。タクシーは止まらないため。地面は光るため。暖炉は揺れる光を投射させるため、またハンカチを投げ入れて燃やすため。死体は蹴られるため。マフラーを忘れるのは親友を疑わせるため。劇場のトラブルは知りえないため。カーテンはシルエットを投射させるため。机は人が座るため。受話器は叩き置くため。手の甲はタバコを叩くため。紙は丸めて燃やしてパイプに火をつけるため。汽笛は鳴り響くため。車は人が寄りかかるため。新聞は叩き置くため。ソファーがベッドに。メジャーは投げ置くため。肘掛けは人が座るため。椅子が洋服掛けに。パイプを吸うのは証拠の切り抜きを燃やして火をつけるため。写真は投げ渡すため。ドアは人が寄りかかるため。歌うのは刑事を見て歌い止むため。給仕は席を外すため。手帳は落とし置くため。椅子は逆さにされている、また人が寄りかかるため。ショーは見ないため。ラインダンスは壁に影を投射させるため。手摺の骨は人が寄りかかるため。裸の女は刑事を驚かせるため。ライターは点かないため。フラッシュは光るため。タバコは落とし棄てるため。タイプライターは鳴り響くため。マッチは?耳かきに。話は聞かれないため。人は間違えるため。宝石は落とし置くため。手前の刑事は奥の女とパンフォーカスを撮るため。雨は揺れる影を投射させるため。引き出しの中身は放り出して叩きつけるため。ローブは首吊りの影を落とすため。タンスは人が寄りかかるため。帽子は脱ぐため。偽証はできないため。机は足を乗せるため。足は人の足に引っかけて転ばせるため。質問は答えないため。帽子は服の雪を叩くため。七面鳥を抱えた刑事は入って来る記者にバトンタッチするため。騒ぐのは怒られるため。タバコの煙は顔に吐きかけるため。椅子は足を乗せるため。タバコは吐き棄てるため。グラスは叩きつけるため。背もたれは人がすがりつくため。座るのは座れないため。地面は人が座るため。手は手にこすりつけるため。階段は人が転げ落ちるため。網は影を落とすため(留置所で)。時計は叩き壊して破片で手首を切るため。血はしたたり落ちるため。鐘は鳴り響くため。隣りの房の女は血を発見するため。通過物は影を落とすため。コーヒーは煙を吐き出すため。キスはできないため。マフラーは忘れるため。雪玉は人に投げつけるため。
エドガー・G・ウルマー
■「忘れられた罪の島」(1943) エドガー・G・ウルマー 80分6/26
眠るのは起こされるため。木々は風に揺られるため。椅子が洋服掛けに。タバコは煙を吐き出すため。机は人が座るため、また人が乗るため。椅子は人を殴るため。階段は人が転げ落ちるため。手摺は壊すため。花瓶は落とすため。嘘は乱闘するため。笑い声は人物を特定させるため。机はひっくり返すため。お尻は蹴るため。椅子は足を乗せるため。酒瓶は人を殴るため。殺人事件は女たちを島へ同行させるため。霧は立ち込めるため。銃は投げ置くため。木は人が寄りかかるため、また影を投射させるため。水面、ブラインドは影を投射させるため。ページは破り取るため。泳ぐのは部屋を調べさせるため。船は波紋を生じさせるため。帽子は吹き飛ばすため。ボンベは泡を吹き出すため。背もたれは足を掛けるため。雲は立ち込めるため。雷は光るため、また鳴り響くため。帽子は投げ置くため。タンスは倒すため。椅子は投げるため。ドアは釘を打ちつけるため。仲間割れは捕まるため。導火線は煙を吐き出すため。風は鳴り響くため。銃は撃てないため、また投げ棄てるため、また煙を吐き出すため。家は流されるため。避難命令を聞かないのはみんなで流されるため。
■「野望の果て」(1948) 103分 11/12
フラッシュは光るため。タバコは煙を吐き出すため。オールは奪い合ってボートを転覆させ娘を助けるため、また水しぶきをあげるため、また服を汚して母親に怒られた後誤解を解くため。泳ぐのは水しぶきをあげるため。ピアノは弾き止めないため、服は叩きつけるため。髪は掴むため。帽子の網は影を落とすため。招待は受けないため。傍には行かないため。呼び鈴は鳴り響くため。夕食は食べないため。胸元は札を入れるため。金はもらえないため。木々は影を落とすため。キスは盗み見されるため。ドアは鳴り響くため。髪はとかすため。涙は光るため。ピアノは人が寄りかかるため。校歌は存在しないため。手摺は影を投射させるため。?投げ棄てるため。生垣は跨ぎ越えるため。親友の恋人は奪うため。呼び方は間違えるため。ドアは耳をそばだてるため。石は投げないため。大声は出せないため。名前は忘れるため。水面は揺れるため。水泳は女に見初められるため。ビリヤード台は人が座るため。名刺は撫でるため。結婚はしないため。マッチは点け直されるため。肘掛けは人が座るため。椅子は叩き置くため。机は人が寄りかかるため。資料は見ないため。電話が通じないのは夕食をするため。ネックレスは光るため。小切手は受け取らないため、またローソクの火で焼くため。布巾は叩き置くため。キスはできないため。指輪ははずして落とし置くため。レストランは浮気を目撃されて殴られるため。格子は十字の影を落とすため。相手は間違えるため。抱くのは抱けないため。ドアは叩くため。ペンは投げ棄てるため。グラスは倒すため。ペンは握り潰して投げ棄てるため。机は人が座るため。銃声は鳴り響くため。酒は飲まないため。グラスは叩き割るため。地面は影を投射させるため。桟橋は人が転げ落ちるため。は柱は人がしがみつくため。人は海に転落して水しぶきをあげるため。汽笛は鳴り響くため。息は泡を吹き出すため。ボートは水しぶきをあげるため。
エリッヒ・フォン・シュトロハイム
■「アルプス颪」(1919) 100分10/13
頭は桶を乗せるため(機能的?)。木々は風に揺られるため。樽は人が座るため。タバコは煙を吐き出すため(凄く)。崖は人が吊るされるため。タバコは投げ棄てるため(何度も)。房は揺れるため。脚を組むのは脚を見せるため。夫に時間を聞くのは詐欺師に答えさせるため。川は馬車で渡って水しぶきをあげるため。ライトは消すため。子供たちは馬車を追いかけるため。帽子は脱ぐため(何度も)。マッチは投げ棄てるため(何度も)。妻がコートを忘れるのは詐欺師に取って来させるため。メイク道具は放り投げるため。写真はそこにキスをするため。テーブルクロスは風に揺られるため。夫が本を読むのは妻を外に行かせて詐欺師と2人きりにさせるため。ウエイトレスは口説いて嫉妬させるため。ハトは可愛がるため。ステッキは回すため(キザたらしく)。椅子が洋服掛けに。コートを忘れるのは詐欺師に持って来させて膝掛けにするため。ホウキは埃を撒き散らすため。蚊は叩き殺すため。葉っぱはちぎって投げ棄てるため。木は画面の手前にナメルため。雲は立ち込めるため。月は見えないため。ローソクは風に揺られるため。新婚夫婦は妻を駆り立てるため。妻をほったらかしにするのは妻と詐欺師を2人きりにさせてピアノとバイオリンの協奏をさせるため。後髪はバックライトに照らされるため。ピアノは人が寄りかかるため。セリフは反復されるため(同じセリフで違う女を口説く)。楽譜は落とすため。女を口説くのは嫉妬させるため。壁は人がすがりつくため。危険な道を勧めるのは遭難させて夫を救援に行かせ妻と詐欺師を2人きりにさせるため。壁は人が隠れるため。髪をとかすのはブラシを落として夫が気づかないのを確かめるため。机は人が寄りかかるため。夫が先に眠るのは妻を浮気させるため。夜明けのカフェで椅子は逆さにされている。旗は風に揺られるため。階段は人が座るため。夫が赤ん坊をあやすのは妻の欲しいみやげものに無関心にさせ詐欺師に代わりに贈らせるため。髪は風に揺られるため。急患は妻と詐欺師を2人きりにさせガイドに情事を目撃させるため。石は人が座るため。帽子、手袋は落とすため。靴は花と手紙を入れるため。土産物は触るため。足音は詐欺師を妻の部屋に入れるため(ルビッチ調)。柱は人が寄りかかるため。斜面は人が登るため。子供はロープに宙づりになりながら鐘を鳴らすため。たいまつは炎と煙を吐き出すため。死体は妻を失神させるため。タオルは落とし置くため。服はその上に座って土産物と名刺を発見するため。指は差されるため。木はシルエットを投射させるため。霧は立ち込めるため。帽子の羽は風に揺られるため。ロープは落とし置くため。ハンカチがうちわに。帽子は投げ置くため。唾は吐くため。タバコの煙は女の顔の前を横切らせるため(余り見ない光景)。服は握った手を隠すため。椅子は逆さに座るため。暖炉は煙を吐き出すため。服は落とし置くため。椅子はその上に人が立つため。手紙は唇につけるため。ドアの下は手紙を差し入れるため。ドアは開かれないため。雑誌は投げ置くため。壁は耳をそばだてるため。夫の出発が早朝なのは妻を別の部屋に寝かせて詐欺師に忍び込ませるため。手紙を背広のポケットに入れるのは落とし易くさせるため、人はシルエットを投射させるため。部屋は間違えるため。崖は人が登るため。服は投げ置くため。岩は人が座るため。土は投げ棄てるため。手摺は人が座るため。カーテンは風に揺られるため。手は揉むため。地面は人が寝そべるため。詐欺師が疲れ果てるのは頂上で寝そべった隙に背後の夫に手紙を見つけさせるため。手紙が舞い落ちるのは内容を夫に知らせず詐欺師に「自白」させて命綱を切るため。ナイフを振り降りかざすのは刺さずに夫に奪わせて命綱を切らせ崖から転落死するため(ナイフは夫を刺すためでなく命綱を切られるため)。命綱は投げ棄てるため。封筒はくわえるため。鳥は地面に影を投射させるため(薄気味悪く動き回る)。ネクタイは風に揺られるため。膝が枕に。斜面は人が下るため。人は落下して煙を吐き出すため。鳥は詐欺師を落下させるため。帽子、ハンカチは振るため。座席は替わるため。
エルンスト・ルビッチ
■「ウィンダミア夫人の扇」(1925) 114分9/6
名札は置き換えるため。手にキスはできないため。手を握るのは時計を見るため。手紙に手が届かないのは男に協力させるため。机は人が寄りかかるため。格子は影を投射させるため。手紙は夫を外出させ妻を男と2人きりにさせるため。新聞の写真は破って立て掛けるため。座れと勧められるのは座らないため。ドアは閉めるため。タバコは煙を吐き出すため(見事に煙っている)、また投げ棄てるため。手紙は投げ置くため。数字は書き足すため。イヤリングは揺れるため。切り抜きは返却しないため。群衆は振り向くため。競馬場は盗み見をするため、またゴシップを流すため(馬券は買われずレースの結果も撮られていない)。旗、帽子の羽は風に揺られるため。女のゴシップを夫がかばうのは妻を嫉妬させるため。帽子は脱ぐため。パンフレットは読むのを一斉に止めるため。ベルを押すのを躊躇するのは躊躇せずに押せるようになるため。帽子は手袋を入れるため。手の甲はタバコを叩くため。メイドを仲介させるのは仲介させなくなるため。タバコは灰皿で消してハマキに気づき嫉妬するため。ハマキは人物を特定させるため。置物はいじるため。シガレットケースは投げ置くため。頬を叩くのは笑わせるため。プレゼントを男に見せるのは自分を盗み見させるため。ガラスが鏡に。窓際で時計を見るのはタクシーで出かける夫を目撃するため。タクシーに乗るのは妻を誤解させるため。ドアノブはいじるため。ゆするのは小切手を切らせて妻に見つけさせ誤解させるため。壁は影を投射するため。来訪はデスクをこじ開けないため。肘掛けは人がすがりつくため。扇は手を叩くため、また夫の手から取り返すため。母親はなかなかパーティに現れないため。手紙を読まないのは招待されていないことに気づかずにパーティに行かせあとから来た男に同行させるため。男が母親より遅れて来るのは母親をパーティに招待するため。メガネは手を叩くため。立ち上がるのはフレームの中に顔だけ映し出すため。扇は握りしめるため、また落とすため。ドレスは光るため。男たちは集まり母親を取り囲むため。女のボスを褒めるのは女たちに取り囲まれるため。壁は人が寄りかかるため。扇は返却されるため。生垣は人を隠すため。人は間違えるため。爪は噛むため。机は指先で叩くため。夫への置手紙は母親に読ませるため。胸元は手紙をしまうため。妻に会いに行くのは会えないため。メイドがライトを点け、また来客が夫を誘うのは妻の不在を夫に知らせないため。スカートはたくし上げるため。立ち上がるのはコートを落とすため。暖炉は手紙を燃やすため。コートは投げ置くため。男たちが遅れて来るのはその隙に娘を逃がすため。車は煙を吐き出すため。娘が興奮するのはソファーに扇を忘れて母親を身代わりにせるため。鍵穴が覗き穴に。客たちはゴシップを目にするため、また帰るため。膝が椅子に。木々は影を落とすため。男をたしなめるのは結婚するため。
オーソン・ウェルズ
■「市民ケーン」(1941) 117分8/6
事物はシルエットを投射させるため。霧は立ち込めるため。水面は揺れるため。ライトは消えて点くため。雪は降り注ぐため。ガラス玉は転げ落ちて割れるため、また鏡に。木々は風に揺られるため。水面が鏡に。帽子は脱ぐため。工場は煙を吐き出すため。水面は水しぶきをあげるため。鉱物は煙を吐き出すため。木はシルエットを投射させるため。メガネは振るため。火の粉は舞い落ちるため。杖は人を叩くため。テントは風に揺られるため。たいまつは炎を燃え盛らせるため。花火は舞い散るため。ゴミは風に舞い上げられるため。帽子はツバを触るため。フラッシュは光るため。セメントは落とすため。柵は画面の手前にナメルため。地面は影を投射させるため。光が帯に。タバコは煙を吐き出すため。人はシルエットを投射させるため(徹底している)。机は人が座るため。雷は光るため、また鳴り響くため。雨は天窓を濡らして歪めるため。「ばらのつぼみ」は運動を起動させるため。取材はできないため。看板は雪玉をぶつけるため。画面の手前の人物・事物は奥とのパンフォーカスを撮るため。権利書が母親の単独名義なのは息子と母親との関係を指示させるため。窓は閉めてから開けるため。父とは抱擁させないため。ソリで人を殴るのは父親に折檻させるため。雪はソリで遊ばせるため、またソリを埋めるため。ハンカチは投げ棄てるため。新聞は広げられるため、また暖炉に投げ棄てるため、また主人公の顔を出現させて出のショットを劇的にさせるため、また叩き置くため、また投げ置くため。机は叩くため。誓約書は人の顔を隠して出すため。ペンは落とし置くため。格子は影を投射させるため。机が鏡に。暖炉は燃え盛るため。鐘は鳴り響くため。荷物はぶちまけるため。人は通り抜けるため。ゴシップに反対するのは反対できないため。窓が下敷に。ガス燈は消すため。一人称は否定されないため。宣言文はもらってから突き返すため。新聞は束にして積み上げるため。ガラスが鏡に(多用されている)。写真が実物に。発行部数は修正されるため。指笛は人を呼ぶため。ハンカチは振るため。天井は影を投射させるため。机は足を乗せるため。帽子は脱いでかぶせるため、また投げ渡すため。グラスがラッパに。服は投げ渡すため。馬車の急発進は尻もちをつくため。ハマキを催促するのはもらえないため。マッチは投げ棄てるため。会話はなくなるため。地面は光るため、また鏡に。雨は馬車の泥を男に跳ね上げ通りかかった女を笑わせ2人を出会わせるため。ドアを閉めるのは開け直すため。壁は影を投射させるため。手が影絵の鶏に。虫歯は痛まなくなるため。女の母親の夢は男の夢になるため。車が演説台に。身は乗り出せないため。フラッシュは煙を吐き出すため。柱は人がよじ登るため。政敵への攻撃は報復されるため、そして友人を転属させるため。スイングドアは開閉するため。新聞は踏まれるため。ハマキの灰は投げ棄てるため。ブラインドは影を投射させるため。事務所は散乱させるため。照明は点滅するため。香?は煙を吐き出すため。人はキャメラの前を横切るため。幕は上昇させて光を上昇させるため。タイプライターが枕に。酔いつぶれるのは劇評を書き継がせるため、また首になるため。タイプライターは鳴り響くため。看護婦を呼ぶのは傍にいるため。教師は辞職できないため。オペラハウスは成功しないため。パンフレットはちぎられてヒラヒラになるため。天井は頭をぶつけるため。拍手は鳴り響くため。地面は人が座るため。手紙はちぎり落とし丸めて棄てるため。編集者宣言は破りちぎり棄てられるため。新聞は散乱させるため。人は影を投射させるため。ドアは叩くため、また押し開けるため。パズルは落とし置くため、また叩き置くため。声は響くため。鳥は飛び交うため(スクリーン・プロセスか合成か?)。喧嘩は妻が殴られるため。ドアは閉めて鳴り響くため。説得はされないため。酒場で椅子は逆さにされている。天窓はキャメラが出入りするため。カウンターはタバコをもみ消すため。タバコは投げ棄てるため。カモメは鳴き叫ぶため。カバンは投げつけるため。シーツはひきちぎるため。置物は振り落し叩き壊すため。箪笥、机はひっくり返すため。棚の中の物はぶちまけるため。酒瓶は投げ割るため。部屋の中を荒らすのはガラス玉に行き着くため。鴨居は影を投射させるため。鏡は男を「分裂」させるため。?は落とし置くため。収集品は散乱させるため。屋敷を整理するのはソリを焼却炉で焼いて文字を浮き立たせるため。ソリは焼却炉に投げ入れるため。煙突は煙を吐き出すため。
■「偉大なるアンバーソン家の人々」(1942) 88分 11/9
馬車は止めてから人が押すため。タバコは煙を吐き出すため。スイングドアは開閉させるため。帽子は雪玉で吹っ飛ばすため。ブーツ、靴脱ぎ機は蹴飛ばすため。ズボンは履くため。木々は風に揺られるため、また影を落とすため。酔っ払うのは転んでベースを潰し壊して女を怒らせ結婚しないため。タバコは投げ棄てるため。帽子は脱ぐため。人は不在のため。車は煙を吐き出すため。人は無視されるため。予想は一つはずれるため。鍬は叩きつけるため。馬車は人を怒らせるため。柵は人が乗り越えるため。ガラスは叩くため。鞭はお尻を叩くため。地面は煙を撒き散らすため。服は風に揺られるため。人は間違えるため。客は女に挨拶するため。階段は人が座るため。酒は飲まないため。名前は聞き直すため。誘いは断らないため。カバンは放り渡すため。風は鳴り響くため。人はシルエットを投射させるため。ドアは開閉させて光と影を投射させるため。セリフは反復させるため。大声で話すのは怒られるため。水面が鏡に、また煙を吐き出すため。レバーは回転させて車体を揺らすため。車は馬車に抜かれるため。馬車は人を転げ落としてキスさせるため、また馬を逃がして青年に車を押させるため。斜面は人が転げ落ちるため。柵は人が飛び越えるため。車はエンストするため。息は白を吐き出すため。排気ガスは人をむせさせるため。房は影を落とすため。人はドアに影を投射させるため。雷は鳴り響くため、また光るため。ケーキはひたすら食べるため(映画史の中でも極上の「食べること」)。ミルクは飲まないため。冗談は通じないため。鉄は打ち鳴らして火花を撒き散らすため。木は人が寄りかかるため。父の死は母親と発明家の噂を立てさせるため。ひづめは鳴り響くため。通過物は影を落とすため。スプーンはいじるため。反論は肯定されるため。布巾は叩き置くため。水道は鳴り響いて声を大きくさせるため。手前の青年のクローズアップは奥の祖父とパンフォーカスを撮るため。人は戻らないため。鐘は鳴り響くため。家政婦は客を迎えないため。すりガラスはシルエットを投射させるため。取り次ぎはされないため。ドアは鳴り響くため。地面は影を投射させるため。盗み聞きはさせないため。ドアは叩き閉めるため。ガラスが鏡に。人はキャメラの前を横切るため。別れの宣言は悲しまれないため。口笛は鳴り響くため。青年が気付け薬を飲むのは女が飲むため。汽車は煙を撒き散らすため、また鳴り響くため(ガタンゴトン)。面会はできないため。ガラスに反射する青年のクローズアップは階下の発明家とのパンフォーカスを撮るため。網は影を落とすため。暖炉は揺れる光を投射させるため。汽笛は鳴り響くため。格子は天井に影を落とすため。話は作り話なため。名前は忘れるため。壁は人が寄りかかるため。地面は人が座るため。ボイラーは人が寄りかかるため。柱は影を落とすため。青年が車に弾かれるのは発明家と和解するため。涙は光るため。光が帯に。声は鳴り響くため(オーソン・ウェルズのナレーション)。
■「黒い罠」(1957)6/21
