ヒッチコック年代記 

★はヒッチコック、「未」は未公開。題名が赤は失われたフィルム。W&Fは「WARDOUR FILMS」。GFDは「GENERAL FILM DISTRIBUTORS」。現存する作品は実際にクレジットを見てその順番通りに書かれているが俯瞰してサッと見ることを目的として書かれているのですべてのクレジットが書かれてはいるわけではない。原題は大文字、小文字をクレジット通りに書き直す。「白い恐怖」(1945)には「配給」に関して「UA」のクレジットの入っているバージョンと入っていないバージョンがあったりするようにここに書かれたデータは唯一絶対のデータではない。想像力で補って見ること。「製作者」の製作者、「コメント」の製作会社はクレジット以外で補って書かれた部分もあり。2024年4月9日 藤村隆史。

                   
題名・製作国・原題 製作者 撮影 脚本  原作  装置・美術  音楽 俳優 コメント
1925 快楽の園
英独・未
THE PLEASURE GARDEN
英・マイケル・バルコン、独・エーリッヒ・ポマー(クレジットなし) バロン・ヴェンティミグリア エリオット・スタナード オリヴァー・サンディス ルードヴィヒ・ライバー   ヴァージニア・ヴァリ、カメリータ・ゲラーティ(田舎から出て来た娘)、マイルズ・マンダー(狂う夫)、ジョン・スチュアート(ヴァリの元恋人)、 デビュー作。ゲインズポロー社(ノンクレジット)。ドイツのウーファ撮影所で撮る。助監督アルマ・レヴィル(クレジットあり)。アメリカのスター、ヴァージニア・ヴァリを呼び寄せる。熱病にかかって発狂するマイルズ・マンダーは「殺人!」(1930)でもチョイ役で出演。
1926 山鷲
英独・
The mountain Eagle
マイケル・バルコン、エーリッヒ・ポマー バロン・ヴェンティミグリア エリオット・スタナード ヴィリー・ライバー、ルードヴィヒ・ライバ   バーナード・ゲツケ、ニタ・ナルディ、マルコム・キーン、ジョン・ハミルトン ゲインズボロー社。マイケル・バルコンがアメリカ進出を狙いアメリカのバンプ女優、ニタ・ナルディを主演に起用。フィルム不在。
  下宿人
英・未
THE RODGER
マイケル・バルコン、カーライル・ブラックウェル バロン・ヴェンティミグリア ★(ノンクレジット)、エリオット・スタナード ベロック・ロウンデス C・ウィルフレッド・アーノルド、バートラム・エヴァンズ(以上美術)、E・マクナイト・カウファー(タイトルデザイン)   アイヴァ・ノヴェロ(下宿人)、マリー・オールト(下宿屋の女将)、アーサー・チェスニー(下宿屋の主人)、ジューン(下宿屋の娘)、マルコム・キーン(刑事) ゲインズボロー作品。配給W&F。助監督アルマ・レヴィル(クレジットあり)。大ヒット。ヒッチコック最初のイギリス映画。ヒッチコックが初めてみずからの映画に出る。アイヴァ・ノヴェロは続いて「下り坂」(1927)にも出演。刑事役のマルコム・キーンは「マンクスマン」(1928)にも出演。
1927 下り坂
英・未
DOWMHILL
CM・ウールフ、マイケル・バルコン クロード・L・マクドネル  エリオット・スタナード 戯曲・デヴィッド・レストレンジ(ペンネームはコンスタンス・コリア)、アイヴァ・ノヴェロ(ノンクレジット) バート・エヴァンズ   アイヴァ・ノヴェロ、イザベル・ジーンズ(悪女)、ロビン・アーヴィン(親友)、アネット・ベンスン・(雑貨屋の娘)、イアン・ハンター(イザベル・ジーンズの恋人)ハンナ・ジョーンズ(衣装係)、バイオレット・フェアブラザー(光に照らされる女)、 ゲインズボロー社。配給W&F。イアン・ハンターはこの後「ふしだらな女」「リング」と立て続けに出演。ミュージックホールの光線によってグロテスクに照らされた女バイオレット・フェアブラザーは次の「ふしだらな女」でロビン・アーヴィンの母親役、「殺人!」(1930)では陪審員役で出演。イザベル・ジーンズは続けて「ふしだらな女」(1927)に主演。イザベル・ジーンズの衣装係役のハンナ・ジョーンズは「シャンパン」(1928)ではキャバレーの使用人、「ゆすり」(1929)では画家の死体を発見して悲鳴を上げる管理人、「