笑い声は鳴り響くため。トランクは爆弾を入れるため。山車、山羊、通行人は車をノロノロ運転させるため。地面は影を投射させるため。国境の検問は女に「カチカチ音がする」と言わせるため。キスは爆発を劇的にさせるため。車は爆破して煙を吐き出すため。車はよけるため。赤ん坊は写真を撮るため。フラッシュは光るため。ネオンは点滅するため。タバコは人をつつくため。炎は影を投射させるため。柱は人が寄りかかるため。壁は影を投射するため。ゴミは舞い上がるため。ポスターは溶かして煙を吐き出させるため。筒は倒すため。荷車はよけるため。椅子は逆さにされている。風は鳴り響くため。自動ピアノは人を呼び寄せるため。タバコは煙を吐き出すため。壁は人が寄りかかるため。木々は風に揺られるため。話は通じないため。窓枠は影を投射させるため。懐中電灯がスポットライトに。着替えるのは下着姿を見られるため。ハトは飛び立つため。ライトは揺れるため。電球は投げつけるため。指を立てるのはかつらを落とすため。手摺は影を投射させるため。ガラスは叩くため。捜査官がカバンの中に銃を入れるのは盗ませるため。捜査官が電話に呼び出されるのは妻が写真をもらうため。立ち話は盗み聞きされるため。地面は鳴り響くため。杖を忘れるのは警部の足の話をさせるため、またのちに杖を殺人現場に忘れるため。モーテルがへんぴな場所でシーズン外れなのは女を拉致するため。捜査官が被疑者の家に呼ばれるのは妻をモーテルに一人にさせて拉致させるため、また被疑者の家で証拠のねつ造を目撃させるため。警部の相棒が捜査官の妻をエスコートするのはギャングに尾行させて被疑者の家に連行し証拠をねつ造した警部にギャングを利用させてから殺させるため。妻が眠いのは相棒にエスコートさせるため。壁は叩くため。人は行き違えるため。ガラスが鏡に。爆弾は煙を吐き出すため。車を急発進させるのは警部をふんぞり返らせるため。ブラインドは影を投射させるため。英語を話さないのは殴られるため。箱は落として中が空なのを捜査官に知らせるため。顔を洗うのは箱を落とすため。捜査官が妻に電話をかけるために容疑者の家を出るのはその隙に証拠をねつ造させるため。カギは投げ渡すため。捜査官に証拠偽造を知らせるのは警部をギャングと組ませて捜査官とその妻を麻薬中毒にさせるため、また禁酒していた警部に酒を飲ませるため。車のトランクは人が乗るため。机は人が座るため。ギャングへの電話は警部の気を逸らせて酒を飲ませるため。禁酒は破られるため。音楽は人を眠らせないため。狭いエレベーターに乗るのは捜査官を除いて話をさせるため。帽子は投げ置くため。壁は耳をくっつけるため。卵は握り潰すため。バッジは投げ置くため。木は人がしがみつくため。窓は叩き割るため。シーツはロープに。死体がグロテスクなのは妻に下着姿で助けを呼びに行かせるため。ビーズは揺れるため。グラスは叩き割るため。ジュークボックスは人を叩きつけて壊すため。椅子は倒すため。机は人が乗って潰し壊すため。カウンターは倒すため。格子は影を投射させるため。牢の中で捜査官に妻と抱擁させるのはそれを見ていた警部の相棒を「改心」させるため。杖は人物を特定させるため。手摺が洋服掛けに。植木鉢は風に揺られるため。自動ピアノは盗聴を妨害して警部を酒場の外へおびき出すため。柱は人が隠れるため。工場は煙を吐き出すため。階段は人が隠れるため。服は投げ置くため。橋の上を歩くのは盗聴をエコーさせて警部に知らせ相棒を撃たせるため。水面は光を投射するため。警部の手に血が付くのは警部をどぶ川の河原に行かせて手を洗わせるため、またどぶ川を死体置き場にするため。銃声は振り向かせるため。ゴミの山は人が横たえるため。ヘッドライトは光を投射させるため。銃は煙を吐き出すため。水面は光るため。帽子は落とすため。銃は河に落として波紋を生じさせるため。血はしたたり落ちるため。髪は風に揺られるため。地面は影を投射させるため。ピアノは鳴り響くため。
カール・ドライヤー
■「ミカエル」(1924) 90分 10/29
霧は立ち込めるため。タバコは煙を吐き出すため(ひたすら吸う)。メガネは影を落とすため。尋ねるのは軽蔑されるため。髪は掴むため。机は人が座るため(何度か)。名刺は投げ置くため。記者はモデルを怒らせるため。スケッチは否定されてモデルになるため。帰るのは呼び戻されるため。マッチの火は吹き消して煙を吐き出すため。暖炉は煙を吐き出すため。ビーナス像は夫人と公爵を燃え上がらせるため。肖像画を描かないのは描くため。照明は女を照らすため。絵を見せるのは青年と女を見つめ合わせるため。噴水は水しぶきをあげるため。椅子はパレットを置くため。帽子は落とし置くため。椅子が洋服掛けに。手袋は人物を特定させるため、また叩きつけるため。食事で青年を待たないのは悲しませるため。目を描けないのは青年に描かせて女と見つめ合わさせキスさせるため、また目を描いたことを青年に密告させるため。筆は絵を差すため。格子は影を落とすため。肘掛けは人が座るため。チェステーブルは持ち帰るため。窓は閉めるため。キスはしないため。息は白を吐き出すため。通過物は影を落とすため。人はシルエットを投射させるため。ライトは消すため。ドレスは光るため。酒は飲まないため。本は投げ置くため。マッチの火は拒絶されるため。ハンカチは噛むため。紙は落とすため。髪は撫でつけるため(よく髪を触る)。帽子は落とし置くため。女の借金は青年に絵を売らせスケッチを盗ませるため。食器は片付けないため。画商を呼ぶのは絵が売られたことを知らされ買い戻すため。パイプは折るため。本は灰を拾うため。木はシルエットを投射させるため、また風に揺られるため。帽子は脱ぐため。机は人が寄りかかるため。手袋はいじるため。酒を飲むのはグラスがないことを知らせて青年を怒らせ出て行かせるため。抱擁するのは盗み見させて決闘し殺されるため。銃は煙を吐き出すため。墓石が枕に。フラッシュは煙を吐き出すため。青年はパーティに来ないため。スリッパは履かせるため。足は揉むため。置物は影を落とすため。スケッチは倒すため。スケッチを盗まれるのは譲るため。紙の束は暖炉に投げ棄てるため。ローソクは影に影を投射するため。青年は臨終に立ち会わないため。体がベッドに。
■「あるじ」(1925) 105分 11/13
ブラインドは上げるため。鳥籠のカバーは取るため。新聞紙がゴミ袋に。火は母親が点けるため。ズボンは縫うため。時計の振り子は揺れるため。女子供はひたすら家事をするため。夫は眠るため。靴は磨くため。服は落とし置くため。娘の荷物は母親が代わりに持つため。スリッパは持って来させるため。九九は料理をしながら聞くため。コーヒーを食事の前に出さないのは夫を怒らるため。穴の開いた靴、スプーンがないこと、パンとバターがないことは夫を怒らせるため。バターは妻のパンから移し取るため。鳥は夫を怒らせるため。コーヒーはいらないため。コートのブラシかけがまだなのは夫を怒らせるため。椅子は叩き置くため。壁は光と影を投射させるため。靴下がミトン(手袋)に。妻が赤ん坊をあやしに部屋を出るのは乳母がパンとバターを確かめるため。シーツは畳むため。衝立が物干しに。娘は皮むきをしないため。机は人が座るため。地面は影を投射させるため。手摺は人が滑るため。紙袋は丸めて落とし棄てるため。地面は滑って靴をすり減らし父親に折檻されて壁に向かって立たされるため。息は白を吐き出すため。雪玉は人に投げつけるため。襟首は掴むため。声は鳴り響くため(サイレントなので演出上)。靴は脱がせてもらうため。赤ん坊が泣くのは夫を怒らせるため。衝立で服を乾すのは夫を怒らせるため。服は叩きつけるため。挨拶は無視されるため。おかゆが出来損ないなのは夫を怒らせるため。やかんは煙を吐き出すため。やかんの音、立ったり座ったりすること、夫が選択した冷めた肉料理は夫を怒らせるため。机はぐらつくのは足の下につっかえを挟むため。赤ん坊のおねしょ、5人家族で3つしかないリンゴは夫を怒らせるため。乳母を怒らせるのは嫁の母親を連れて来させるため。タバコは煙を吐き出すため、また煙を鳥に吐きかけるため。歩き回るのは板につまずかせるため。義母のお菓子は食べないため。タバコの煙を吐きかけるのは乳母に殴られるため。靴は落とし置くため。椅子は足を乗せるため。肘掛けは人が座るため。鼻をかむのは存在を知らしめるため(「わが谷は緑なりき」(1941)のロディ・マクドウォールのよう)。肘掛けは靴下掛けに。宿題は母親の限界を知らせるため。靴はストーブに立て掛けるため。バッグは落とし置くため。バッグを持つためにしゃがむのは母親と見つめ合うため(しゃがむことで空間の密度を変化させる)。夫の靴は家を出る前に払い戻すため。靴、服は投げ置くため。箪笥は靴を隠すため。お湯は煙を吐き出すため。妻はいないため。ハムは無いため。パンは叩き置くため。洗濯物がフレームに。やかんは(夫が)自分で火から降ろして火傷するため。洗濯物は叩きつけるため、また投げ置くため。鉢植えは投げ割り土を撒き散らすため。鳥籠の餌はこぼし落とすため。鳥籠は投げ棄てられないため。壁は人がすがりつくため。鳥かごの中の輪っかは揺れるため。手は触れ合わせるため。エプロンは握りしめるため。洗濯ロープは人がくぐり抜けるため。胸が枕に。妻が重病なのは田舎へ行かせて夫を遠ざけるため。医者は夫を妻に会わせないため。ドアは耳をそばだてるため。洗濯物は人がくぐり抜けるため。髪は編むため。お休みの挨拶はできるため。手は塞がっていると言えないため。モタモタするのは怒られるため。包は脇の下に挟むため。洗濯屋は追い返せないため。靴は自分で磨くため。帽子は針を刺すため。髪は撫でつけるため。ゴミ箱は埃を撒き散らすため。鳥に水をやり自分で靴を脱ぐのは娘に盗み見させるため。膝が椅子に。買収はされないため。ベルトは手紙を挟むため。ローソクの火は手紙を燃やすため。手紙は切り取るため。長椅子がベッドに。船は煙を吐き出すため。クツと服は撤収されるため。洗濯物は自分で持って階段を上るため。話は聞こえないため。赤ん坊のおしめを替えるのは盗み見されるため。ピンはくわえるため。シーツは自分で畳むため。鍋は煙を吐き出すため。テーブルのつっかえは自分で挟むため。カップを自分で運んで洗うのは妻に盗み見されるため。小窓は開けて盗み見するため。ヘアピンは取れかかるため。ネクタイは曲がっているため。話は切り出せないため。手紙は落とし置くため。鳥のオモチャは手紙を届けるため。ストーブを見させるのは手紙を発見させるため。物差し?は振り回すため、また投げ置くため。。耳は引っ張るため。壁を向いて立たされるのは振り向いて妻と再会するため。髪は光を投射されるため(妻の髪の毛のてっぺんが光っている。これが映画)。洗濯物は風に揺られるため。遊ぶのは母親の帰りを知らされるため。誤解は解かれるため。膝の汚れは行動を見破られるため。時計が止まるのはハート型の振り子を揺らして2人で見つめ合うため。
■「吸血鬼」(1931) 68分7/30
看板はシルエットを投射させるため。ガラスは叩くため。電気は消えるため。鈴は鳴り響くため。網がバッグ掛けに。ブラインドはシルエットを投射させるため、また天井に影を投射させるため。ローソクがライトに。鍵は回転するため。ドアは叩くため。水面が鏡に。地面は影を投射させるため(徹底している)。すりガラスはシルエットを投射させるため。壁は影を投射するため(凄い)。木々は影を落とすため。影は本体と合体するため。網、振り子、人、揺れる車輪は影を投射させるため。犬は鳴くため。手摺は触るため。ドアは開くため。帽子は脱ぐため。しゃれこうべは見つめるため。ローソクは風に揺られるため、また消して煙を吐き出すため。狙撃手はシルエットを投射させるため。燭台は落としてローソクを床に染み込ませるため。床は人が寝そべるため。ガウンの男は死んで本を遺すため。ベンチがベッドに。人は運ばれるため。帽子は落とすため。血は地面に滲むため。長椅子がベッドに。ベルは鳴り響くため。お湯は煙を吐き出すため。椅子がベッドに。ドアの隙間は光を差し入れるため。ドアは開閉させて光と影を投射させるため。光は点滅するため。手摺は影を投射させるため。壁は棒を立て掛けるため。男が転ぶのはベンチで眠らせて魂を分離させるため。雲は立ち込めるため。ローソクがマッチに。タバコは煙を吐き出すため。回転ドリルは鳴り響くため。鐘は影を投射させるため。木々はシルエットを投射させるため、また揺れる影を落とすため。塀は人が座るため。杭は投げ置くため。墓は暴いて死体に杭を打ち込むため。光が帯に。雷は光るため。ドアは空かないため。オウムはシルエットを投射させるため。階段が死体置き場に。滝は水しぶきをあげるため。柵は抜きくぐるため。霧は立ち込めるため。歯車、風車は回転するため。粉ひき場に入るのは閉じ込められて粉で生き埋めにされるため。粉は舞い落ちるため。網は人がしがみつくため。木々は風に揺られるため。歯車は停止するため。
■「ガートルード」(1964) 110分 11/14
鐘は鳴り響くため。タンスは人が寄りかかるため。机は人が座るため。質問は答えないため。キスはできないため。本の内容は覚えていないため。酒は飲まないため。生活費は忘れるため。母親は帰宅させるため。肘掛けは人が座るため(何度も座っている)。机、壁は人が寄りかかるため。水面が鏡に。鳥は鳴き響くため。木々は風に揺られるため、また影を落とすため。壁はキャメラで横切るため。光は白光させるため(露出オーヴァーで真っ白な光)。長椅子がベッドに。助言は聞かれないため。格子は影を落とすため。ブラインドは下げるため。壁は影を投射するため(女が服を脱ぐシーンを)。ライトは消すため。通過物は影を落とすため。蹄は鳴り響くため。妻は劇場にいないため。花瓶が灰皿に。タバコは吸い継がせるため。たいまつは炎と煙を吐き出すため、また妻の頭痛を生じさせて退出させ控室で作家と2人で話をさせるため。ショールは振るため。帽子は脱ぐため。夫が呼び出されるのは妻と詩人を2人きりにさせるため。詩人はパーティでピアニストが女を侮辱したことを知らせるため。唄うのは失神するため。石段は人が座るため。水面は波紋を生じさせるため。木はシルエットを投射させるため。旅には一緒に出ないため。鏡は人を映し出すため(機能を超えている)。暖炉は灰皿の灰を棄てるため。本は本棚にしまうため。写真はちぎって投げ棄てるため。メモは女を怒らせるため。ローソクは点けてから消すため。夫が電話に呼び出されるのは妻と詩人を2人きりにさせるため(夫の不在による密会は三度目)。立つのは立てないため。妻の言葉は夫を怒らせるため。写真は破って暖炉で燃やすため。ドアを開けるのは鐘を鳴り響かせるため。新聞は落とし置くため。暖炉は手紙を焼くため、また燃え盛るため。階段は影を落とすため。
キャロル・リード
■「第三の男」(1949) 102分 10/26
弦は弾き揺れるため。腕時計ははめるため。海は死体を流すため。門、木は影を落とすため。旗は風に揺られるため。汽車は煙を撒き散らすため。手摺は影を投射させるため。迎は来ないため。訪問先は不在のため。言葉は通じないため、また変えるため、また通訳するため。ランプの修理は死を告げるため。木々は風に揺られるため。帽子は脱ぐため。土はかけないため。落ち葉は風に吹き上げられるため。雑誌は投げ置くため。グラスは転がすため。タバコは煙を吐き出すため。手摺はしがみついて回すため。殴るのは殴られるため。小説家なのは講演をして宿泊費を稼ぐため。ガラスが鏡に。本は人物を特定させるため、また方向を差すため。ポール、銅像は人が寄りかかるため。警官は人の間に割り込むため。帰国はしないため。腕輪は落とし置くため。座るのは立つため。お代わりはいらないため。地面は影を投射させるため。管理人は情報を提供してから殺され小説家を疑わせるため。脇の下は書類を挟むため。名前は間違えるため。預かり証はいらないため。格子は影を落とすため。犬は持ち主を推測させるため。ローソクの芯はいじるため。彫像は埃を吹き払うため。パンタグラフは火花を散らすため。軍票を使えないのは財布の中から写真を出して見せるため。柱は影を落とすため。ポールの蓋はいじるため。ト書き、台本は読まないため。壁は人が寄りかかるため。地面は光るため。壁は影を投射するため(巨大な影が何度も)。映画館は人が隠れるため。クラクションは人を呼ぶため。地面は鳴り響くため。車は煙を吐き出すため。監禁が講演に。客は帰るため。オウムは鳴き響くため、また人の指を噛むため。窓は人が出入りするため。スクラップは人が隠れるため。窓枠は人が座るため。スライドは間違えるため。旅券、帽子は落とし置くため。猫は闇屋にしかなつかないため。紐はいじるため。ライトは点滅させるため。涙はしたたり落ちるため。猫は鳴き響いて居場所を知らせるため。大声はライトを点けさせて闇屋を照らし出すため。車は闇屋を逃がすため。足音は鳴り響くため。噴水は人が寄りかかるため、また水をかけるため。下水は水しぶきをあげるため。石段は人が座るため。息は白を吐き出すため。墓は掘り起こすため。涙は光るため。椅子が洋服掛けに。握手はしないため。観覧車は人を突き落さないため。ガラスの曇りは文字を書くため。人がバリアに。ガラスは叩くため。汽笛は鳴り響くため。汽車は影を通過させるため、また乗らないため。旅券は破り捨てるため。ドアは開閉するため。シートは風に揺られるため。人は間違えるため。風船売りは邪魔をするため。煙突は煙を吐き出すため。帽子は投げ棄てるため。下水道は人が逃走するため。たいまつは煙を吐き出すため。懐中電灯は光るため。手摺は人が乗り越えるため。壁は人が隠れるため。下水は走って水しぶきをあげるため。声は鳴り響くため。銃は煙を吐き出すため。階段は人が這い上がるため。水滴、風、銃声は鳴り響くため。葉は舞い落ちるため。荷車は人が寄りかかるため。女は通過するため。マッチは投げ棄てるため。
クロード・オータン=ララ
■「肉体の悪魔」(1947)119分 11/30
鐘、爆弾は鳴り響くため。人はかき分けるため。ブラインドは影を投射させるため。猫は撫でるため。旗は風に揺られるため。樽は転がすため。帽子は落とし置くため。病人は2人で抱えて失神するため。ドアは人が寄りかかるため。手摺は影を投射させるため。柱は人が寄りかかるため。杭が洋服掛けに。汽笛は鳴り響いて声をかき消すため。水面は地上に揺れる光を投射するため(凄まじく)。柵は人が飛び越えるため。切手は売るため。カバンは投げ置くため。ガラスが鏡に。帽子は脱いでしまうため。写真は落とし置くため。帰るのは帰らないため。指は鳴らすため。ワインはけなして皆で飲んで思い出にするため。抱きつくのは抱きつけないため。机は叩くため。船は水しぶきをあげるため。水面は揺れる光を投射するため。船は煙を吐き出すため。手伝いはいらないため。木々は揺れる影を落とすため(凄く)。暑いのはカーテンを開けてキスをして青年に目撃させるため。花束は落として蹴り青年に目撃させるため。窓はシルエットを投射させるため。郵便は来ないため。鳥は鳴き響くため。頬のインクは拭き取るため。格子は影を落とすため。ドアは叩き閉めるため。女に会いに行くのは叩き出されるため。草は触れて揺らすため。手摺はバッグを置くため。手紙は叩きつけるため。銃は奪われるため。女に会いに行くのは会わずに帰るため。水面が鏡に、また雨を降らせて波紋を生じさせるため(「文学的」演出)。手袋は落とし置くため。タバコを吸うのは女にライターで火をつけさせるため。クローゼットを開けるのは男を鏡に映すため。手摺が洋服掛けに。布は落とし置くため。窓は人が出入りするため。木は人が隠れるため。塀は人が乗り越えるため。雨は降り注ぐため。暖炉は揺れる影を投射させるため。机は人が座るため。鍋は煙を吐き出すため。雨は体を濡らして背中をこするため。ライトは消すため。暖炉は炎と煙を吐き出すため、また手紙を燃やすため。床は人が這うため。炎は人をキャメラから遮るため。ベルの鳴らし方は人物を特定させるため。手紙は投げ棄てるため。戦争は夫を不在にさせて妻に浮気させるため。木々は風に揺られるため。膝が枕に。ボートで浮気するのは目撃されるため。嘘はばれるため。食器、布巾は叩き置くため。手紙の破片はつなぎ合わせるため。サイレンは鳴り響くため。レコードはしぼむため、また消すため。カーテンは閉めるため。夫には会いに行かないため。タバコは煙を吐き出すため。みかんは口移しするため。汽車、汽笛は鳴り響くため。人は間違えるため。太鼓は鳴り響くため。エンピツは机を叩くため。本は投げつけるため。バッグは叩き渡すため。女はいないため。汽車は煙を撒き散らすため、また影を投射させるため。肩が枕に。コップは握り割るため。混んでいるのは強い酒を飲むため。帽子は交換するため、また放り上げてキャッチするため。情報は正確でないため。椅子はその上に人が立つため。酒は飲まないため。椅子がベッドに。付き添いはできないため。雨の滴はしたたり落ちるため。壁は人が寄りかかるため。石は蹴飛ばすため。話はできないでタバコの火をもらうため。タバコは投げ棄てるため。帽子は脱ぐため。寝言はすり替えられるため。網は人をキャメラから遮るため(2度)。暖炉の炎は消えるため(「文学的」。)。女が妊娠するのは子供を産んで死ぬため。人は邪魔なため。ローソクは風に揺られるため。葬式が祝祭に。
サミュエル・フラー
■「ショック集団」(1963) 100分 11/26
柱?は十字の影を落とすため。ガラスが鏡に。カーテンは開けるため。予行演習は失敗するため。タバコは煙を吐き出すため。暖炉はマッチを投げ棄てるため。格子は影を落とすため。タバコは払い落とすため。机は人が寄りかかるため。カーテンは払いのけるため。ボンボンは息で吹き揺らすため。ドレス、ショール?は投げ置くため。電話はしないため。ショールは落とし置くため。足は足で掻くため。協力しないのはするため。ティッシュは叩き棄てるため。予想は悉く当たるため。カーテンはひきちぎるため。壁は人が寄りかかるため(頻繁に)。手帳は叩きつけるため。書類はいじれないため。ワゴン、スチームは人が寄りかかるため。床は人が座るため。鍋は煙を吐き出すため。ライトの傘は影を落とすため。コップは叩き潰すため。食事は噛み響くため。コップはひっくり返して人に水を浴びせるため。机はひっくり返すため。椅子はその上に人が立つため。食器は落とし置くため。人はキャメラの前を横切るため。ベッドの柵は足を掛けるため。眠るのはうなされるため。架空のナイフは逆手で握られている。水はこぼし飲むため、またこぼすため。ソファーがベッドに。ラジオは人が寄りかかるため。額縁は傾きを直すため。指はラジオを叩くため、また撫でるため。床は踏み鳴らすため。ギターは壁を叩くため。ピアノは叩くため。ドアは開かないため。女たちがゾンビに。壁は影を投射するため。列車の車輪は富士山とキャメラのあいだを遮るため。すりガラスはシルエットを投射させるため。セリフは反復させるため。人は行ったり来たりするため。ガムは噛み鳴らすため。足音は鳴り響くため。机、スチームは人が座るため。ボードは人の手を持ち上げるため。ドアは叩くため。セリフは重ねるため。暴れるのは拘束着を着せられて黒人に質問するため。質問は答えないため。キスは記者が女を妹だと思っていることを知らせるため。長椅子はその下に人が隠れるため。指は鳴らすため。人は肘にぶつかるため。電気ショックは声を出なくさせるため。スケッチブックは人を叩くため。椅子は倒すため。自画像を描かせるのは記者を狂わせて犯人の名前を忘れさせるため。長椅子は引きずるため。雷は鳴り響くため、また光るため。水滴はしたたり落ちるため。廊下は雨を降らせるため。地面は人が滑るため。椅子は投げるため。滝は水しぶきをあげるため。悲鳴は鳴り響くため。人は人が飛び越えるため。机は人が乗り越えるため。バスタブは人がお尻から落ちるため。積まれた空き缶は突き崩すため。食器棚は押し倒すため。樽は投げつけるため。机はその上に人を滑らせ食事を払い落とすため。床は頭を叩きつけるため。網は影を落とすため。棒切れは折るため。
ジャック・ベッケル
■「偽れる装い」(1944) 106分 11/10
枯れ木はシルエットを投射させるため。座るのは座れないため。オブジェは影を落とすため。机は人が寄りかかるため。生地は机の上から落とすため、また落とし置くため。指は鳴らすため。頭を下げるのは下げられないため。肘掛けは人が座るため。椅子が洋服掛けに。服は脱がせるため。木地が悪いのは苦情を言いに行った先で女と巡り会うため。ビロードのドレスは着られないため。女の2人組は車の発進を目撃するため。格子は影を落とすため。壁は影を投射するため(ラストシーンの飛び降りも)。生地は叩きつけるため(何度も)。アパートは改装するため。エレベーターは下降してから上昇するため。ベルは鳴らないため。タバコは煙を吐き出すため、また投げ棄てるため。ドレスのデザインは変更されるため。ブスとの品評はその女が元カノであることを指し示すため。シェービングクリームは顔に塗りたくるため(結局髭は剃らない)。床は人が滑るため(まるでスラップスティックコメディ)。ペンは叩き置くため。スケッチは女への思いを指示させるため、また落とし置くため。メジャーは首から下げるため。本が重りに。帰るのは呼び止められて振り向くため(何度も呼び止めて振り向かせている)。木々は風に揺られるため。帽子は脱ぐため。ブレーキは鳴り響くため。2人組の女は包を受け渡すため(2人組がよく出て来る)。箱は投げ置くため。コンサートは行かないため。婚約者が不在なのは女に浮気させるため。レストランで男を探すのは男の客たちに見とれられるため。天井は人影を投射させるため。布巾は振り回すため。シャンパンは飲まないため。カマンベールは食べないため。女は男を目撃して怒って帰るため(ここもアベックで2人組)。タバコの煙は通過する女に巻き込まれるため(こんなのを見たことはない)。枯れ木は影を落とすため。話は聞いていないため。カードがうちわに。ドレスはカードを貼って女を特定させるため。ドアは人が寄りかかるため、また叩き閉めるため。机が鏡に。家族が帰宅するのは部屋を移るため。電話は仕事をしながらするため(仕事に衝かれている)。受話器は人に持たせるため。声は鳴り響くため(受話器から)。マネキンが人間に。氷入れは灰皿に。バッグの金具は光るため。キスは拒絶してからするため。帽子は脱がせるため。ライトは光るため。机は人が座るため。自転車は出口を横切るため。輪っかは棒を通すため。タバコの火は与えるため。鳥は餌を食べるため。茂みは自転車を立て掛けるため。ベンチがあるのは座るため(殊更ベンチが置いてある)。ネックレスははずすため。鳥は飛び立つため。見るのは人を怒らせるため。背もたれは人が座るため(まるでスクリューボールコメディ)。暗いのは子供に電気をつけさせて女を招き入れるため。ピンポンは鳴り響くため。スコアは間違えるため。ラケットがうちわに。ドアが鏡に。ピンポンは首を左右に振るため(ヒッチコック「見知らぬ乗客」(1951)のように)。口は挟めないため。耳はタバコを挟むため。タバコはあげないため。ベールの宝石は光るため。梨をむくのは客を待たせて怒られるため。食器は落とし置くため。布巾は叩き置くため。人が行き過ぎるのは戻って握手するため。手の甲はタバコを叩くため。電話は出ないため。椅子は逆さにされている。招待状を送らないのは怒られるため。人がバリアに。壁は人が寄りかかるため。ドアは耳をそばだてるため。人はかき分けるため(何度も)。騒ぐのは「しー!」を鳴り響かせるため。牛乳は受け取られないままのため。電話は鳴り響くため。ブラインドは影を投射させるため。札束は落とし置くため、また叩き置くため。女を口説くのは元カノに盗み聞きさせて自殺させるため。財布?は叩き置くため。トランクが閉まらないのは婚約者に閉めさせるため(残酷)。握手はしないため。駆け落ちしないのはデザイナーを自殺させるため。電話は代わりにかけられないため。汽車は乗らないため。ドアを開けるのは寄りかかっていた人を倒れ込ませるため。話は聞こえないため。客の接待はデザイナーを一人にさせるため。ドアノブは動かすため。ドアは叩くため。カーテンは風に揺られるため。窓は人が身投げするため。見ようとするのは見られないため。マネキンは心中するため。
ジャン=リュック・ゴダール
■「勝手にしやがれ」(1959) 90分9/19
新聞は顔を隠してから出して出のショットにさせるため。タバコは煙を吐き出すため(終始一貫して吸い続けている)。唇は撫でるため。クラクションは鳴り響くため。ガラスが鏡に(何度も)。旗は風に揺られるため。車が置いてあるのは盗ませるため。カバンは人が座るため。木々は太陽を間断的に光らせるため。車を追い抜くのは白バイに追跡させるため。地面は鳴り響くため、また煙を吐き出すため。車が故障するのは警官に見つけさせて殺すため。木の枝は引き倒して倒れるため。フロント係が外へ出るのは鍵を盗ませるため。新聞は靴を磨くため、また投げ棄てるため。手摺は足を掛けるため。ドアは人が寄りかかるため。布団の中に潜るのはその隙に財布を探らせるため、またお尻を見せるため。パジャマは破れるため。ぬいぐるみは振り回すため、また放り上げるため。タバコの箱が文字に。机は人が寄りかかるため。マッチは投げ棄てるため(ひたすら投げ棄てている)。服をかぶるのは財布から金を盗ませるため。人はキャメラの前を横切るため。シネマ誌は買わないため。事故は人が死ぬため(ただそれだけ)。カウンターが鏡に。手紙は丸めるため。地面が鏡に。飛行機の模型をいじるのは刑事に振り向くため。嘘はばれるため。階段は影を投射させるため。ボギーの写真は煙を吐きかけるため。車は人が寄りかかるため。帽子は脱いで女にかぶせるため。トイレは強盗をするため。ナイフは落とし棄てるため。木々は影を落とすため。火は貸さないため。手は肩に掛けられないため。キスをするのは男に目撃させるため。街灯は一斉に点火されるため。点字ブロック?が飛び石に。窓の取っ手が洋服掛けに。ベッドは人がその上に立つため、また乗り越えるため。しかめっ面はラストシーンで反復させるため。雑誌は叩き置くため。バッグは投げ置くため。スカートはめくりあげて殴られるため。マッチはすぐに点けないため、またすぐに点けるため。服は落とし渡すため。タバコの煙は人の顔に吐きかけるため。ぬいぐるみは投げ置くため。ポスターは丸めて望遠鏡にするため。お尻は触られるため。壁は人が寄りかかるため。バスタブは人が座るため。タンスはプレーヤーを置くため。サイレンは鳴り響くため。服は投げるため。レコードのジャケットは噛むため。お尻を触るのは殴られるため。サイレンは会話をかき消すため。タバコは投げ棄てるため。服は脱がせないため。作家の名前は知らないため。帽子は叩き置くため。シーツは頭からかぶってうごめくため。ラジオは消すため。服は投げつけるため(ジョン・フォードみたいに何もかも投げる)。ドアノブはバッグを掛けるため。胸が枕に。サングラスははずすため。エレベーターは上昇してから下降するため(わざわざ上まで付いて行くことはない)。サングラスが鏡に。自転車のベルは鳴り響くため。服を買うのは男を待たせてゴダールに密告させるため。新聞を売るのは男の顔写真をゴダールに見せるため(唐突に新聞が売られている)。頭巾は風に揺られるため。質問は答えないため(空港でのセバーグの最初の質問に作家が答えないのは●「三十九夜」(1935)のミュージックホールでロバート・ドーナットの質問にミスターメモリーがなかなか答えないのと似た気恥ずかしさを露呈させている)。ペン、サングラスはくわえるため。車は人が飛び乗るため。飛行機のエンジンは鳴り響くため。窓枠がフレームに(タクシーの)。借金は回収できないため。スカートはまくるため。人はシルエットを投射させるため。タイプライターは鳴り響くため。新聞は人を叩くため。木々は風に揺られるため。映画館とトイレは尾行を巻くため。窓は人が出入りするため。鍵?は放り上げ落としてから拾うため。街灯、ベッドライト、ネオンは光るため。車は人が隠れるため。照明は光るため(強く)。サングラスが片目に。スカートは窓枠に舞わせ掛けるため。帽子は振るため。机は足を乗せるため。椅子が洋服掛けに、また帽子掛けに。新聞と牛乳を女に買いに行かせるのは密告させるため。スコッチはないため。肘掛けは人が座るため。照明は点けてから消すため。車は走って追いかけるため。銃は投げ棄てるため、また投げ落として渡すため。目は手で閉じらせるため。遺言は直接伝達されないため。
■「アルファヴィル」(1965)ゴダール 100分9/23
ライトは点滅するため(終始ライトが点滅している)。ヘッドライト、ビルの窓、ライター、街灯、電車、地面は光りを投射するため(個々の光が照明の役割を終始果たしている)。荷物は持たせないため。チップは渡さないため。質問は答えないため。鍵は振り回すため。ランプシェードは点灯させるため。カバンは投げ置くため。壁は叩くため。足音は鳴り響くため(むき出しの音)。服は投げ置くため。パンティは引っ張ってから放して肌を打ち鳴らすため。鏡は人をぶつけて割るため。椅子は人を殴るため。バスタブは人が座るため。ガウンは人にかぶせるため。ドアのガラスは割るため。鏡は撃ち割るため。フラッシュは光るため(あきれ返るほど何度も光る)。ポスターは撃ち抜くため。?は投げるため。雑誌は投げ置くため。モールスは鳴り響くため。声は振動するため。銃はライターを点火させて女を登場させるため、また鳴り響くため、また光るため。壁は人が寄りかかるため(何度も)。タバコは煙を吐き出すため。恋について聞くのは恋を知らないため。音声は消えるため。柱、壁はキャメラを人から遮断するため(溝口的)。ガラスが鏡に。ドアは蹴って開けるため。電話ボックスは人が隠れるため、また死体置き場に。ナイフは光るため。ドアは腕を挟むため。写真の男について聞くのは知らないのが自分だけなため。蛍光灯は光るため(むき出しの光)。タイプライターは鳴り響くため。新聞は丸めて方角を指し示すため。街灯は点滅させるため。席には座らせないため。豆は落とし食べるため。裸電球は光るため(殊更光っている)。脚は触るため。窓ガラスは叩くため。指は鳴らすため。鍵は無いため。本は叩き棄てるため。タバコは投げ棄てるため。札は投げ渡すため。お尻は叩くため。階段は人が座るため。ネオンは光を点滅させるため(ひたすら)。裸電球は揺らして影を揺らすため。ドアは人が隠れるため。枕はその下に本を隠すため。SEXは発作を起こし遺言を残して死ぬため。本は顔を隠すため。懐中電灯は光るため。スライドは光を点滅させるため。ファンは回転して断続的に光を放たせるため。信号は点滅させるため。マシンガンは鳴り響くため。プールは人を落下させて水しぶきと波紋を生じさせるため、また銃殺場に。水面は揺れる光を投射するため。手にキスがウィ!に。水面が鏡に。人は人にぶつけるため。人がピンボールに、また引きずるため。スパイを失神させるのは女を泣かせるため。ビルは蛍光灯の列を光らせるため。マイクは行ったり来たりさせるため。光は強弱を生じさせるため。蛍光灯は一斉に点くため。机はその上に人が立つため。コンピューターは円盤を回転させるため、また鳴り響くため、またいじれないため。天井が鏡に。円形のオブジェは回転して光るため。劇場が処刑場に。門の飾りはシルエットを投射させるため。自動販売機は「ありがとう」を出すため。「ありがとう」は投げ棄てるため。階段は靴を磨くため。掌は叩くため。唇は撫でるため。格子は影を投射させるため。肘掛けは人が座るため。辞書が聖書に。テレビ画面が鏡に。人はシルエットを投射させるため。ランプシェードは点けてから消すため。タオルは叩き置くため。ドアの取っ手のプレートが鏡に。笑うのは逮捕されるため。地面は鳴り響くため(ハリウッド映画的にききき~!っと)。人は壁にぶつけるため。ドアは押し破るため。ポジがネガに。パトカーは乗っ取られるため。肩はドアを押し開けるため。機械は鳴り響くため。資料は叩き置くため、また投げ置くため。ボタンは光り響くため。電車は鳴り響くため(ガタンゴトン)。廊下が迷路に、また壁を伝って歩くため。壁は人がすがりつくため。車は撫でるため、また人の顔を踏み潰すため。Uターンは模倣されるため。逃走車が追跡者に(チャップリン、キートンがよくやる。追われている側が追う側に転化する)。階段は車で降りるため。車は車にぶつけるため、また煙を吐き出すため。階段は人が寝そべるため。ブラウン管は波打つため。床は人が滑るため。柱は人が寄りかかるため。ドアは開閉させるため。フロントガラスは街灯を反射させるため。振り向くのは振り向かないため。
ジャン・ルノワール
■「のらくら兵」(1929) 82分10/9
召使いと小間使いはキスをするため。机は人が座るため。召使いを呼び出すのは呼び出しボタンを揺らすため。マントルピースは人が寄りかかるため。果物はこぼし落とすため。はたきがライフルに。人は這いつくばるため。バナナの皮は投げ棄てたあと踏んづけて転ぶため。引き出しは落として中をぶちまけるため。料理は煙を吐き出すため。ピアノは弾き止めないため。地面は人が座るため。しゃべるのはイヤリングを揺らすため。お盆は落として肉をぶちまけるため、また落ちた肉をしゃがんで拾わせモーニングの背中を破けさせるため。ハンカチがうちわに。落とした肉は蹴飛ばすため、またポケットにしまうため、またそのまま客に出すため。スープは服とズボンにこぼし持ってきたベンジンを飲ませて吹き出させ女の顔にぶちまけるため。ベンジンは暖炉に棄てて炎と煙を吐き出すため。椅子は倒すため。銅像の靴はどけて土台に人が座るため。槍は倒れるため。皿はスープごと落とすため。帽子は奪われるため。タバコは煙を吐き出すため。人はひしめき合うため、また人にぶつけるため。帽子は交換するため。お尻は蹴飛ばすため。ベッド、椅子はその上に人が立つため。帽子は投げつけるため、また脱ぐため。質問はできないため。人は人の通行を遮るため。紐は足に引っかけさせて水の入った缶を落として頭からぶちまけるため。服、靴は投げ置くため。握手はしないため。人は人にぶつけ回すため。手押し車は人が座るため、また倒すため。ホウキがライフルに。壁は人が寄りかかるため。長髪は丸刈りにされるため。髪の毛は落とし棄てるため。担架はふらふらの男をぶつけて病人を落としそのままふらふらの男を乗せて行くため。ガスマスクは兵士の目を見えなくさせて崖から転げ落とし崖下の女をひっくり返すため(完全なドタバタ=スラップスティックコメディ)、また将軍たちを追い抜かせるため、また女子供を追いかけさせて将校にぶつけて転ばせるため。ライフルが杖に、また投げ棄てるため。木は人が寄りかかるため。木々は影を落とすため。人は折り重なるため。お遊戯は蹴散らされるため、また動く物体を目のよく見えない兵士たちに追いかけさせるため。袖がタオルに。銃剣は人形をつつくため。人形は握手するため。カバンは足を乗せるため。脚がかゆいのは掻いて兵士たちに見せるため(女〈フリデット・ファトン〉がいきなりカバンを置いてその上に脚を乗せストッキングの上から脚を掻く運動力)。柱は人が寄りかかるため。枕は投げ渡すため、また人の体に。スカーフは叩き置くため。ベッドはその下に人が隠れるため。布団は落とすため、また投げ置くため。マッチは投げ棄てるため。髭は撫でつけるため。帽子、バッグは叩きつけるため。枕は人に投げつけるため、また人を殴るため。机は人がその上に立つため。女は兵舎に混乱を生じさせるため。また奪い合うため。人は踏んづけるため。棚の上の荷物は落とすため。女は逆さに転んで脚を見せるため。マットレスはベッドから滑り落ちるため。シーツはかぶって目隠しにして暴れさせ大男を営倉行きにして殴られるため。シーツは投げ渡すため。服は叩きつけるため。タオルがうちわに。棚は人が座るため、また寝そべるため。水は顔にぶっかけるため。銃剣はドアに引っ掛けるため。パンは脇の下に挟むため。壁は影を投射するため。新聞は投げ置くため。靴はネズミを入れるため、またネズミを追い払うため。洗濯物が暖簾に。服が枕に。毛布は人をぐるぐる巻きにするため。キスはしないため。樽は人が乗るため。牢の壁にバラが咲くのは中尉に摘ませて詩人にフィアンセと中尉のキスを目撃させるため。毛布は落とし置くため。水がめ、靴、毛布は踏み台にならないで人をひっくり返すため。牢の格子は人がしがみついてぶら下がるため。地面は人がすがりつくため。靴は鍵を挟むため。人は回転して転ぶため。パンは喉につかえて背中を叩くため(喉につかえる前に既に背中を叩いている)。葉っぱは噛んで回すため。息は白を吐き出すため。倒木は人が座れないため、またつまずくため。木は2人の男がお互い気づかずにその周囲を回るため、また人が隠れるため。人は間違えて詩集を渡すため。ハンカチは噛むため。女たちは兵舎に入れないため。手押し車は女を隠すため、また踏み台に。石は窓に投げ入れるため。窓が高いのは人が格子にぶら下がったり女に爪先立ちをさせるため。壁の花は摘んで兵士に渡すため(幸せを分かち合う)。服は投げつけるため。罠は自分で引っかかるため。こぶしは振り降ろせないため。背中は掻くため。大女の歌は子守歌に。ベールは振り回すため。花火は舞い散って煙を撒き散らすため。ホースは水しぶきをあげるため、また女に水をぶっかけるため。カーテンがバリアに。太鼓は人が割り入るため。ボール?、椅子は投げつけるため(完全なドタバタ)。椅子は逆さにされている。床は人が滑るため。人は飛び越えるため。椅子は女を崩れ落ちそうにさせて脚を見せるため。鴨居は人がしがみつくため。手袋は投げ置くため。人はいないため。机の下は人が潜り込むため。酒はこぼすため。花は落として拾いに屈んでキスをするため(花を落とすことで2人きりの空間を作り出す)。
■「ゲームの規則」(1939) 108分10/11
群衆は押し合うため。フラッシュは光るため。着陸ショーは女が迎えに来ないため。(召使いから渡された物は渡し返すため。家具、彫像は人が寄りかかるため。花はむしるため。地面は煙を撒き散らすため。車は事故を起こして男同士に口論させるため。帽子は脱ぐため。うぐいす人形は鳴き響くため。食事はしないため、布巾は投げ置くため。蓋は投げ置くため。つまずくのはネジを落として探すため。床は人が滑るため。工具は投げ置くため。水面が鏡に。柵は施設しないため、木の枝は人が通過して揺らすため。コートは自転車を隠すため。倒木は投げ置くため。銃声は鳴り響くため。紐は投げ棄てるため。口は挟めないため。密猟者は捕まって召使いになり小間使いに恋をして亭主を怒らせて発砲させ2人で首になるため。タバコは投げ棄てるため。木の枝は風に揺られるため。水溜りは車で水しぶきをあげるため。雷は鳴り響くため。雨は地面を打ち響かせるため。鍋は煙を吐き出すため。メイドの隣席の召使いが席を立つのは密猟者とメイドを同席させるため。時報は鳴り響くため。ドアは人が寄りかかるため。手摺は影を投射させるため。枕は投げるため。お尻は叩くため。女の花は男たちの手に受け継がれるため。タバコは煙を吐き出すため。服、靴、枕は投げ置くため。ベッドは人が乗り越えるため。木は叩くため(ひたすら叩いて獲物を追い込む)、また枝の下を人がくぐり抜けるため。獲物は逃げて撃たれるため、また投げ置くため。獲物を譲るのは譲らないため。木の枝は研ぐため。リスを観察させるのは望遠鏡で浮気観察をさせるため。木の枝は影を落とすため。ジガレットケースは放り上げてキャッチするため。ライターは点かないため。ラッパは鳴り響くため。双眼鏡は貸さないため。草は風に揺られるため。格子は影を投射させるため。ダンスは踊り間違えるため。帰るのは帰らないため。値札は剥がして投げ棄てるため。靴は落とすため。メイドを抱くのは手を叩かれるため。机はその下を人がくぐり抜けるため。イチャつくのは亭主に目撃させるため。ピアノは人が寄りかかるため。スポットライトは光を投射するため。着ぐるみは脱げないため。劇は男と女を逃避させるため。手袋、帽子は投げ置くため。机は人が寄りかかるため。ぬいぐるみは脱がせて人を引きずり倒すため。蝶ネクタイは結び継ぐため。指は鳴らすため。人は人にぶつかるため。お尻は蹴飛ばすため。机は人が乗り上げるため。肘掛けは人が座るため。カーテンは人に絡まるため。机は人が隠れるため。人がバリアに。机は叩いて驚かせるため。お盆は落として居場所を知らせるため。バケツは蹴り飛ばすため。ソファーは人をひっくり返すため。本は投げ舞わせるため。壁は人が寄りかかるため。グラスは叩き落とすため。玄関先が舞台に。階段は人が座るため。靴磨きがウエイターに。銃は煙を吐き出すため。椅子は人が隠れるため。殺人が余興に。お盆は叩きつけるため。銃声は女を驚かせて運ぶため。はく製は人が飛び越えるため。ボトルは人がつまずくため。群衆は人が紛れ込むため。足は足に引っかけて人を転ばせるため。女は失神して運ばれるため。鍵は落とすため。お盆は叩き落とすため。服のホコリは払うため。木は人が寄りかかるため。涙は光るため。カエルは鳴き響くため。森番がメイドにフード付きのマントを贈るのはそれを女主人に着せて顔を隠させ森番に人違いさせるため。キスをするのは森番に殺意を抱かせるため。帽子は投げ棄てるため。林は身を隠すため。男が女主人を飛行士に譲るのは飛行士に自分のコートを着せて森番に撃たせるため。帽子は叩きつけるため。人は影を投射させるため。
■「河」(1951) 93分 11/8
地面がキャンバスに。網は編むため。旗は風に揺られるため。頭は物を乗せるため(機能的だが殊更撮ると機能から離れていく)。凧は子供にあげるため。塀は人が登るため。木々は影を落とすため(あらゆるところに影を投射している)。柵は人が乗り越えるため。木々は風に揺られるため(ひたすら揺れている)。木は人が寄りかかるため。船、煙突は煙を吐き出すため。地面は人が寝そべるため、また人が座るため。洗濯物は風に揺られるため。柵はその隙間から人が覗き見るため。セリフは重ねるため。肘掛け、机は人が座るため。机は人がその下をくぐり抜けるため。塀は人が乗り越えるため。花は摘まれて娘に渡されるため。手紙は舐めるため。炎は風に揺られるため。花火は火花と煙を撒き散らすため、また顔に光を投射させるため。香?は煙を吐き出すため。地面は影を投射させるため。呼び方は間違えて怒らせるため。タバコは煙を吐き出すため。ダンスはしないため。床はグラスを置くため。階段は人が座るため。蛾は舞い飛ぶため。手摺は影を投射させるため。壁は人が寄りかかるため(ひたすら寄りかかる)。タバコはむせるため。炎は煙を吐き出すため。水面は揺れるため。人は川に飛び込んで水しぶきをあげるため。カーテンは風に揺られるため、また揺れる影を壁に投射させるため。男には会わないため。布は投げ置くため。水面が鏡に。ジュートは滑り落とすため。ポールは人が寄りかかるため。柱は人がもたれるため。荷車は人の交通を邪魔するため。蛇はもらえないため。市場に吊るされた売り物は揺れるため。編まれた屋根は影を落とすため。人はかき分けるため。鉄は打ち鳴らすため。ドアは人が寄りかかるため。ひづめは打ち鳴らされるため。汽笛は鳴り響くため。木の枝はブランコを吊るすため。凧は舞わせ回すため、またアメリカ人と娘が一緒にあげるため。鳥は鳴き響くため。水面は地上に揺れる光を投射するため。丸太は人が座るため。旗は揺れる影を投射させるため。床は人が這うため。簾は影を落とすため。物語は聞かれないため。藁は牛を洗うため。粉は舞い上げるため。塀は人が座るため。日記は奪われて読まれるため。本(日記)は人を殴るため。輪っかは放り上げてキャッチするため、また投げ渡すため、また受け損なって足を痛めるため。助けはいらないため。口論は第三者に聞かせるため。鐘は鳴り響くため。帰るのは帰らないため。木は人が隠れるため。うちわであおぐのはあおがないため。盗み見は盗み見されるため。枝は拾って水面をつつくため。花束は落とすため。キスは盗み見されるため。髪は風に揺られるため。涙はしたたり落ちるため。スカートは風に揺られるため。ミシンは止めて席を外すため。花束は投げ置くため。木は人が登るため。ソファー、長椅子がベッドに。人は眠るため、またその隙に子供を蛇に噛ませて殺すため。子供は逃げるため。笛は人物を特定させるため。棺桶は運ばれるため。花輪は編まれるため。門は影を落とすため。葉っぱはちぎるため。食事は食べないため。笛は取り上げられるため。マッチは落とし棄てるため。ローソクは消して煙を吐き出すため。虫は鳴き響くため。水面は影を投射させるため。本は落とし置くため。木は画面の手前にナメルため、またシルエットを投射させるため。船のヘリは人が座るため。格子は影を落とすため。ローブは揺れるため。焚き木がマッチに。手は届かないため。胸が枕に。手は貸せるため。香料は人に塗りたくるため、また投げ舞わすため。ポストマンは真っ赤にされるため。子供は追い払われるため。タバコは投げ棄てるため。赤ん坊は泣き響くため。初恋の相手からの手紙は舞い落とすため(これだけで娘たちの成長を画面に焼き付けてしまうスーパーショット)。女の子が生まれるのはみんなで笑うため。部屋には入れないため。詩は過去から現在へと言い直されるため。
ジョヴァンニ・パストローネ
■「カビリア」(1914) ジョヴァンニ・パストローネ 87分8/4
帽子は投げ渡すため。窓枠は揺れるため。火山は煙を撒き散らすため。壁は影を投射するため。炎は燃え盛るため。火の粉は舞い散るため。地面は割れるため。柱は倒れるため。火事は煙を吐き出すため。地下への避難は召使いに魔法の指輪を見つけさせるため。地面は人が座るため(人々は徹底して地面に接している)。屋敷は崩壊するため。瓦礫は人が座るため。噴火は親子を生き別れにさせるため。たき火は煙を撒き散らすため(煙関係が凄い)。水面は波紋を生じさせるため。ナイフはくわえるため。地面は這うため。船に乗るのは海賊に捕えられて王宮に行かせるため。衣服は風に揺られるため。頭は荷物を乗せるため。机は人が座るため。鞭は投げ置くため。石段は人が座るため。召使いが鞭打ちされるのは2人組とめぐり会わせて指輪を授けさせるため。たいまつは揺らすため、また突き上げるため。彫像は口から煙を吐き出すため。地面は煙を撒き散らすため。人は放り投げるため。聖火は煙を吐き出すため。彫像の指は人が伝い落ちるため。ドアは叩き開けるため。木の棒はドアを叩くため。槍が杖に。水はしたたり落ちるため。本国の危機は2人組を帰国させるため。地面は影を投射させるため。袋は投げ渡すため。水面が鏡に。ハンモックは揺れるため。階段は人が隠れるため。影は人が飛び降りるため。木は人が隠れるため。密告はローマの娘をカルタゴの姫の元へやるため。石臼は人をつなぐため、また人が座るため。ペンは投げ置くため。反射鏡は対象を燃やして煙を吐き出させるため。船火事は炎と煙を撒き散らすため。柵は倒し壊すため。水面は揺れるため。壺?は振り回すため。盃は落とし割るため。岩は人が隠れるため。盾と人が階段に。壁はよじ登るため。窓は人が出入りするため。石臼は回転するため。川は飛び込んで水しぶきをあげるため。河原は人がよじ登るため。地面は人が寝そべるため。鎖はひきちぎるため。拘束具は叩きつけるため。服は投げ落とすため。壁は人が伝い降りるため。人は担ぐため。ナイフは人物を特定させるため。格子は捻じ曲げるため。石は投げ落とすため。城壁は人を落下させるため。ゴンドラは人ごと落下させるため。油は落としかけるため。ポールは人がしがみつくため。木は人が隠れるため。木々は影を落とすため、また人が登るため、また風に揺られるため。木の枝は人がしがみつくため。人は人にぶつけるため。ソケットは振り回して投げ棄てるため。門は人がよじ登るため。剣は振り回すため。帽子は剣で払い落とすため。香?は煙を吐き出すため。ランプは揺らすため。吊るされた肉は揺らされるため。壁はキャンバスに。火の玉は煙を吐き出すため。壺は人が乗るため。召喚状は叩き割るため。?は蹴飛ばすため。鏡は人が寄りかかるため。カップは落とし棄てるため。宝石は落とし置くため。女王が毒を飲むのは臨終の際ローマの娘を解放するため。人は舞い上がり回転するため。
ジョン・カサヴェテス
■「フェイシズ」(1968) 129分 11/24
手紙は読まないため。コーヒーは断ってから飲むため。手はキャメラの手前にナメるため。くわえタバコは秘書に取らせるため。セリフは重ねるため。人はキャメラの前を横切るため(何度も)。映写機は光るため。ヘッドライトは光を投射するため(人の顔に)。地面は影を投射させるため。床は人が座るため。グラスは叩き置くため。年は間違えるため。ソファーがベッドに。お尻は叩くため。ガラスが鏡に(キャメラマンが映っていたりもする)。指は鳴らすため。壁は人が寄りかかるため。手前の人の後頭部は奥の女とパンフォーカスを撮るため。机は人が座るため。髪の毛は垂らすため。机は人が寄りかかるため。電話はかけ直すため。タバコは無いため。ベルイマンは見に行かないため。光は白光させるため。手前の夫の顔は奥の妻とパンフォーカスを撮るため。タバコは煙を吐き出すため(ラストシーンの階段では特に)。寝言の話は笑うため。ビールの栓は投げ棄てるため。ドアは叩き閉めるため。ライトは消すため(何度も)。机は叩くため。ライトは点けるため。車はキャメラの前を横切るため。ヘッドライトは光るため。コインはばら撒くため。人はかき分けるため。人は知らないため。ドアは閉めてから開けるため。服は落とし置くため。キスするのは怒らせるため。上着は脱がせないため。ソファーは人が乗るため。名刺は受け取らないため。ジョークは知っているため。膝が椅子に。大声は出せないため。頭はキャメラの手前にナメるため。風呂は入らないため。氷はグラスに落とし入れるため。人は人をキャメラから遮るため(ディスコで徹底的に)。レコードは止めるため。ダンスするのは殴られるため。バカと言うのは女を怒らせて殴らせ帰らせるため。女たちを怒らせるのは帰して男と妻を2人きりにさせてSEXさせ妻に睡眠薬を飲ませて男に助けさせるため、また男を夫に目撃させて逃げさせるため。ドアはきしむため。地面は人が寝そべるため。靴は投げ置くため。裸は見られて笑うため。空き缶は落とし棄てるため。グラスは鳴り響くため。ティッシュは叩き棄てるため。食器は鳴り響くため。涙は光るため。救急車は呼ばないため。人は引きずるため。ベッドは人がその上に立って揺らすため。窓は人が出入りするため。屋根は人が走るため、また飛び降りるため。斜面は人が駆け降りるため。木々は風に揺られるため。瓶は投げ棄てるため。壁は人を叩きつけるため。壁、柱は人をキャメラから遮るため。階段は人が座るため、また寝そべるため。タバコの箱、ライターは投げ渡すため、また投げ返すため。咳は鳴り響くため。人は人が跨ぎ越えるため。壁は足を掛けるため。
ダグラス・サーク
■「悲しみは空の彼方に」(1958) 124分 10/27
ダイヤモンドは落下して積み重ねられるため。手摺は人がよじ登るため。娘を探すのは男に写真を撮らせて届けさせるため、またその写真を雑誌に採用させるため。質問は答えないため。人は人にぶつかり出会うため。丸太は人が座るため。遊ぶのは遊べないため。海は娘を迷子にして男と黒人の女に出会わせるため。人はキャメラの前を横切るため。パラソルは倒すため。スカーフは風に揺られるため。空き缶はお腹の上に置いて上下させて写真を撮らせるため、また投げ棄てるため。黒人形は娘を怒らせるため、また落とし棄てるため。笑うのは笑えないため。キスは均等にするため。悲鳴は鳴り響くため。女に仕事の依頼が来るのは黒人を家政婦にさせるため。パウダーはくしゃみをさせるため。列車は通過するため。壁は人が寄りかかるため。椅子はその上に人が立つため。カーテンは風に揺られるため。昼食はオーデションの情報を聞くため(食べずに去っている)。夕食はキャンセルされるため。嘘はばれるため。スイングドアは開閉させるため。キスはできないため。肘掛けは人が座るため。コートは投げ渡すため。安売りはしないため。ペンは紙にこすれて鳴り響くため(カリカリ)。肘掛けは人がすがりつくため。膝が枕に。母親が忘れ物を届けるのは娘が黒人であることをばらすため。娘が混血なのは白人に間違わせるため。雪は降り注ぐため。電球の列は風に揺られるため。風は鳴り響くため。狭い廊下は人とすれ違うため、またプロポーズするため。電話は鳴り響くため。仕事は2人を別れさせるため。電話は出ないため。クリスマスはイエスの人種を決めるため。エンピツは帽子のツバを上げるため。演出を批判するのは採用されるため。ネックレスは輝くため。机は人が座るため、また人が寄りかかるため。タバコ、マッチは落とし置くため。ガラスはシルエットを投射させるため。置物は置き換えるため。客を出迎えるのは成長した娘の出のショットを撮るため。コメディを演じないのは演出家と別れて写真家と再会するため。暖炉は脚本を投げ棄てて焼くため。幕は開閉して光と影を投射させるため。木々は影を落とすため。白人の仲間には入れないため。ローソクは風に揺られるため。木は人がもたれるため。流れ星は母親を休養させるため。タオルは投げ棄てるため。地面は人が座るため。木々は風に揺られるため。椅子が肘掛けに。柵は人が座るため。ベルト、上着、スカートは投げ置くため。柱は人が寄りかかるため。ピクニックは黒人の娘に仮病を使わせ白人とデートさせるため。涙は光るため。手伝いを断るのはボーイフレンドの人種を間違えさせるため。頭はお盆を乗せるため。料理を運ばせるのは黒人のまねをさせるため。ガラスが鏡に(鮮明に映っている)。白人の恋人は黒人の娘を殴るため。階段は人が座るため。イタリアへ行かないのは行くため。カーテンは払いのけるため。ぬいぐるみは蹴飛ばすため。酒は飲めないため。スリッパは蹴り脱ぐため。クラクションは人を呼ぶため。母の不在は男と娘を2人きりにさせるため。酒場の便箋は働き先を知らせて首になるため。取り次ぎはされないため。タバコは煙を吐き出すため(ダンスシーンになって初めてタバコが大炸裂する)。机は人が寝そべるため。ブラインドは影を投射させるため。椅子は逆さにされている。通りを横切るのは車をよけるため。説得はできないため。背もたれは人が座るため、また電話を置くため。服は落とし置くため。代行は断るため。地面は鳴り響くため。壁は影を投射するため。ダンスは母親を見つけるため。天井は影を投射させるため。身支度をするのは母親の存在に驚くため。ハイヒール、服は叩きつけるため。座るのは座れないため。母がメイドに。ドアは人がすがりつくため。キスは娘に盗み見させるため。ライトは消すため(2つ。消すことで娘の成長を指示している)。手摺は影を投射させるため。ドアは人が寄りかかるため。柱は人がすがりつくため(よくすがりつく)。エンピツは落とすため。布巾は落とし置くため。配達人はプレゼントを贈られるため。人はかき分けるため。帽子は脱ぐため。
テオ・アンゲロプロス
■「旅芸人の記録」(1975) 229分 11/22
ドア、汽笛は鳴り響くため。木々は風に揺られるため。蹄、エンジンは鳴り響くため(車の)。ビラは舞うため。幕は風に揺られるため。鐘は鳴り響くため(非常に多く)。予定表は代わりに書くため。机は叩くため。ガラスは歪んだ光線を通過させるため。足音は鳴り響くため。石の地面は踏み鳴らすため(強く)。口笛は鳴り響くため。椅子は叩き置くため。足音は鳴り響くため(木の床)。椅子はその上に人が立つため。小箱は足を乗せるため。曲は気に入られないため。息は白を吐き出すため。帽子は脱ぐため。演技はやり直させるため。タバコは煙を吐き出すため。イビキ、うめき声は鳴り響くため。壁は人が寄りかかるため。床はきしむため(みしみし)。人は振り回すため。海鳥は鳴き響くため。足音は鳴り響くため(砂利道の)。線路は人が歩くため。川は鳴り響くため。セリフは重ねるため。足音は鳴り響くため(雪道)。足音は鳴り響くため(石畳を。木の床、砂利道、雪道、石畳、これらを踏み鳴らす音を敏感に使い分けて際立たせている。とにかく音の映画)。窓枠はシルエットを投射させるため。壁、枠は人をキャメラから遮るため。地面は鳴り響くため。水面は揺れるため。エンジンは鳴り響くため(船の)。帽子は振り回すため。汽車は揺れるため、また鳴り響くため(ガタンゴトン)、また煙を吐き出すため。家はその陰から人々を出現させるため。傘が杖に。楽隊は一座と合流するため。爆弾は鳴り響くため。エンジンは鳴り響くため(飛行機の)。ライトは点滅するため。兵隊姿は妻に笑われて殴るため。服は投げ置くため。歌は鳴り響くため(オフ空間から。オフからの音が極めて多い)。地面は光るため。手摺は影を落とすため。壁は影を投射するため。服は落とし置くため。ネクタイ、ズボンは投げ置くため。ドアは開閉させて光と影を投射させるため。服を脱ぐのは女に逃げられるため。銃は煙を吐き出すため。壁は文字を書くため。鳥は鳴き響くため。椅子は揺れるため。オリーブ油をもらうのは裸になるため。銃声は鳴り響くため。ボトルは叩き置くため。バッグは人が座るため。木は人をキャメラから遮るため。風は鳴り響くため。木は人を吊るすため。歌うのは吊るされた死体に驚いて歌い止むため。ニワトリは鳴き響くため(オフから)、また捕まるため。雷、雨、マシンガンは鳴り響くため。建物は人をキャメラから遮るため。ヘッドライトは光るため。人は抱えて引きずるため。人が盾に。爆弾は煙を吐き出すため。銃殺はされないため。捕まるのは解放されるため。?は煙を吐き出すため。旗は風に揺られるため、また海に投げ落とすため。服は振り回すため。帽子は放り上げるため。群衆は蹴散らされるため。銃は光を発するため。波は鳴り響くため。帽子は落とし置くため。人は間違えるため。帽子は交換するため。銃声は歌を止ませるため。窓枠は人が座るため。人はシルエットを投射させるため。木々は影を落とすため。舞台が殺人現場に。地面は影を投射させるため。机上物は払い落とすため。柱は人をキャメラから遮るため。男たちが動物に(女をレイプする男たちが動物のように撮られている)。袖はハンカチを入れるため。ブレーキは鳴り響くため。格子は影を落とすため。馬は人が飛び降りるため。蹄は鳴り響くため(武器を返す時の音は凄いので反復して書く)。歩行者は車をよけるため。ジープは人が飛び降りるため。セロハンは鳴り響くため(とにかく何でも鳴り響く映画)。写真は落とし置くため。ダンスをしている男は追い払われるため。椅子が帽子掛けに。楽隊は鳴りやんでから鳴り響くため。銃声はダンスをやめさせるため。帽子は振るため。水溜りが鏡に。騒ぐのは静められるため。握手はしないため。椅子は倒すため。テーブルクロスは机上物ごと引っ張り落として引きずるため。水面は光るため。拍手は鳴り響くため(過剰に)。床は打ち鳴らされるため。
ドン・シーゲル
■「ダーティハリー」(1971) ドン・シーゲル 102分10/25
髪は風に揺られるため。プールは女を殺すため。パラソルは風に揺られるため。ファンは煙と光を撒き散らすため。ペンは薬きょうに差し入れて拾うため。アンテナは脅迫状を挟むため。手紙は風に揺られるため。肘掛けは人が座るため。報告は遮られるため。帰るのは呼び戻されるため(3回ある)。車は煙を吐き出すため。旗は風に揺られるため。タバコは落とし棄てるため。吸い殻の数は時間を指示させるため。メニューは同じなため。非常ベルは鳴り響くため。レストランは銀行強盗を監視するため。地面は鳴り響くため。銃は煙を吐き出すため。ライフルは放り上げるため。車の窓は人が飛び込むため。ガラスは撃ち抜くため。花屋は車が突っ込むため。給水塔は壊して水を噴出させるため。車は横転させるため。ショーウインドは人が飛び込んで割るため。木々は風に揺られるため。銀行強盗の数が多いのは刑事に弾を撃ちまくらせてゲームをやらせラストシーンで反復させるため。刑事が足を撃たれるのはタフさを指示するため。相棒が入院するのは新しい相棒をつけさせるため。妻の話はしないため。オブジェは人が座るため。プロペラは鳴り響くため。ヘリコプターは影を落とすため。散髪はしないため。鐘は鳴り響くため。洗濯物は風に揺られるため。ズボンは靴を拭くため。柱は人が寄りかかるため。新聞はちぎり棄て舞わせるため。木々は影を落とすため。柱、木は人をキャメラから遮るため。椅子は足を乗せるため。フロントガラスが鏡に。カップルは車にはねられ損なうため。ボンネットは光を反射させるため。壁は人が隠れるため。スーツケースは人を特定させるため。ライトは点けるため。ゴミ箱はその上に人が立って転ぶため。男が女に服のプレゼントをするのは女を裸にさせたところを刑事に覗かせ住民に袋叩きにさせるため。刑事が覗き魔に。銃は光を発するため。人は間違えるため。懐中電灯、スポットライトは光るため。サイレンは鳴り響くため。めがねははずすため。クレーンは人がしがみつくため。投身自殺予告の男は刑事に汚れ役をさせるため。死体は見て吐くため。ネオンは回転させるため。監視が覗き見に。ライトは光を投射するため。壁は撃ち抜くため。ゴミ箱は撃って蓋を舞い上げるため。ネオンは撃って火花を撒き散らすため、また空間を暗くさせるため。ヘッドライトは光るため。壁は光を反射するため(壁が光っている)。神父は殺されるため。机は人が座るため。下着、歯は人物を特定させるため。大声は耳を傷めさせるため。札束は叩き置くため、また数えないため。鍵は叩き置くため。セロハンテープは鳴り響くため。足はナイフを貼り付けるため。電話は鳴り響くため。質問はできないため。電話は取り違えるため。アベックは振り向くため。乗客は掴みどけるため。街灯は光るため。刑事は走らせるため。バッグは人を殴るため。強盗は時間を遅らせて老人に電話を取らせるため。柵は乗り越えるため。虫は鳴き響くため。犯人がゲイに。草は風に揺られるため。壁は影を投射するため。バッグは落とし置くため。銃は投げ置くため、また人を殴るため。壁は撃って鳴り響かせるため。斜面は人が転げ落ちるため。ナイフは落とし棄てるため。マスクが包帯に。ブラインドは影を投射させるため。ソファーがベッドに。足を刺されるのは医者に居所を教えさせるため、また犯人の運動を鈍らせて刑事に追い詰めさせるため。フェンスはよじ登り越えるため。相棒の刑事が太っているのは別行動させて照明を点火させるため。ドアは蹴破るため。やかんが熱いのは人の存在を指示させるため。スタジアムは追いかけっこをするため。物音は人物の存在を知らせるため。観客席は飛び越えるため。芝生のラインが十字架に。少女を生き埋めにするのは時間に追われた刑事に違法逮捕をさせて犯人を釈放させるため。人はシルエットを投射させるため。椅子はそこから人が転げ落ちるため。殴られるのは訴えるため(機能的か?)、また鼻に絆創膏を貼り付けるため。フラッシュは光るため。相棒が撃たれるのは辞職させるため。壁は人をキャメラから遮るため。酒瓶は人を殴るため(酒瓶は逆手で握られている)。カウンターは人が乗り越えるため。酒屋は銃を奪われるため。スクールバスは乗っ取られるため。電話は情報を電話の相手以外に教えるため。バスは降りられないため。命令は断るため。家に帰りたい子供は殴られるため。歌わせるのは怖がらせるため。トラックの積み荷は風に揺られるため(芸が細かい)。高架橋は人がバスの屋根に飛び降りるため。割り込む車はバスの速度を落とすため。屋根は撃ち抜くため。車は車にぶつけるため。地面は煙を撒き散らすため(西部劇の記憶)。フェンスはバスでなぎ倒すため。砂山はクッションに。セメント工場は逃走迷路に。手摺は撃ち抜いて破片を撒き散らすため。壁は撃った振動で天井から砂埃を舞い落すため。ベルトコンベアーは人を運ぶため。梁は人がしがみつくため。工場は煙を撒き散らすため。手すりが滑り台に。少年が釣りをするのは盾にして露出した肩を撃ってゲームをするため。刑事が撃ちまくるのはゲームをするため。池は人を落下させて水しぶきをあげるため、また死体を流すため、またバッヂを投げ棄てるため。
フェデリコ・フェリーニ
■「道」(1954) 102分10/7
波は鳴り響くため。草は風に揺られるため。柱は人が寄りかかるため。薪は落とすため。姉?の死は娘をサーカスに行かせるため。髪は風に揺られるため。エンジンは鳴り響くため(車、バイクのエンジンが至る所で鳴り響いている)。鎖は胸でひきちぎるため(ひたすら)。ドラム缶は人が座るため。食事はスプーンで投げ棄てるため。帽子はかぶり替えるため。スティックはラッパを叩くため。ラッパは吹けないため。木の枝はひきちぎり葉を投げ棄てて鞭にするため。太鼓を上手に叩けないのは鞭で打たれるため。草は噛むため。炎は燃え盛るため、また煙を吐き出すため。旗は風に揺られるため。地面は人が座るため。木々は風に揺られるため。帽子は人を叩くため。銃は煙を吐き出すため。机は叩くため。マッチは噛むため。仕草は真似るため。お尻は叩くため。タバコは煙を吐き出すため。札はもらえないため。椅子が洋服掛けに、また倒すため。風船は風に揺られるため。酒場の女は娘を置いてけぼりにさせるため。歩道は人が座るため。蹄は鳴り響くため。施しは受けないため。壁は人が寄りかかるため。眠るのは寝顔を見られるため(最後の別れのシーンではマシーナが逆に寝顔を見られている)。花は摘んで胸に刺すため。木の枝は人が真似るため。柱は音を聞くため。プロペラは鳴り響くため。トマトは種を植えたまま出発するため。通過物は影を落とすため。羊は蹴散らすため。菓子は投げつけるため。木箱は人が座るため。倒木は人が座るため。袋は揺らすため。未亡人はマカロニを食べるため(しゃべりつつ黙々と食べている)、また亭主の服をくれるため。帽子は振るため。リボンは風に揺られるため。ズボンは履き替えるため。壁は人がすがりつくため。穴は人が落ちるため。耳はタバコを挟むため。靴は叩きつけるため。風は鳴り響くため(凄く)。家出は娘を楽隊と共に祭りへ導きピエロと会わせるため。群衆は人を押し流すため。花は投げるため。壁は影を投射するため。ヘッドライトがスポットライトに。机、椅子は落下せるため。ゴミは風に舞い上げられるため、また蹴り上げるため。ロバはいななくため。入団は娘をピエロに会わせるため。テントは風に揺られるため。ロープは人がしがみつくため。バイオリンはタバコを挟むため。口笛は人を呼ぶため。挨拶は娘を壁にぶつけるため。テントは影を投射させるため。鎖は投げ置くため。ショーは邪魔させて恨みを買わせるため。車のステップ、階段は人が座るため。帽子はかぶせるため。杖は人をつつくため。ラッパは吹かせないため。バケツの水は人にぶっかけるため。帽子、ラッパは投げつけるため。塀は人が乗り越えるため。椅子は人に投げつけるため。ナイフは逆手で握られている。テーブルは人が乗り上げるため。ドアに掛けられたベルトは揺らすため。ドアは体をぶつけるため。喧嘩は2人を逮捕してピエロだけを先に釈放し娘を励まさせるため。テントは片付けるため。懐中電灯は光を投射するため。ランプは揺れるため。長椅子は人が寝そべるため。虫は鳴き響くため。石は投げ上げるため。ペンダントは授けるため。石は蹴飛ばすため。車は揺らして水筒を揺らすため、またやかんを落として娘の頭にぶつけるため。靴は投げ置くため。波は水しぶきをあげるため。水面は光るため。砂は蹴り上げるため。たき火は煙を撒き散らすため。帽子は脱ぐため。お代わりは断らないため。お皿は娘に洗わせないため。薪割りは男と交代するため。雷は鳴り響くため。帽子は叩き置くため。ローソクは風に揺られるため。雨は地面を打ち響くため。雷は光るため。格子は影を投射させるため。ベールは風に揺られるため。ハンカチは振るため。鳥は鳴き響くため。チューブは叩き置くため。缶は蹴り飛ばすため。ボンネットは人を押しつけるため。スカーフは風に揺られるため。草は掴むため。パンクするのは殺されるため。人は引きずるため、また担ぐため。木々は影を落とすため。車は橋から落として炎と煙を吐き出させるため。服は落とし置くため。太鼓は叩けないため。頭は掻くため(まるで西部劇のハリー・ケリーのように帽子をもったまま掻く)。食器は叩きつけるため。食事は食べないため。一緒には寝られないため。帽子がうちわに。スプーンは蓋を開けるため。食事の支度はやり継ぐため。紐はいじり回すため。毛布は投げ置くため。眠るのは寝顔を見られるため(2人の別れのシーン。これでお互い一度ずつ寝顔を見られたことになる)。ピエロを殺すのは娘を病ませて置き去りにさせるため。シーツ?は人のシルエットを投射させるため。羽帽子は風に揺られるため。歌は人を呼び寄せるため、また歌い主を特定させるため。地面は影を投射させるため。洗濯物は風に揺られるため、また人を隠したり出現させたりするため(見事に揺れている)。マントは投げ置くため。グラスが灰皿に。椅子は蹴り飛ばすため。ドラム缶は蹴り倒すため、また蹴り転がすため、また担ぎ上げて投げ棄てるため。波は鳴りやむため。砂は掴むため。砂浜は人がすがりつくため。
フランク・キャプラ
■「或る夜の出来事」(1934)9/22
水面は揺れるため。また揺れる影を投射させるため、旗は風に揺られるため。タバコは煙を吐き出すため。壁は人が寄りかかるため。ナイフは払い落とすため。ハンガーストライキはお盆をひっくり返して殴られ逃亡するため、また逃げ出した娘を空腹にさせるため。船に監禁されるのは海に飛び込んで逃げるため。海は飛び込んで水しぶきをあげるため、また泳いで波紋を生じさせるため。電話はかけられないため。新聞はちぎって舞わせるため。帽子は脱ぐため、また振るため。座席に新聞の束が置いてあるのは外へ放り出させて運転手と揉めさせその隙に娘に席を横取りさせるため。バスが揺れるのは娘を記者の膝の上に座らせるため。鐘は鳴り響くため。バス、柱は人が寄りかかるため。追跡が突進に。タバコは投げ棄てるため。バスの休憩は娘のかばんを盗ませて記者に娘を詮索をさせて娘を怒らせ別の席に座らせたあと再び記者の横の席に帰らせるため、また娘の必需品をなくさせるため。椅子がベッドに。シートの手はどけられるため。肩が枕に。コートが毛布に。二度目の休憩はバスを待たせる娘の性向を指示させるため、また座席にチケットを忘れさせて記者もろともバスから置き去りにさせるため、また記者に新聞を読ませて娘の正体を知らせ二人を喧嘩させてバスで娘をおしゃべり男の隣に座らせて記者に助けさせ二人を「夫婦」にさせるため。カバンは人が座るため。金では解決できないため。婚約者が遠方で待っているのは娘と記者を道行きさせるため、鎖は弄ぶため。窓口の女は電報を読むため。指は鳴らすため。お菓子は買わせないため。ランブは振るため。雨は川を氾濫させて乗客たちを足止めさせ「夫婦」をドライブインに泊めさせ「ジェリコの壁」を作らせるため。コートが傘に。椅子が洋服掛けに。マフラーは投げ置くため。毛布が壁に。パジャマは投げ渡すため。服、ネクタイは投げ置くため。椅子は足を掛けるため。靴は落とし置くため。帽子、服は叩き置くため。壁は洋服を掛けてから引っ込めるため。記者を呼ぶのはいないため。歯ブラシは投げ渡すため。シャワーは割り込ませて娘の性向を指示させるため。ドーナツは浸し過ぎて怒られるため。探偵は「夫婦喧嘩」をさせるため。髪をとかすのは顔を隠すため。人は間違えるため。電報は叩き棄てるため。バスは揺れるため。網棚は人がぶら下がるため。歌は運転手に拍手をさせてバスをエンコさせるため。水溜りは水しぶきをあげるため。帽子がうちわに。病気の女は記者を文無しにさせるため、また娘に金をやらせるため。娘に賞金を懸けるのは新聞の写真を見た男に記者をゆすらせバスを棄てて野宿とヒッチハイクをさせるため。ヘッドライトは光を投射するため。指が銃に。倒木は足をひっかけて転ぶため。ゆするのは脅かされるため。唾は吐き出すため。倒木は人が座るため。水面は光るため。霧は立ち込めるため。川は記者に娘を担がせるため。肩車を知らないのは娘にかばんを持たせてお尻を叩くため。カバンは投げ置くため、また蹴りどけるため。柵は人がくぐり抜けるため。藁は振り落すため、またベッドに、また蹴飛ばすため。娘が空腹なのは男に食べ物を探しに行かせ背中を向けている娘を驚かせてふたりを抱き合わせるため。にんじんは投げ置くため。コートを掛けるのはキスしないため。藁が歯に挟まるのはペンナイフでにんじんを研がせて娘に勧めて断らせるため。ペンナイフが楊枝に。カエル、虫、鳥は鳴き響くため。柵は人が座るため、また寝そべるため。会話は車を通過させるため。地面は煙を撒き散らすため。親指は車を止められないため。脚は車を急停止させるため。地面、歌は鳴り響くため。物乞いはさせないため。ベンチが洋服掛けに。車から降りるのはバッグを盗ませて車を奪うため。頬の怪我は娘に介抱させるため。ガス欠はポケットの小銭を娘に探させにんじんを食べさせるため。壁は影を投射するため。カバンは投げ置くため。帽子がガソリンに。車は煙を吐き出すため。机は叩くため。タイプライターは鳴り響くため。記者が社に戻るのは宿屋の夫婦に娘を追い出させ飛行機乗りと結婚させるため。電話は出ないため。記事は差し替えるため。原稿は叩き棄ててから取り出すため。サイレン、汽笛は鳴り響くため。汽車は煙を撒き散らすため。汽車の屋根は人が座るため。踏切は娘を乗せた車とすれ違うため。バンクするのは娘を追いかけないため。新聞は舞い上げるため。札束は叩き置くため。ブラインドは影を投射させるため。金を催促する手紙は娘を誤解させるため。新聞は叩き置くため。賞金はもらわないため。記者は娘を愛しているとすぐに言わないため。娘は真相を聞かないため。プロペラは回転するため。車の屋根は人が立つため。結婚式は花嫁が逃げ出すため。電話に出ないのは出るため。結婚がすぐに解消されないのはジェリコの壁を作ってから落とすため。ラッパは鳴り響くため。木々は風に揺られるため。ライトは消すため。
■「其の夜の真心」(1935)フランク・キャプラ 103分9/24
客は取り次がれないため。机は人が座るため(5回ほど)。車の背もたれは人が座るため。地面は煙を撒き散らすため。ニワトリは馬に飛び乗るため。包装紙は丸めて投げ棄てるため。石は投げ棄てるため。意見は聞かれないため。お尻は蹴るため。木片は投げつけるため。石は蹴飛ばすため。時計は一斉に見るため。言い訳はできないため。役員会は遅刻するため、また会社を辞めるため。お腹は突かれるため。ローソクは風に揺られるため。動作は一斉にするため。布巾は叩きつけるため。妻は同行しないため。床は人が寝そべるため。膝が椅子に。頭は掻きむしるため。旗は風に揺られるため。柵は人が座るため。木々は風に揺られるため。ブーツは札を入れるため、また落とすため。車のステップは人が乗るため。帽子は叩くため。ランプは揺らすため(不可抗力かも)。ステッキが剣に。椅子は足を乗せるため。スープはこぼすため。金はお互い借りるため。皿は叩き落として食い逃げするため。ステッキがハンバーガー代に。楊枝はくわえるため。机は叩くため。馬は人を落馬させるため。地面は人が座るため。柱は人が寄りかかるため。草はいじるため、アゴは撫でるため。柵は影を落とすため。椅子はその上に人が乗るため。雨は雨漏りで馬に風邪をひかせるため。雷は鳴り響いて馬を驚かせるため、また光るため。風は鳴り響くため。間借りはできないため。枕は叩き置くため。机は人が寄りかかるため。缶は人が座るため。草はちぎって投げ棄てるため。足は手を踏んづけるため。鉛筆は借りられないため。詐欺は自分で騙されるため。カモが情報を撒き散らすのは情報源に情報を与えるため。格子は影を投射させるため。新聞はキスするため。エンピツは投げ置くため。倍率を上げるのは富豪に馬券を買わせてボスの馬の倍率を上げ男を釈放させるため。話は伝え大きくさせるため。タバコは煙を吐き出すため。机は足を乗せるため。服は投げ置くため。ブラインドは影を投射させるため。ニワトリは鳴き響くため。帽子が札入れに。立つのは立てないため。柵は人が飛び越えるため。人はかき分けるため。帽子は脱ぐため。クラクションは鳴り響くため。窓ガラスは割るため。
フランソワ・トリュフォー
■「大人は判ってくれない」(1959) 99分10/8
建物はエッフェル塔とキャメラを遮断するため。枯れ木、塔はシルエットを投射させるため。写真は回されて来て立たされるため、また落書きをするため、また落とし置くため。不平は言えないため。ズルは許されないため。教室からは出られないため。黒板消しは放り投げるため。バッグはぶつけ合うため。ノートのページはちぎり続けるため。ボードは人が隠れるため。落書きは消すため。本は叩き置くため。チョークは投げつけるため。答案用紙は払い飛ばすため。ストーブは煙を吐き出すため。カーテンがタオルに。マントルピースは札を隠すため。札は鳴り響くため(まるで「ラルジャン」(1983)のように紙の音がしている)。ライトは点けるため。鏡は人を分裂させるため(3台の鏡で)。つけまつげ装着器、ノート、ハンドバッグは落とし置くため。ストッキングを脱ぐのは脚を見せるため。買い物は忘れるため。エンジンは鳴り響くため(多くのところで鳴り響いている)。行列は噂話を聞かされるため。手摺は影を投射させるため。小麦粉は顔になすりつけるため。冗談は言えないため。お釣りはもらえないため。布巾は投げ置くため。椅子が洋服掛けに。スープは煙を吐き出すため。横断幕は人がくぐり抜けるため。足は戸を閉めるため。ベッドは人がその上に立つため。子供はこき使われるため。パジャマは破れているため。鏡は曇りを拭き取るため。靴下は穴が開いているため、また落とし置くため。ドアはカバンを隠すため。カメラは回転させて場面を転換させるため。通りは人が横切るため。アトラクション(ローター)は回転するため、また人を壁にへばりつかせるため。トリュフォーはキャメラの前を横切るため。学校をさぼるのは街で男とキスをしている母親を目撃するため。また母親を殺して父に往復びんたをくらい家出するため。木は人が隠れるため。ゴミ箱は人が座るため。手紙は丸めてストーブで燃やすため。タマゴは放り上げてキャッチするため。タマゴの殻は投げ棄てるため。笑うのは笑えないため。ドアは開閉させて光と影を投射させるため。夫婦喧嘩は子供部屋に鳴り響かせるため(オフ空間から)。友達は父親に息子の無断欠席を知らせるため。笛は鳴り響くため。メガネは拭くため。机は叩くため。ネクタイは直すため(先生は権威に弱い)。袋は落とし置くため、また枕に。印刷機は鳴り響くため。工場にはいられないため。口笛は鳴り響くため。犬は探さないため。壁は影を投射するため。牛乳は盗まれるため。地面は光るため。服が物入れに。牛乳瓶は下水溝に落とし割るため。手摺は人が乗り越えるため。噴水は人がよじ登るため、また泥水を顔につけるため。地面は人が座るため。発音は違うため。口応えはできないため。作文のご褒美は子供に盗作させて停学にさせるため。課外授業は生徒がいなくなるため。祭壇は燃えて煙を吐き出すため。枕は火を消すため。壁は人が寄りかかるため。火事は家族を映画に行かせるため(火事をきっかけに唐突に映画行きが決まっている)。フロントガラスは光を反射させるため。帽子は払い落とすため。おっぱいは揉むため。映画は子供を笑わせるため。水中メガネは壊して投げ渡し回すため。カバンは投げ置くため。ノートは投げ舞わせるため。霧は立ち込めるため。息は白を吐き出すため。木は人が寄りかかるため。鳥は鳴き響くため。長椅子は人がその上に立つため。花瓶は鍵を入れるため。鍵は花瓶に落とし入れるため。水洗トイレは鳴り響くため(ジャン・ルノワール「坊やに下剤を」(1931))。カーテンは人が隠れるため。網は影を落とすため。厚紙はドアの間に差し入れて外から鍵をかけるため。男が女に。時計は針を進めて戻すため。ブロマイドは剥がして盗むため。目覚まし時計は盗まれて鳴り響くため。ボトルは煙を隠し入れるため。毛布はあおいで煙を散らすため。服は叩き置くため。馬に服を掛けるのは怒られるため。肩が枕に。人形劇は子供たちを笑わせるため。柱は人をキャメラから遮るため。ハトは蹴散らし飛び立たせるため。人は人にぶつかるため。道は行き過ぎてから戻るため。タイプライターを盗むのは大人に騙されるため、また処分できずに返しに戻り捕まって鑑別所に行くため。椅子は逆さにされている。帽子は触れないため。首根っこは掴まれるため。タイプライターは鳴り響くため。地面は人が寝そべるため。とっくりのセーターはたくし上げるため。書類は叩き置くため。街の灯りが光源に(ネオン、街灯、店の看板等)。タバコは煙を吐き出すため。涙は光るため。人はシルエットを投射させるため。格子は影を投射させるため。机は足を掛けるため。所持品は落とし置くため。スープ?はコップごと振り捨てるため。新聞は破って巻いてタバコにするため。靴はマッチを擦るため。マッチは投げ棄てるため。エンピツは落とし置くため。鐘は鳴り響くため。ビーナス像はお尻を撫でるため。騒ぐのは騒げないため。ブルジョアの娘たちは少年たちを見つめるため。パンをつまみ食いするのはビンタを食らうため。机は撫でるため。ガラスが鏡に。人はかき分けるため。親友が面会に来るのは母親の面会に喜ばないため(母親が来たことに喜んでいるかのように撮っている)。ガラスは叩くため。母親は子供を引き取らないため。壁は自転車を立て掛けるため。サッカーのスローイングは脱走するため。地面は影を投射させるため。フェンスは人がくぐり抜けるため。壁は人が隠れるため。看板は人がくぐり抜けるため。少年は走るため(自己目的化している)。波は水しぶきをあげるため、また鳴り響くため。キャメラは見つめられるため。
■「ピアニストを撃て」(1960)トリュフォー 78分10/12
2人組は事件を起動させるため。ハンマーヘッドは打ち鳴らされるため。ヘッドライト、街灯は光るため(それだけで光源にしている)。地面は鳴り響くため。柱は人がぶつかるため。通行人は男を助けて結婚の話をするため。エンジンは鳴り響くため。椅子は逆さにされている。ピアノは灰皿を乗せるため。呼び方は間違えるため。女を殴るのは突き飛ばされるため。ビール箱の山は崩して人が乗り越えるため。手は握れないため。手は腰に回せないため。笑わないのは笑うため。壁は人が隠れるため。酒の誘いは伝わらないため。壁は人が隠れるため。ネオンは点滅するため。電気は点けるため。ハイヒールは脱ぐため。雑誌は投げ置くため。タバコは煙を吐き出すため。メトロノームは鳴り響くため。衝立は服と下着を掛けるため。枕は投げつけるため。女はおっぱいを見せるため。ライトは消すため。ジッパーは下げてもらうため。手は揉んで脇を叩くため(寒くて)。お尻は叩くため。牛乳はフロントガラスに浴びせてワイパーで拭き取るため。外出するのは拉致されるため。ガラスが鏡に。金はもらわないため。自転車は横切るため。女が歩いて来るのは拉致されるため。運転は文句をつけるため。人々は笑うため。アクセルとブレーキは踏み合いっこするため。帽子は脱ぐため(律儀なギャング)。拉致はされないため。階段は女の脚を見せるため。プリンは無いため。手摺は影を投射させるため(弱い影だが)。取っ手は回せないため、また呼び鈴は押せないため(ルビッチ調)。バイオリンの女は男をピアニストにさせるため、また男の才能を指示させるため。財布、手帳は落とし置くため。フラッシュは光るため。壁は人が寄りかかるため。怒鳴らないのは怒鳴るため。抱擁はさせないため。妻を一人にさせるのは飛び降り自殺させるため。たき火?は煙を吐き出すため。ピアノはモップを立て掛けるため。コンロがマッチに。椅子が洋服掛けに。半熟卵は食べないため。末の弟を引き取るのは拉致させて兄弟全員を巻き込むため。娼婦が客を取るのは弟を拉致させるため。皿はひっくり返すため。テーブルは叩くため。罵るのは殴られるため。受話器はひきちぎるため、また剣に。サッカーゲームは人を隔てるため。ハシゴがバリアに。包丁は投げ置くため。内緒話はヘッドロックをかけるため。包丁は逆手で握られている。ゴミ箱は人が寄りかかるため。店主は殺されて男を兄弟のアジトに逃がすため。ライトは頭にぶつけて揺らすため。犬は鳴き響くため。マフラーが日本製でないのは母親を殺すため。車は押すため。車がエンコするのはピアニストに追い越されるため。ラジオがBGMに。トンネルはライトを縦列させるため。朝日は輝くため。ボトルは投げ棄てるため。時計の振り子は揺れるため。時計は鳴り響くため。斧は天井を叩くため。スプーンは落とし置くため。コーヒーは煙を吐き出すため。揺り椅子は揺らすため。鏡は割れているため。銃は投げ置くため。煙突は煙を吐き出すため。窓の曇りは拭き取るため。木は人が寄りかかるため、またシルエットを投射させるため。木の枝は画面の手前に舐めて揺らすため。地面は影を投射させるため(斜面に落ちたマリー・デュボワの長い影)。橋は弟を逃がすため。銃は煙を吐き出すため。窓は割るため。銃は回すため。斜面は人が転げ落ちるため。女が戻るのは殺されるため。ピアニストが出発を兄弟に知らせに戻るのは女を一人にさせるため。雪は顔を拭くため。
F・W・ムルナウ
■「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1921) F・W・ムルナウ 89分 12/8
猫は振り子を揺らすため。木々は風に揺られるため(全編通じて)、またシルエットを投射させるため、また影を落とすため。服は着直させるため。地面は人が寝そべるため。荷物は投げ落とすため。椅子は拭くため。机は叩くため。大声で話すのは酒場の人々に行き先を知らせて驚かせるため。コップを拭くのは拭きやめるため。帽子は投げ置くため。ローソクは風に揺られるため。本は叩き置くため、また叩きつけるため。荷物は投げ渡すため。雲は立ち込めるため。馬車は城まで行かないため。地面は影を投射させるため。草は風に揺られるため。煙は影を落とすため。地面は煙を撒き散らすため。門はひとりでに開いて閉まるため。帽子は脱ぐため。服は風に揺られるため。時報は打ち鳴らされて男を驚かせるため。パンを食べるのはナイフで手を切って伯爵に血を舐めさせるため。がいこつは影を落とすため。椅子がベッドに。手紙は風に揺られるため、また蚊を追い払うため。書類をカバンの中から取り出すのは妻の写真を滑り出させて伯爵に見せるため。写真はキスするため。滝は水しぶきをあげるため。壁は人が寄りかかるため。夫が襲われるのは妻を夢遊病者にさせるため。タバコは煙を吐き出すため(よく煙っている)。手摺はその上を人が歩くため。人は影を投射させるため。室内はシルエットを投射させるため。草は人が触れて揺らすため。階段は人が座るため、また這い上がるため。地面は人が座るため。シーツ、枕は放り投げるため。シーツは引き裂いてロープにして伝って降りるため。窓は人がそこから出て落下して失神して病院に連れていかれるため。帆は風に揺られるため、またシルエットを投射させるため。ホウキ?はネズミを叩き潰すため。格子は影を落とすため。髭は撫でつけるため。脇の下は手紙を挟むため。墓標、髪は風に揺られるため。手紙は握りしめるため。椅子は足を乗せるため。掃除をするのはポケットから新聞を盗ませて読ませるため。新聞は落とし棄てるため。船、川は水しぶきをあげるため。ハンモックは揺れるため。死体を入れた袋は海に投げ入れて水しぶきをあげるため。ロープは揺れるため。スカーフは風に揺られるため。ランプは揺れるため。樽は人が乗るため。海は人が飛び込んで水しぶきをあげるため。水面は光るため。船はシルエットを投射させるため、また揺れるため。カーテンは風に揺られるため。車輪、椅子は人が乗るため。水面が鏡に。壁は人がよじ登るため。壁がキャンバスに。ベッドは人がその上に立つため。布はひとりでにまくれるため。蓋はひとりでに開くため。タバコに火をつけるのは背後から襲われるため。ローソクはタバコに火を点けるため。皿は落とすため。水面は地上に揺れる光を投射するため。鳥はアーチの下をくぐり抜け飛ぶため(見事に飛んでいる)。窓から入った光は天井で揺れるため。集まった人々は家に帰るため。窓枠は人が座るため。窓を開けるのは閉めるため。服は手紙を挟むため。ドアは記号を書くため。夫が本を持ち帰るのは妻に読ませて吸血鬼を退治させるため。地面は光るため。人はシルエットを投射させるため。街灯は点けるため。風はローソクを消すため。棺は運ばれるため。不動産屋は狂って看守を殺して脱獄し民衆に追われるため。屋根は人が座るため。石は投げるため。煙突は煙を吐き出すため。屋根は人が鉄棒にしがみついて降りるため。切り株は人が隠れるため。帽子は振るため。人が案山子に。案山子は叩きつけて振り回すため。水面は揺れるため。ドア、壁は影を投射させるため。手摺は影を落とすため。夫に教授を呼びに行かせるのは妻を一人にさせて吸血鬼に血を吸わせるため。ペンは叩き置くため。鳥は鳴き響くため。建物は光を投射するため。吸血鬼は消えて煙を吐き出すため。メガネははずして涙を拭くため。
■「最後の人」(1924) F・W・ムルナウ 76分 エピローグなし編9/18
エレベーターは壁を通過しながら下降するため。回転ドアは回転するため(ひたすら回る)。雨は降り注ぐため、ましたたり落ちるため、また水しぶきをあげるため、また地面を濡らして鏡にするため、また地面を光らせるため。雨の中の送迎、大きなカバンはドアマンを疲労させるて酒を飲ませ首にさせるため。レインコートは光るため。髭は撫でつけるため。車は煙を吐き出すため(凄まじい)。ビルの窓は光を放つため。壁は影を投射するため(人の巨大な影などが)。塀は人が乗り越えるため。石は投げるため。帽子は脱ぐため(何度も)。窓ガラスは人のシルエットを投射させるため(幾度も)。足音はドアを開けさせるため。ランプ、ライトは消すため。窓は布団を干すため。布団、制服は埃を叩くため。やかんは煙を吐き出すため。エプロンがタオルに。鏡に向かうのは娘の仕事ぶりを盗み見するため。腰はお盆を支えるため。ウェディングドレスは撫でるため。手摺が物干しに。布団は叩いて埃を吐き出すため。エプロンがうちわに。井戸は水しぶきを撒き散らすため。子供は倒して抱き起こしお菓子をあげるため。お尻は叩くため。床は陶器を置くため。地面は煙を撒き散らすため(まるで西部劇のように雨上がりの道路に埃を撒き散らしている)。ガラスが鏡に。タバコは煙を吐き出すため(凄く煙る)。暖炉は煙を吐き出すため。紙は落とすため。大きなカバンは担げないで落として倒れ込むため。壁は人が寄りかかるため。制服は脱がせてタンスに入れ盗ませるため。ボタンは落とすため。来客は上司を不在にさせた隙に鍵を盗むため。窓枠は人が座るため。机は人が寄りかかるため。ドアは光を反射させながら惰性で開閉させるため。ハンカチがうちわに。懐中電灯は丸い光を投射させるため。壁は人が隠れるため。眠るのはドアマンを逃がすため。肩が枕に。髭、服は風に揺られるため。ビルは倒れかかるため。制服で出勤する習慣は制服を盗ませるため。ドアは人が寄りかかるため。机は揺らすため。笛は吹き鳴らすため。本箱が帽子掛けに。椅子はその上に人が立つため。千鳥足はラッパを吹かせないため。カーテンは風に揺られるため。部屋は回転するため。ラッパは丸を映し出すため、またドアマンを眠らせるため。回転ドアは影を落とすため。大きな荷物は片腕で持ち上げて放り投げるため。画面はぼやけるため。人は分裂するため。ボタンは縫い合わせるため。ドアは人がぶつかるため。顔、画面は歪むため。汽車は煙を撒き散らすため。札は落とし置くため。タオルは投げ置くため。格子は影を投射させるため。ドアは惰性で開閉するため(何度もことさら開閉させている)。タオルは落とし棄てるため。妻が差し入れを持ってくるのは夫の左遷を知るため。雑巾は落とすため。悲鳴は窓ガラスを曇らせるため。トイレの客はトイレ係に仕事をさせないため。ブラシは人をつつくため。娘との会話は隣人に盗み聞きさせて笑わせ噂を広めさせるため。椅子は逆さにされている。手摺は影を投射させるため。呼び鈴の取っ手は引けないため。灯りは落とし割るため。椅子は人が寄りかかるため。マッチは投げ棄てるため。懐中電灯がスポットライトに(光源のずれなどおかまいなしに照らしまくっている)。
■「最後の人」(1924) F・W・ムルナウ 91分 エピローグあり編9/18
エレベーターは壁を通過しながら下降するため。回転ドアは回転するため(ひたすら回る)。雨は降り注ぐため、ましたたり落ちるため、また水しぶきをあげるため、また地面を濡らして鏡にするため、また地面を光らせるため。雨の中の送迎、大きなカバンはドアマンを疲労させるて酒を飲ませ首にさせるため。レインコートは光るため。髭は撫でつけるため。車は煙を吐き出すため(凄まじい)。ビルの窓は光を放つため。壁は影を投射するため(人の巨大な影などが)。塀は人が乗り越えるため。石は投げるため。帽子は脱ぐため(何度も)。窓ガラスは人のシルエットを投射させるため(幾度も)。足音はドアを開けさせるため。ランプ、ライトは消すため。窓は布団を干すため。布団、制服は埃を叩くため。やかんは煙を吐き出すため。エプロンがタオルに。鏡に向かうのは娘の仕事ぶりを盗み見するため。腰はお盆を支えるため。ウェディングドレスは撫でるため。手摺が物干しに。布団は叩いて埃を吐き出すため。エプロンがうちわに。井戸は水しぶきを撒き散らすため。子供は倒して抱き起こしお菓子をあげるため。お尻は叩くため。床は陶器を置くため。地面は煙を撒き散らすため(まるで西部劇のように雨上がりの道路に埃を撒き散らしている)。ガラスが鏡に。タバコは煙を吐き出すため(凄く煙る)。暖炉は煙を吐き出すため。紙は落とすため。大きなカバンは担げないで落として倒れ込むため。壁は人が寄りかかるため。制服は脱がせてタンスに入れ盗ませるため。ボタンは落とすため。来客は上司を不在にさせた隙に鍵を盗むため。窓枠は人が座るため。机は人が寄りかかるため。ドアは光を反射させながら惰性で開閉させるため。ハンカチがうちわに。懐中電灯は丸い光を投射させるため。壁は人が隠れるため。眠るのはドアマンを逃がすため。肩が枕に。髭、服は風に揺られるため。ビルは倒れかかるため。制服で出勤する習慣は制服を盗ませるため。ドアは人が寄りかかるため。机は揺らすため。笛は吹き鳴らすため。本箱が帽子掛けに。椅子はその上に人が立つため。千鳥足はラッパを吹かせないため。カーテンは風に揺られるため。部屋は回転するため。ラッパは丸を映し出すため、またドアマンを眠らせるため。回転ドアは影を落とすため。大きな荷物は片腕で持ち上げて放り投げるため。画面はぼやけるため。人は分裂するため。ボタンは縫い合わせるため。ドアは人がぶつかるため。顔、画面は歪むため。汽車は煙を撒き散らすため。札は落とし置くため。タオルは投げ置くため。格子は影を投射させるため。ドアは惰性で開閉するため(何度もことさら開閉させている)。タオルは落とし棄てるため。妻が差し入れを持ってくるのは夫の左遷を知るため。雑巾は落とすため。悲鳴は窓ガラスを曇らせるため。トイレの客はトイレ係に仕事をさせないため。ブラシは人をつつくため。娘との会話は隣人に盗み聞きさせて笑わせ噂を広めさせるため。椅子は逆さにされている。手摺は影を投射させるため。呼び鈴の取っ手は引けないため。灯りは落とし割るため。椅子は人が寄りかかるため。マッチは投げ棄てるため。懐中電灯がスポットライトに(光源のずれなどおかまいなしに照らしまくっている)。トイレ係になるのは遺産を相続するため。ケーキは顔を隠すため。食器は片付けられないため。モノグル、箱は落とすため。上司がやって来るのは元ドアマンを立ち上がらせないため。食器は下げられるため。石鹸は頭に塗りたくるため。コインは落とし置くため、またポケットに落とし入れるため。タバコがマッチに。タオルは投げ置くため。ポットは煙を吐き出すため。眠るのは笛でおこされるため。物乞いは制止できないため。車体は座って滑り落ちるため。
■「サンライズ」(1927) 93分8/28
汽車、船、煙突は煙を撒き散らすため(最初から煙の大放出)。ハンカチ、帽子、傘は振るため(最初から振りまくる)。ローソクがマッチに、また煙を吐き出すため、また風に揺られるため(ローソクの使い方も見事)。タバコは煙を吐き出すため(見事に吐き出す)。服は投げ置くため。鍋は煙を吐き出すため。キッチン?に脚を乗せてハイヒールを磨くのは脚を見せるため。口笛は人を呼ぶため。窓はシルエットを投射させるため。食事を作るのは食べられないため。倒木は人が座るため。木々は風に揺られるため。霧は立ち込めるため(凄く)。月は光るため。柵は人が乗り越えるため。木はかき分けるため。花は回すため、また投げ棄てるため(見事に投げ棄てている)。水面は光るため、また揺れるため(後半はもっと凄く光り揺れる)。字幕は歪むため。海は人を落として水しぶきをあげるため。ネオンは光るため。画面は揺れるため(視覚的)。沼地は足跡を遺すため。網は風に揺られるため。木々は影を落とすため。格子は影を投射させるため。眠るのは寝顔を見られるため。餌を撒くのは夫に盗み見されるため。壁は人が寄りかかるため。犬は鳴き騒ぐため、また柵を飛び越えるため、また海に飛び込み犬かきで泳いで水しぶきをあげるため、また一度ボートを引き返らせるため。水面が鏡に。船はピクルスを隠すため。鳥は飛び立つため。ネクタイは風に揺られるため。ボートは水しぶきをあげるため。倒木が船留めに。地面は煙を撒き散らすため。斜面は駆け上がるため。森は路面電車を出現させるため。通過物は影を落とすため。エンピツはガラスを叩くため。光が帯に。車は人を遮るため、また人がよけて大通りを渡るため。人はキャメラの前を横切るため。机は人がすがりつくため。ショールが布巾に。パンは食べないため。結婚式は夫を改心させて夫婦を和解させるため。鐘は揺らすため。階段は人が座るため。教会の外の参列者は既婚夫婦を見送るため。大通りは車をすり抜けて渡るため。キスは渋滞を惹き起こすため。ガラスが鏡に。キスするのは髭を剃るため。ナプキンは投げ棄てるため。妻は髪を切らないため。タオルは煙を吐き出すため。首を横に振るのはシャボンで泡だらけになるため。マニキュア係は拒絶されるため。妻はスチームと男のあいだに挟まれるため。新聞は投げ置くため。男が花をもぎ取りキスしてから胸に付けるのは夫に剥ぎ取られるため。足は足を踏んづけるため。フレームは夫婦を逆さにするため。ソファーは跳ねあがるため。ブドウを盗み食いするのは置物を落として頭部を落としゴムボールを刺しつけるため。書類は落とすため。遊園地のオブジェ、アトラクションは回転させるため。噴水は水しぶきをあげるため。電灯、テーブル、風船は丸いため。滑り台は子ブタを滑り落とすため。息は白を吐き出すため。子ブタは逃げて女たちの脚を上げさせるため、またカップルのキスを邪魔するため。壁は人の影を投射させるため。椅子はその上に人が乗るため。タオルを落とすのはその下に子ブタを潜らせて酔っ払ったコックを驚かせるため。ボトルを落とすのは酒を子ブタに飲ませて酔っ払わせボトルをなぎ倒させるため。夫が玉投げのアトラクションをするのは逃げた子ブタを捕まえて妻と踊るため。踊りたがらないのは踊るため。ドレスの肩ひもがずり落ちるのは何度もずり上げる隣の男に嫌気をささせ故意にずり落とさせたところを女に殴らせるため。人は振り回すため。女たちは輪になり回転するため(視覚的)。請求書は落とし置くため。ボトルは逆手で握られている。花火は撒き散らすため。人は列車に投げ乗せるため。膝が枕に。たき火は煙を撒き散らすため(これまた凄く)。雷は光るため。突風はゴミ、砂埃を舞い上げるため。旗、テープは突風に揺られるため。帽子は吹き飛ばされるため。雨は降り注ぐため。上着が毛布に。ボート、ランプは揺れるため。大波は水しぶきをあげるため。オールは折れるため。突風はカーテンを揺らすため、また窓をこじ開けるため。ピクルスが浮き輪に。夫のピクルスが妻のピクルスに。サーチライトは光と影を撒き散らすため。木は人が登るため(座るため)。水面を流れるピクルスは妻の死を指示させて夫を怒らせ情婦の首を絞めさせるため。帽子は脱ぐため(一斉にみんなで脱いでいる)。たいまつは煙を吐き出すため。ベッドは人がすがりつくため。格子は十字の影を落とすため。柵は人を押しつけるため。妻の救出は夫に情婦を殺させないため。朝日はのぼるため。
フリッツ・ラング
■「スピオーネ」(1928) 141分 12/9
バイクは煙を吐き出すため。タワーは光の輪を放射するため。銃は煙を吐き出すため。大臣は書類を盗まれるため。山積みの書類は崩し落とすため。書類は落とし置くため。頭はかきむしるため。受話器は叩きつけるため。タバコは煙を吐き出すため(凄まじい煙の連鎖。まさにタバコは煙を吐き出すためだけに存在する)。ガラスは撃ち抜くため。頭は掻くため(帽子をずらして。アメリカ映画の頭の掻き方とは少し違う)。地面は影を投射させるため。帽子は脱ぐため(極めて頻繁に)。袖はカウンターと帽子を拭くため。帽子がうちわに。ステッキはアゴを支えるため。メガネは探すため。書類は叩きつけるため。背広は埃を払うため。部下はスパイであると見破られるため。机は人が寄りかかるため。手錠ははずして掛けかえるため。書類は叩くため。本は叩き閉じるため。格子は影を落とすため。新聞は投げ置くため。マントは脱ぎ落とすため。膝は人がすがりつくため。髪はとかすため。ガラスは叩くため。暗号は消えるため。房はどけるため。すりガラスは上げ下げさせるため。マッチは投げ棄てるため。新聞は顔を隠すため。帰るのは帰れないため。写真は破り捨てるため。札は叩き置くため。手紙の破片は落とし棄てるため。コンロは煙を吐き出すため。ランプは揺れるため。机は人が座るため。屋根は人が登って這うため。ネオンは光を点滅させるため。帽子は背もたれで押して上げ下げさせるため。肘掛けは手形をつけるため。銃身は光るため。帽子は落とし置くため。ドアは耳をそばだてるため(何度も)。警棒はドアを叩くため。靴は投げ渡すため。バッグは人が寄りかかるため。靴は腕組みをして挟み込むため。椅子の下は靴を隠すため。本は弾丸を受けとめるため(「三十九夜」(1935)みたい)。バッグはドアを隠すため。ドアノブは回転するため。シェービングクリームは変装のため、またその機会に髭を剃るため。バスタブは水しぶきをあげるため。指は鳴らすため。ゴミは叩き棄てるため。胸元は書類を入れるため。壁は人が寄りかかるため。ドアは人がすがりつくため。ネックレスは噛むため。手紙は落とし置くため。ポットは煙を吐き出すため。食べ物も飲み物もいらないため。窓はシルエットを投射させるため。振り子は振られるため。街灯は点火されるため。シャッターは降りるため。聖書は首飾りを挟むため。通過物は光を投射するため。リングサイドがダンス会場に。ダンスするのはメモを渡されるため。メモは握り潰すため。男とボーイが席を外すのはその隙にメモを渡すため。簾は揺れるため。車のステップは人が乗るため。チップはもらえないため。子供は諜報員に情報をもたらすため。袖は物を入れるため。手はツバを吐くため。コインは噛むため。札束はめくるため(トランブみたいに)。札は投げ渡すため。すりガラスはシルエットを投射させるため。懐中電灯は光を投射するため。机はマッチを擦るため、また足で打ち鳴らすため。椅子は置き響かせるため。写真は撫でて頬ずりしてキスするため。新聞は風に舞い飛ばされるため。手は雨粒をしたたり落とすため。コート、電柱のちぎれたチラシは風に揺られるため。雨は降り注ぐため(線を画面に書き込んだように降る)。首飾りは叩きつけるため。ソファーがベッドに。物差し?は手を叩くため。メモは燃やすため。椅子は足を乗せるため。机はタバコを置くため。タバコは落とすため。グラスはネックレスを引っ掛けるため。札は手を叩くため。ペンは紐からひきちぎるため。人は人にぶつかるため。メモするのは写し取られるため。新聞は握り潰してちぎり棄てるため、また落とし置くため、また議定書を挟むため。お盆はカップごと落とすため。人は壁につき飛ばすため。女はいないため。旗は風に揺られるため。紙は舞い落ちるため。女はスパイを切腹させるため。ドスは逆手で握られている(機能的か)。ネックレスは投げ渡すため。肘掛けが足掛けに。線香は煙を吐き出すため。メガネは無いため。バッグは投げ置くため。汽車は煙を撒き散らすため(限度を超えている)。雑誌は投げ置くため。首飾りは人物を特定させるため。シーツは落とし置くため。数字が振り子に。グラスは振動するため。車輪は回転するため。帽子は叩き置くため。服は投げ置くため。汽車は揺れるため。首飾りは落下するため。汽車は汽車に衝突して煙を吐き出すため、また脱線崩壊させて生き埋めになった諜報員を女に救出させるため。柵は人が乗り越えるため。人は違うため。光が帯に。息は白を吐き出すため。銃は落とすため。人が盾に。地面は煙を撒き散らすため。キャメラマンはバイクを奪われるため?。三脚?は車で引きずるため。ガラスが鏡に。車は銀行に突っ込むため。バッグは落とすため。椅子は倒すため。銃は弾が出ないため、また叩きつけるため。荷車は車を妨害するため。爆弾は煙を吐き出すため。客は外に出られないため。椅子は人を縛るため。荷物は投げ渡すため(投げることの露呈)。人はキャメラの前を横切るため。カウンターは人が飛び越えるため。壁は叩くため。ドアはバーナーで焼き切るため。本は叩き置くため。壁はドリルで壊し破るため、また影を投射させるため(くっきりと人影が)。手かせは噛みほどくため。置物は投げつけるため。手はハイヒールで踏んづけるため。ガスは煙を吐き出すため(まさに煙の映画)。灰皿は投げてガラスを割るため(スラップスティックコメディの様相)。ガラスは叩き割るため。爆破は机を倒すため。敵スパイは壁際で撃たれて持っていた手榴弾で壁を爆破するため。書類の山は人が座るため。新聞は丸めて投げ棄てるため。耳はペンを挟むため。音符は倒すため。足は拍手するため。舞台袖の役者たちは追い払われるため。楽隊は狙撃手を紛れ込ませるため。ラッパは投げ棄てるため。舞台は人が自殺するため。
マイケル・カーチス
■「カサブランカ」(1940) 101分9/30
ドイツ兵殺害は事件を起動させるため。玉は投げ上げるため。笛は鳴り響くため。トラックは人を蹴散らすため。パスポートが期限切れなのは殺されるため。網は影を落とすため。壁は人が寄りかかるため。格子は影を投射させるため。財布はすられるため。本がうちわに。旗は風に揺られるため、また影を落とすため。サーチライトは光を投射するため(徹底している)。タバコ、アヘン?は煙を吐き出すため。木々は影を落とすため。灰皿のタバコはボギーの出のショットを撮るため。名刺は破って投げ舞わすため。賭博場には入れないため。ランプの傘は影を落とすため。ピアノは通行証を隠すため。机は叩くため。ピアニストは引き抜かれないため。小切手は破り棄てるため。椅子は倒すため。エンジンは鳴り響くため。壁は影を投射するため。机は人が座るため。ブラインドは影を投射させるため(凄い)。指輪は人物を特定させるため。ピアニストは人物を連想させるため。電灯は影を落とすため。椅子は逆さにされている。嘘は見破られるため。ブローチは光るため。曲は昔を想起させるため。前例は破られるため。髪は風に揺られるため。菓子は投げ渡すため。ミラーボールは光るため。コインは投げ上げるため。暖炉は光を投射するため。地面は煙を撒き散らすため。窓枠は人が座るため。電柱はよじ登るため。窓の文字は影を落とすため。手摺は人が座るため。耳たぶは触るため(ボギーが)。大砲は鳴り響くため。グラスは倒すため。雨は帽子のつばからしたたり落ちるため、また手紙の文字をにじませるため。汽車は煙を撒き散らすため。手紙は投げ棄てるため。扇風機は回転する影を落とすため(何度も)。書類は投げ置くため。鍋?は煙を吐き出すため。一枚のピザは断るため。人は人にぶつかるため。女と来たドイツ兵は喧嘩を許されないため。歌は歌でかき消してドイツ兵を怒らせレジスタンスを逮捕させてから釈放させたあと署長に逮捕させずに逃がすため。帽子は落とし置くため。行き先は言わせないため。銃は撃てないため。ヘッドライトは光を投射するため。服がタオルに。ドアは開閉させて光と影を投射させるため、また押し破るため。霧は立ち込めるため。プロペラは鳴り響くため。銃は煙を吐き出すため。電話コードはひきちぎるため。ボトルは落とし棄てるため。ゴミ箱は蹴飛ばすため。署長は夫婦を逃がすため。誘導灯は光るため。
マックス・オフュルス
■「ディヴィーヌ」(1935) 70分7/13
車輪は回転するため。バックミラーは歪曲するため。木々は風に揺られるため。足の傷は脚を見せるため。炎は燃え盛るため。壁は影を投射するため。ドアは開閉して光を投射させるため。ピアノは人が座るため。?は投げ渡すため。新聞は破り取るため。タバコは煙を吐き出すため。バッグ、帽子、ハイヒール、ストッキングは投げ置くため。散らかった食器は整理するため。カバンは投げ置いて牛乳瓶を割るため。牛乳瓶を割るのは配達人と女を巡り合わせるため。手摺は人が滑るため。口笛は鳴り響くため。絵が人間に。幕は人がすり抜けるため。らせん階段は人が上り下りするため。飴は吐き出すため。鐘は鳴り響くため。椅子は洋服ダンスに。服は投げ置くため。牛乳瓶は交換するため。足はドアに挟むため。計算は間違えるため。小僧は追い出されるため。書類は投げ舞わせるため。バッグは調べられるため。帽子は脱がせてかぶせるため。網はキャメラの前を横切るため。縄は落下させるため。香は煙を吐き出すため。階段は人が座るため。ヘビは女を失神させて男に抱きかかえさせるため。椅子は逆さにされている。机は人が寄りかかるため。カバンは赤ん坊を入れるため。女たちは影を投射させるため。格子は影を投射させるため。帽子は投げつけるため。タオルは叩きつけるため。階段はティアラ、酒瓶を転げ落とすため、壁は人が寄りかかるため。柱はその周りを人が回るため。服はりんごをこするため。手摺は影を投射させるため。ネクタイは投げ置くため。衝立はシルエットを投射させるため。お盆はひっくり返すため。札は投げ置くため、また叩き置くため。椅子は足を乗せるため。スパンコールは光るため。すりガラスはシルエットを投射させるため。紙は破って燃やすため。ライターの油がないのは入れ替える時に油をこぼして火事を惹き起こして女に容疑をかけさせるため、また男の農家へ行かせるため。息は吸って吐くため。火事は煙を吐き出すため。雨は降り注ぐため。餌は落とし置くため。地面は人が座るため。口紅は投げ置くため。クリームは叩きつけるため。倒れた机は人が座るため。口笛は人を呼ぶため。花びらはちぎるため。容疑は晴れるため。役人が入って来るのは退出するため。子供は目隠しされるため。
■「ヨシワラ」(1937) 86分7/4
木々は風に揺られるため、また影を投射させるため。地面は人が座るため。父が切腹するのは娘を芸者にさせるため。銭は投げ落とすため。鍋は煙を吐き出すため。花は人を差すため。手は叩くため。そろばんは振り鳴らすため、また叩き置くため。大砲は鳴り響くため。水面は影を投射させるため。椅子は足を乗せるため。本は顔に投げつけるため。帽子は匂いを嗅ぐため。タバコは煙を吐き出すため。ボタンはしめるため。帽子は振るため。手摺は人が座るため。水面が鏡に。服は投げ置くため。彫像は落とし割るため。土産は落とし置くため。階段が滑り台に。三味線は弾かないため。賭博に負けるのは強盗をさせて逮捕させスパイにさせるため。霧は立ち込めるため。風は鳴り響くため。堤防の上は人力車で走るため。カバンがメモに。水面は光るため。ペンはいじるため。ローソクは風に揺られるため。雲は立ち込めるため。机は人が座るため。塀は人が乗り越えるため。橋は人がしがみつくため。木は人が登るため。橋を通過するのは止まらないため。机は人が乗るため。椅子が馬に。机がソリに。ベルトが手綱に。家がオペラ会場に。背中は場面転換のために。塀は人が乗るため。大砲は鳴り響くため、また煙を吐き出すため。花は風に揺られるため。香は煙を吐き出すため。床は人が寝そべるため。柱は人が寄りかかるため。屋根は人が潜むため・手摺は人が乗り越えるため。襖は影を投射させるため。階段、堤防は人が座るため。ハンカチは振るため。霧は立ち込めるため。ローソクは落ちるため。帽子は脱ぐため。
■「歴史は女で作られる」(1956) 108分 11/11
ランプは煙を吐き出すため。シェイカー、帽子?は回転させ投げ渡すため。ドレスは光るため。地面は煙を撒き散らすため。質問は間違えるため、また答えないため、また聞き直すため。人は飛び跳ねるため。セリフは反復させるため。通過物は影を落とすため。タバコは煙を吐き出すため。ニワトリは階段から投げ落とすため、また馬車で蹴散らすため。煙は影を落とすため。楽譜は破り捨てるため。鐘は鳴り響くため。忍び足は眠っていないため。帽子は脱ぐため(頻繁に)。飾りドアは人をキャメラから遮るため。スダレは揺れるため。木々は風に揺られるため。ハンカチは振るため。冠は脱がせるため。水面は揺れる光を投射するため、また地上に揺れる光を投射するため。ボイラーは煙を吐き出すため。手袋は忘れて取りに戻るため。声は鳴り響かせて人を振り向かせるため。ヒラヒラ、スカートは風に揺られるため。星は光るため。船は娘を一人ぼっちにさせるため。ローソクは風に揺られるため。編み傘は人をキャメラから遮るため(窓ガラス、鉢植え、柱、木、人、カーテン、ネット、ボイラーなど多くの事物が人とキャメラのあいだに置かれている)。酒を注ぎに行くのは娘がいなくなるため。扇子は落として拾わせるため。老人の恋人は娘を怒らせ母親の恋人と結婚させるため。鞭は鳴り響くため。舞台は回転するため。ライフルはドアを破り割るため。脚は隠すため。靴は叩きつけるため。ライフルは投げ置くため。手は噛むため。結婚するのは別れるため。汽車は煙を撒き散らすため(ミニチュアの)。札は舞い上げるため。女が踊って回転するのはふらつくため。カーテンはシルエットを投射させるため。リボンは風に揺られるため。幕は人が破り出るため。指揮者は殴られるため。お盆はひっくり返すため。椅子は投げ棄てるため。テーブル、椅子はその上に人が立つため。ブレスレットは突き返すため。マッチは投げ棄てるため。紙がうちわに。タバコは投げ棄てるため。服は脱ぎ落とすため。窓は開けるため(機能を超えて見事に開く。機能だけなら最初から開いていてもいいはず)。道に迷うのは左翼の男と巡り会うため。バッグは投げ渡すため。メイドは席を外すため。ベルトは階段を引きずるため、また敷き落とされるため。部屋は安い部屋に代えてからまた高い部屋に戻るため。雪は降り注ぐため。風は鳴り響くため。筒はくわえるため。契約はされないため。馬車は乗らないで歩いて兵隊と話すため。木々は影を落とすため。日傘は回転させるため。声は小さいため。ドレスは切り裂いて縫い直すため。命令は言い継がれるため。椅子は人がつまずくため。忘れ物は届けるため。指は手摺に打ちつけてリズムを取るため。花は投げ落とすため。二つの鏡は女を分裂させるため。ローブは揺れるため。舞台は王様に会うため。机は人が寄りかかるため。手摺は人が座るため。話は聞こえないため。妻の療養は王様と女を2人きりにさせるため。動くのは怒られるため(モデルが)。厚着をしてモデルになるのはヌードになるため。タバコは取り上げられるため。パンフレットは破り握り潰して投げ棄てるため。藁人形は燃やすため。石は窓を割って鳴り響かせるため。格子は影を落とすため。銃声は鳴り響くため。地面は人が座るため。ノックは鳴り響くため。手摺は影を投射させるため。鳥籠は影を落とすため。柱は影を投射させるため(柱に人影が投射される)。壁は人が寄りかかるため。石は馬車に投げつけるため。ガラスは叩くため。左翼はふられるため。ランプは揺れるため。給料はもらえないため。タオルは叩き置くため。ネットは張らないため、また落とすため。指は鳴らすため。
マルセル・カルネ
■「霧の波止場」(1938) 89分 12/7
ヘッドライトは光るため、また光を投射させるため。地面は光るため(雨に濡れて)。トラックは男を乗せるため。質問は答えないため。ブレーキは鳴り響くため。犬は男にハンドルを切らせて運転手を怒らせ喧嘩しないため(急に喧嘩をやめる)。タバコは煙を吐き出すため。ダンスはしないため。呼び方は間違えるため。人は人にぶつかって知り会うため。壁は人が寄りかかるため。石は犬に投げて追い払っても追い払えないため。ブラインドは影を投射させるため。ボトルは飲めないため。ボイラーは煙を吐き出すため。机は人が座るため。画家が男を怒らせるのは男に空腹を宣言させるため。娘が窓の外を見つめているのは出のショットで振り向くため。パンは犬に投げ食わすため。銃声は鳴り響くため。ズボンは銃を挟むため。ランプは消すため。煙突は煙を吐き出すため。車のステップは人が乗るため。机は人が寄りかかるため。銃は煙を吐き出すため。車はその陰に人が隠れるため。窓、ボトル、ヘッドライトは撃ち割るため。帽子は脱ぐため。ラムは無いため。犬は鳴き響くため。椅子はドアのつっかえ棒に。地面は影を投射させるため。服は風に揺られるため。画家は自殺して服と靴と身分証と金を男に譲るため。服は落とし置くため。霧は立ち込めるため。船は煙を吐き出すため。堤防は人が座るため。小石は投げ棄てるため。地面は煙を撒き散らすため。顔は触れないため。鳥は舞い飛ぶため。堤防で話をするのはギャングに女を乱暴させて男にギャングを殴らせ泣かせるため。触るのは触れないため。人は殴り倒して帽子を転がすため(殴られてもケロッとしている)。車は人が寄りかかるため。汽笛は鳴り響くため。呼ぶのは聞こえないため。ラジオは消すため、また人が寄りかかるため。マッチ?はくわえるため。バッグは落とし置くため。壁は影を投射するため。呼び鈴は鳴り響くため。客は養父が娘に代わって応対しあとから出てきた娘を驚かせるため。客は男と娘を2人きりにさせるため。娘にコニャックを地下に取りに行かせるのはカフスボタンを拾わせるため。失神するのはカフスボタンを養父に拾わせるため。角砂糖は投げ置くため。商人が波止場の小屋に逃げ込むのは軍籍番号を見て男をゆするため。ゆするのはゆすれないため。行き先は聞かないため。帽子は落とし置くため。石が重しに。ロープは投げ置くため。医師は男を船に乗せるため。樽は転がすため。グラスは大きいのに替えるため。セリフは盗むため。歩いている客は客と他の客をつなぐため(対象を変化される媒体になる)。人はキャメラの前を横切るため。人はかき分けるため。他の客の帽子を取って投げつけるのは男の帽子を取って殴られるため。ゴーカートはギャングが男に殴られるため。指は鳴らすため。メリーゴーランドは対象を変化させるため。肩が枕に。水面は揺れるため。椅子が洋服掛けに。鐘は鳴り響くため。格子、カーテンは影を投射させるため。ルームサービスの朝食は新聞の見出しを見せるため、またボーイの情報を聞くため(朝食は手つかずで下げられている)。新聞は落とし置くため。服を海に沈めるのは男に罪を着せるため。女の知人は殺されて男に罪を着せるため。酒は飲まないため。籠、ナイフは落とし置くため。カフスボタンは人物を特定させるため。階段は人が座るため。柱は犬のリードを結び付けるため。キャメラは壁を通り抜けるため。船に乗るのは下船するため。置物は人を殴るため。段ボールの山は人を倒し崩してボールを散乱させて転がすため。頭は人を押し倒すため(頭突き)。ナイフは逆手で握られている。レンガ?は人を殴るため。讃美歌は鳴り響くため。ドアはひとりでに閉まるため。汽笛は煙を吐き出すため。木々は影を落とすため。ギャングを殴るのは恨ませて撃たれるため。
ミケランジェロ・アントニオーニ
■「欲望」(1966) 110分 11/6
帽子、ハンカチは振るため。ボンネットは人が寝そべるため。列車は通過するため。壁は人が寄りかかるため。木々は風に揺られるため(ひたすら揺られている)。車は止められるため。新聞は払いのけるため。車はキャメラの前を横切るため。通過物は影を落とすため。足はドアを閉めるため。フラッシュは光るため。靴は滑らせ置くため。机は足を乗せるため。口笛が合図に。靴は落とし置くため。ガラスが鏡に。笑うのは笑えないため。服は落とし置くため。地面は影を投射させるため。コインは指で回すため。写真は投げ置くため。車は飛び乗るため。背もたれは人が座るため。バッグは置かせないため。フロントガラスが鏡に。2人組は採用されないため。髪は風に揺られるため。ホコリは人の顔に吹きかけるため。机は人が寄りかかるため。骨董品は売りたくないため。キャメラは手から手へ投げ渡すため。剣はゴミを突き刺すため。鳥は鳴き響くため。木の枝は人がどけ通るため。鳥は追い回すため。人は飛び跳ねるため。木の枝はどけて写真を撮るため。木々はざわめくため(ひたすら)。柵は人が飛び越えるため。木は人が隠れるため。シャッターは鳴り響くため。手は噛むため。地面は人が座るため。キャメラは奪えないため。公園は事件を撮影するため。線は人を消すため(稜線)。タンス、車は人が寄りかかるため。プロペラは車で運ばないため、また地面に打ち付けるため。話は聞き取れないため。食事は中断するため。ブラインドは影を投射させるため、また押し広げるため。車は揺らすため。人は蹴散らすため。プラカードは車に入れて落とすため。クラクションは鳴り響くため。車体が鏡に。テープレコーダーはグラスを置くため。梁は人が寄りかかるため。ビニールは叩くため。床は這いずり回るため。壁は頭をぶつけるため。電話は出ないため。彫像はマッチを置くため。リズムは取らないため。机は人が座るため。タバコは吸い回すため。手前のキャメラは奥の女とパンフォーカスを撮るため。水を飲むのはキャメラを盗んで見つかり返却するため。バック紙はその裏を人が通過するため。フィルム、服は投げ置くため。ブザーは鳴り響くため。梁が下敷に。ペンは落とし置くため。膝は叩くため。赤ランプは点滅するため。水はしたたり響くため。ソファーがベッドに。マッチは落とし置くため。写真はシルエットを投射させるため。写真と写真の間がフレームに。肘掛けは人が座るため。口はピンをくわえるため。汗はしたたるため。肘掛けは電話機、グラスを置くため。受話器は叩き置くため。メモは握り潰して投げ棄てるため。電話番号は嘘なため。足音は鳴り響くため。ソファーはその上に人が立つため。写真は落とし置くため。階段は脚を見せるため。名前は聞かないため。ドレスはモデルを着替えさせて裸にさせるため。ポットは鳴り響くため。洋服掛けは人が隠れるため、また倒してその上でレスリングをするため。人がバリアに。床は人が滑るため。ストッキングは脱がせるため。バック紙はその上で暴れるため。大騒ぎをするのは写真の新発見をさせるため(新たな視点を発見させるために2人組のモデルとの大騒ぎがある)。写真は光を当てて撮り直すため。机は人が跨ぎ越えるため。木々は影を落とすため。プロペラは足で傾けるため。帰宅するのは女の情事を目撃するため。机が鏡に。箱、紙は投げつけるため。机は叩くため。家具のあいだは写真を挟み込むため。吊るされたクリップは揺れるため。糸は触れるため。人はかき分けるため。アンプの雑音はギターで叩いてギターを踏み潰させ残骸を投げつけて奪い合わせ写真家に持ち帰らせて投げ棄てさせるため(ライブを見せること以外に何の意味もない)。人は人にぶつかるため。タバコは煙を吐き出すため。指は鳴らすため。話は聞かれないため。服は掴んで人を引っ張るため。死体は無いため。ネオンは点灯するため。ネットは人が飛び越えるため。フェンスは人がしがみつくため。ボールはないため。
ルイ・フイヤード
■「首なし死体」(1915) ルイ・フイヤード 30分 11/21
ファイルは盗まれるため。机は人が座るため。ファイルは落とし置くため。泥棒は逃がされてあとから協力者になるため。木はシルエットを投射させるため、また画面の手前にナメルため、また風に揺られるため。座るのは座れないため。名刺は破り捨てるため。判事は協力しないため。車のステップは人が立つため。手の甲はタバコを叩くため。タバコは煙を吐き出すため(弱い)。宝石は光るため。酒は夫人だけ飲んで宝石を奪われるため。ベッドはその上に人が立つため。額縁の裏が通路に。椅子が洋服掛けに。額は開閉させて光と影を投射させるため。タバコを吸うのはポケットからジガレットケースを出させるため。帽子は脱ぐため。服は落とし置くため。カーテンは人が隠れるため。ガラスが鏡に。博士と婦人が判事に会いに来るのはその隙に博士の城を調べるため。車は煙を吐き出すため、また座席に人が立つため。ステッキは方向を差し示すため。ソファーがベッドに。夫人は宝石を盗まれて殺されるため。暖炉は人が出入りするため。屋根は人が這うため、また歩くため。煙突は煙を吐き出すため。排水管は人が伝い降りるため。
■「殺しの指輪」(1915) 13分11/21
タバコは煙を吐き出すため。帽子は脱ぐため。箱は投げ置くため。指輪は毒を指に刺すため、また投げ棄てるため。背もたれは人が腹這いになるため。ダンサーは殺されるため。人は人にぶつかるため。木々は影を落とすため。車は人がしがみつくため、また人が寄りかかるため。、覆面がうちわに。覆面がタオルに。壁は人が寄りかかるため。泥棒は記者を逃がすため。帽子は落とすため。審問官は記者の身代わりに殺されるため。覆面は投げ置くため。樽は蹴り倒すため。銃は煙を吐き出すため。
■「赤い暗号文」 37分 11/21
紙は落とし置くため。ドアは耳をそばだてるため(2回ほど)。石段は人が座るため。タバコは煙を吐き出すため。壁は人が寄りかかるため。文字は入れ替えるため。椅子はその上に人が立つため。帽子は脱ぐため。机は人が座るため。人は振り回すため。壁は人がよじ登るため。暖炉は人が出入りするため。帽子は叩き置くため。暖炉は箱を転がし出すため。箱は落とし置くため。マッチは落とし棄てるため。覆面は人を回転させて脱がせるため。帽子はメモを入れるため。覆面は振り回して人の顔にぶつけるため。ベッドは人が寄りかかるため。万年筆は毒を仕込むため。封筒は落とし棄てるため。スカーフは振り回すため、また風に揺られるため(見事に揺れている)、また合図に。窓はスカーフを掛けるため。タバコは投げ棄てるため。手帳は振るため。ベッドは銃を隠すため。ボトルはすり替えられるため。花瓶は酒を入れるため。ランプは上下させて合図に。弟は事故に遭わないため。ドアは人が寄りかかるため。木々は影を落とすため。窓は人が出入りするため。銃は煙を吐き出すため。手摺は影を投射させるため。屋根は人が歩くため。煙突は煙を吐き出すため。銃は空砲なため。暖炉は銃を投げ棄てるため。宝石は落とし置くため。椅子は人を縛るため。テーブルはずらすため。ペンは折って交換するため。男がバッグの中を調べるのはペンを確認するため。インクは人の手にこぼして毒殺するため。椅子は倒すため。窓がフレームに。襟は風に揺られるため。弟の事故の報は母親を外出させて誘拐させ手帳を息子に持って来させる文書に署名させ男を毒殺させるため(初めて複雑なマクガフィンが配置されている)。手帳は偽のメイドを侵入させて空砲で殺し損なわせるため、また母親を事件に巻き込むため(手帳の暗号は解読されない)。階段は人が座るため。木々は風に揺られるため。通りがかりの車は母親を助けるため。地面は人が寝そべるため。井戸は人が座るため(この井戸周辺のショットは素晴らしい)。指笛が合図に。井戸は人がロープで伝い降りるため。銃は投げ棄てるため。
ルイス・ブニュエル
■「皆殺しの天使」(1962) 91分 11/12
木々は風に揺られるため。ヘッドライトは光を投射するため。散歩に出るのは戻れないため。ドアは鳴り響くため。コップは拭くため、水面が鏡に。ドアは耳をそばだてるため。メイドたちは出て行くため。ローソクは風に揺られるため。話は聞かれないため。タバコは煙を吐き出すため。執事は転んで皿をぶちまけるため。器は光るため。机の下は羊が隠れるため。帽子は脱ぐため(紳士的行為)。コックたちは出て行くため。灰皿は投げてガラスを割り響かせるため。紹介はできないため。ピアノは人が寄りかかるため。演奏会はブロックサインを送るため。バッグからハンカチを出すのはニワトリの足を一緒に出すため。リクエストは断られるため。曲は間違えるため。自己紹介は反復されるため。ソファーがベッドに。背もたれは人がすがりつくため。階段は人が座るため。ネクタイははずすため。肘掛けは人が座るため。客は帰らないため。灯りは消すため。椅子が洋服掛けに(長時間い続けることで椅子、ソファー、背もたれ、階段等が機能とは違った使われ方をし始める)。上着は脱ぐため(紳士らしからぬ行為)。地面は人が寝そべるため。服が枕に。ローソクは吹き消すため。机は人がすがりつくため。服は落とし置くため。ブレスレットは光るため。お尻、おっぱいは触るため。シャンデリアは光るため。患者の胸は医者がすがりつくため(意味ありげに撮っている)。手にキスはできないため。化粧を直しに出るのは出られないため。帰るのは帰らないため。スプーンは取りに行けないため。雨は降り注ぎ響くため、またカーテンに影を投射させるため。雷は鳴り響くため、また光るため、また光を投射するため。ピアノは弾かせないため。ステッキは人をつつくため。クローゼットがトイレに。食料は無いため。花は落とし置くため。花瓶の水は飲まないため。服は投げ置くため。口論するのは女に殴られるため。時計は鳴り響くため(チクタク)。肘掛けが枕に。指揮者は死ぬため。クローゼットは中で人が逢引きするため、また死体置き場に。膝が枕に。レモンをかじるのはクローゼットの中から腕が出て来て失神するため。ドアはきしむため。帽子は叩くため。人々は屋敷の敷地に入れないため。水道管は叩き割るため。足は踏んづけるため。レバーは投げ棄てるため。水道管は鳴り響くため、また水しぶきをあげるため。人々は並ばないため、またレディファーストではないため。紙は食べるため。布は水道管を塞ぐため。椅子は人が寄りかかるため。コンセントは引っこ抜いて投げつけるため。髭は剃れないため。髪をとかすのは怒られて櫛を折られ叩きつけられるため。子供の話をするのは神父を非難するため。盗み聞きはしたくないため。礼儀は守られないため。助言はできないため。布はドアの隙間に挟んで匂いを消すため。石は投げ置くため。ステッキはゴミをかき分けるため。タバコを探すのは小箱を見つけて投げ棄てるため。頭は掻きむしるため。壁は鳴り響くため。人々は臭いため。鳥は鳴き響くため。手首は床を這うため。ショールは投げ置くため、またその中で手首がうごめくため、置物は手首を潰すため。時報は鳴り響くため。ナイフは逆手で握られている(見事に逆手で握られている)、また机に突き刺すため。人は跨ぐため。階段が枕に。夜這いはした者を間違えて決闘するため。女が食事の要求をするのは男に突き飛ばされるため。提案は受け入れなれないため。羊、熊は鳴き響くため。壁は影を投射するため。リボンは風に揺られるため。警官に呼び止められるのは状況を説明させるため。子供は敷地に入れないため。たき火は煙を撒き散らすため。チェロが焚き木に。羊は食べられるため。スネ毛は剃れないため。羊毛は舞い上げるため。儀式はできないため。死体は見て笑うため。柱はクマがよじ登るため。合言葉は呼応するため。背中を押すのは殴られるため。笑うのは泣くため。悲鳴は鳴り響くため。布はかきむしるため。鐘は鳴り響くため。霧は立ち込めるため。ノコギリは引き響かせるため。床は人が這うため。箱は投げ棄てるため。旗は風に揺られるため。人がバリアに。スピックは逆手で握られている(さっきと同じナイフか?)。ライトは点くため。地面は影を投射させるため。教会は人が出られないため。木はシルエットを投射させるため。銃は煙を吐き出すため。羊は教会の中に入るため(食べられるため?)。
ルキノ・ヴィスコンティ
■「熊座の淡き星影」(1965) 100分10/10
肘掛けは人が座るため。ピアノは人が寄りかかるため。曲は人を惹き寄せるため。ハイヒールは放り脱ぐため。肘掛けが足掛けに。木はシルエットを投射させるため。手摺は光を断続的に投射させるため。鳥は飛び交うため。木々は影を落とすため。椅子は足を乗せるため。簾は揺れるため。スカーフは風に揺られるため。ライトは点けるため。椅子、机は触るため。涙はしたたり落ちるため。スカーフ、服は投げ置くため。時計は鳴り響くため(チクタク)。手紙は鳴り響くため(紙関係の音が鳴り響く)。枕は投げ置くため。8ミリはフレームで女を切り取るため、また女を嫌がらせるため。電報はちぎり棄てるため。椅子が洋服掛けに。母の部屋は入らないため。木々は風に揺られるため。風はドアを閉めるため、また鳴り響くため(風が凄い)。幕、髪、ショールは風に揺られるため。椅子はショールを掛けるため、また掛かっているショールを人がかぶるため。机は人が座るため。服は叩き置くため。靴は投げ置くため。領収書は叩き置くため。タオルは投げ置くため(とにかく投げる)。弟は姉の前で着替えて怒らせるため。ブラシは放り上げてキャッチするため、また投げ置くため。酒がないのは弟と夫の2人で酒場に行かせるため、またその隙に女に母親の部屋に行かせるため。タバコは煙を吐き出すため。霧は立ち込めるため。草は風に揺られるため。崖は近づけないため。手の像は触るため。ゴミは風に舞い上げられるため。階段は人が座るため、また寝そべるため。タバコは投げ棄てるため。壁は影を投射するため。街灯は風に揺られて揺れる光を地面に投射させるため。声は鳴り響くため(オフの空間から)。ライトは消すため(3か所)。足音は鳴り響くため(オフ空間から。そうでなくても鳴り響いている)。ドアノブは回転するため。寝室のドアを閉めるのは夫でなく弟を締め出すため。鐘は鳴り響くため。地面は煙を撒き散らすため(車で走る時。まるで西部劇)。石塀は人が座るため。鍵盤はこぶしで叩くため。譜面は払い落とすため。ハンカチがうちわに。鳥は飛び立つため。フラッシュは光るため。暖炉のパイプ、花瓶、オブジェ、時計は手紙を隠すため。蓋は叩き閉めるため。カーテンは人をキャメラから遮るため。手紙は投げ棄てるため。カーテンは風に揺られるため、また揺れる影を投射させるため。睡眠中に呼ばれるのは寝たふりをしてやり過ごすため。らせん階段、柱はシルエットを投射させるため。水溜りが鏡に(女がらせん階段を逆さまに登っていく)、また波紋を生じさせるため。壁は人が寄りかかるため。柱は人が隠れるため、また人が寄りかかるため。指輪ははずして付けるため。水滴は鳴り響くため。棚は人が寄りかかるため。襟は掴むため。地面は人が座るため。暖炉は揺れる光を投射させるため。脚は頬ずりするため。地面は人が寝そべるため。暖炉は鳴り響くため(薪が燃えてパチパチ。ハリウッド映画にはあまりない)。椅子は人がすがりつくため。ドアは閉めて鳴り響くため。ガラスが鏡に(ガラスでなく家具か?)。握手はしないため。男は帰らないため。布巾は叩き置くため。義父も帰らないため。布巾は投げ棄てるため。机は人を寝そべらせるため。パーティは秘密を暴露させて夫に弟を殴らせるため。原稿は丸めて暖炉に投げ棄て燃やすため。服はひきちぎるため。背もたれ、じゅうたんは人がすがりつくため。帽子は脱ぐため。姉が式に遅刻するのは弟の死をラストシーンで知らされるため(時間に遅れているからこそ弟をよろしく、と先に家を出られる)。地面は影を投射させるため。
ロベルト・ロッセリーニ
■「無防備都市」(1945) 101分10/6
屋根は人が登るため。電話は切られるため。木は人をぶつけて揺らすため。捜索は男を女のアパートに行かせるため。机は人が座るため。悲鳴は鳴り響かせて拷問を指示させるため。パンは受け取らないため。パン屋は襲われるため。荷物を持つのはパンをもらうため。木々は風に揺られるため。人は間違えるため。お使いは断れないため。手摺は影を投射させるため。部屋には他人がいるため。格子、木々は影を投射させるため。ボールは人の頭にぶつけるため。帽子は脱ぐため。サッカーはできないため。肘と体はドアを閉めるため。壁は影を投射するため。ビーナス像は向きを変えるため。本のページが札に。薬は無いため。ピンは薬をほじくるため。瓶は落とし置くため。肘掛けは人が座るため。バッグは中身を探って怒られるため。タバコは煙を吐き出すため。肘掛けは足を掛けるため。鏡は写真を貼るため。鍋は煙を吐き出すため。ストーブがコンロに。銃は撃たれないため。弾は手紙を入れるため。紙はちぎるため。汽車は煙を撒き散らすため。髪は風に揺られるため。過激な言葉は神父に同調させるため。口笛が合図に。ストッキングを直すのは脚を見せるため。衝立がタオル掛けに。本は叩きつけるため。爆弾は鳴り響くため、また砂塵を撒き散らすため、また煙を吐き出すため、また炎の揺れる影を投射させるため。窓は人が出入りするため。机は叩くため。服は叩き置くため。約束は破らせないため。壁は人が寄りかかるため。階段は人が座るため。電話を掛けるのは不在なため。受話器は揺らすため。写真は投げ置くため。強い言葉は弱く言い直すため。ピアノは人が寄りかかるため。ドアを閉めるのはもう一人入って来るため。人はかき分けるため。バイクは地面を滑らすため。窓は女たちの脚を仰ぎ見るため。口笛が合図に。ドアを開けっぱなしにするのは閉めに行かせた子供に机の上のライフルをずらさせて爆弾を落としキャッチするため(なんという迂遠なアクション!)。ベッドは爆弾とライフルを隠すため。老人は病人にさせて看取るため。フライパンは人の頭を殴るため。聖水は顔にぶっかけるため。腕は触らせないため。捜索は恋人を連行して追いかけて来る女を撃ち殺すため(恋人はすぐに脱走している)。結婚はできないため。草は風に揺られるため。地面は煙を撒き散らすため。銃声は鳴り響くため。紙は火を点けてマッチに。ストーブは揺れる光を投射させるため。椅子がベッドに。ライターは投げ置くため。靴は落とし置くため。ストッキングを脱ぐのは脚を見せるため。ソファーがベッドに。タバコは投げ置くため。ブラインドは影を投射させるため。スカーフは授けるため。子供と抱擁するのは行き遅れて一人だけ逮捕されないため。ナイフは噛むため。女は密告するため(貧困という動機があるがそれもマクガフィンなので心理的にならない)。足はドアを蹴り開けるため。突き倒すのはメガネを落とし割るため。床は踏み鳴らすため。地面は人が座るため。帽子は払い落とすため。ナイフは手を叩くため。ドアは開けて光を差し入れるため。ローソクがマッチに。体がベッドに。タバコは投げ棄てるため。唾は吐くため。ステックは人を叩くため、また叩き置くため。バーナーは人を焼くため、また煙を吐き出すため。拷問は口を割らないため。女に死体を見せるのは失神させて着ているコートを剥ぎ取るため。人は跨ぐため。石は椅子を打ちつけるため、また投げ棄てるため。椅子は人を縛りつけるため。口笛は鳴り響くため。地面は撃って煙を吐き出すため。兵士は神父を撃てないため。銃は煙を吐き出すため。将校が酔って自己批判をするのはしらふで神父を撃ち殺すため。子供たちは目撃するため。
ロベール・ブレッソン
■「スリ」(1959) 73分 2015/1/19。
ペンは噛むため。鐘は鳴り響くため。アナウンスは鳴り響くため(ゴダール「アルファヴィル」(1965)のマイクロフォンから流れて来る声のように)。競馬を見るのはその隙にバッグから札をすられるため。蹄鉄は鳴り響くため。エンジンは鳴り響くため(全編にわたってどこからともなく街の車のエンジンの轟音が鳴り響く)。母親には会わないで女に会うため。タバコは煙を吐き出すため。足音は鳴り響くため(全編にわたり)。人はキャメラの前を横切るため。新聞は手帳を隠すため。窓枠が洋服掛けに。床はきしむため(人が歩くとみしみし)。ドアは開けて光を差し入れるため(3回ほどある)。電車は鳴り響くため。新聞は手と財布を隠すため。財布は落とし置くため。財布をするのは見破られるため。手摺は影を投射させるため。街灯、路面電車の灯は光るため(電車の中が遊園地みたいに輝いている)。袖はペンを隠すため。コインは指で回転させるため。手紙は踏んづけるため。人は影を落とすため。ガラスが鏡に。格子は影を落とすため。涙は光るため。机が鏡に。銀行は金をすらないため。タクシーに乗るのは金をすられるため。札は鳴り響くため(お札の音が心地いい)。ゲームは盗んだ金を分配するため。本は借りないため。脇の下は本を挟むため。本は叩き閉めるため。タイプライターは鳴り響くため。壁は盗品を隠すため。地面は鳴り響くため。帽子は落とすため。ベッドの足が人の腕に。ベッドは盗品を隠すため。ドアの留め金は揺れるため。飛行機アトラクションは回転するため。テントの房は風に揺られるため。椅子が洋服掛けに。遊園地は時計を盗んで転ぶため。切符売り場はハンドバッグを盗まれるため。ハンドバッグが新聞に。財布は落とし渡すため。網棚に荷物を置くのは財布をすられるため。コートは財布を隠すため。狭い通路は財布をすられるため。汽車の段差は手を差し出して時計を盗まれるため。財布は落とし棄てるため。荷車は鳴り響くため(音の映画)。本のホコリは指で拭き取り時間を指示させるため。本は叩きつけるため。パリを離れるのはその間に女に出産させるため。親友は女に子供を産ませて失踪し男に女の面倒を見させるため。カフェに行くのは警官の新聞を見て競馬場へ行きおとり捜査で逮捕されるため。木々は影を落とすため。札は落とすため。立ち上がるのは座るため。鉄格子は鳴り響くため、またその間からキスをするため(フリッツ・ラング「暗黒街の弾痕」(1937)の序盤のシーンのように)。
■「ラルジャン」(1983) 84分9/30
車は鳴り響くため(ひたすら車のエンジンの音がしている)。ヘッドライトは光の線を横切らせるため。ガラスは叩くため。札は鳴り響くため(お札を数えたり握ったりする時の音が幾度も)。親が借金苦の息子に金をやらないのは偽札を使わせるため。本は札を挟むため。本のページはめくって鳴り響かせるため。膝が机に。ガラスが鏡に。写真屋はつかまされた偽札を青年に支払って罪を着せるため。青年が燃料を入れるのは偽札をつかまされるため。机は倒して皿を割るため、またテーブルクロスをずり落とすため。レストランは偽札を支払って捕まるため。鍵は使わないため。足音は鳴り響くため(終始徹底している)。訴えは却下されるため。木々は影を落とすため。壁は人が寄りかかるため。地面は影を投射させるため。シールは剥がし落とすため。ピンハネは解雇されて世直し泥棒になって捕まり青年のいる刑務所に入るため。ドアはきしむため。質問は答えないため。木々は風に揺られるため。バイクのエンジンは鳴り響くため。バッグは閉めてボッチを鳴り響かせるため。人はキャメラの前を横切るため。ソファーがベッドに。雑誌は取り上げられるため。お尻は叩くため。地図は畳んで鳴り響かせるため。残したコーヒーは飲むため。新聞はページをめくって鳴り響かせるため。地面は鳴り響くため(まるでハリウッド映画のように車でキキーっと)。新聞を読む男は警官に驚いて逃げるため。車が盾に。銃声、笛は鳴り響くため。車が通過するのはバックして戻るため。サイレンは鳴り響くため。車は車にぶつけるため。強盗するのは捕まって刑務所に入るため。新聞は丸めるため。バッグは置いてから拾うため(何度も)。鉄格子は閉めて鳴り響かせるため(必ず扉が閉まるまで撮り続けている。閉めて音を出すために開けている)。警報、地下鉄は鳴り響くため。紙切れはポケットに入れて鳴り響かせるため。面会室は雑音を鳴り響かせるため。面会は遮断されるため。ATMの男はカードを奪われるため。手紙の検閲は紙を鳴り響かせるため(紙の音がとにかく凄い)。娘は亡くなるため。手紙は地面をこすって鳴り響かせるため、また落とし置くため。マットレスと枕はボトルを隠すため。乾杯はコップを鳴り響かせるため。窃盗は小切手で返却するため。手紙は返却させて妻の話題で青年を怒らせ独房に入れて自殺未遂させるため。杓子は振りかざすため、また地面を滑らせてから停止させ鳴り響かせるため。ブザーは鳴り響くため。荷物は運ばれるため。手紙は保留されるため。妻は別れるため。コップは地面を滑らせて鳴り響かせるため。シートは薬を隠すため。薬は飲まないため(貯めて一度に飲んで自殺しようとしたのか?)。心電図は鳴り響くため。ドアの下は影を落とすため。掃除機は鳴り響くため。ミサは物々交換するため、また脱走計画を打ち明けるため。脱走は失敗するため。近親者はいないため。ドアは叩くため。洗面台は水を鳴り響かせるため、また赤を露呈させるため。ホテルの夫婦は殺されるため。女が金をおろすのは青年に尾行させるため。小川は鳴り響くため(ひたすら)。犬は鳴くため。コップ、皿は拭くため。ドアは閉めて鳴り響かせるため。回転灯は光るため。お湯は煙を吐き出すため。殴られるのはコーヒーを手にこぼすため。毛布は落とし置くため。納屋で眠るのは斧を見つけるため。ピアノはグラスを置いて振動で落下させて割ってからちりとりに拾い集めて台所の床に置き鳴らすため(音が非常に意識されている)。エプロンは野菜を包むため(ジョン・フォードみたい)。砂利は踏み潰して鳴り響かせるため。探し物は出て来ないため。パン屋に行くのはホテルの夫婦殺しを捜査中の警官と遭遇するため。水面は波紋を生じさせるため。荷車はきしませるため。木の実は取って女と食べるため。洗濯物を干すのは青年に手伝わせるため、また洗濯バサミを鳴り響かせるため。ランプは光を投射するため。斧はドアをこじ開けるため。ドアの下は光を投射するため。階段が死体置き場に。犬は驚き回るため。ランプシェードは斧で壊し倒して消すため。壁は血痕を撒き散らすため。斧は川へ投げ棄てて水しぶきと波紋を生じさせるため。一家は皆殺しにされるため。レストランは雑音を鳴り響かせるため、また居合わせた警官に自首して客とやじ馬に囲まれるため。顔が鏡に。人はシルエットを投射させるため。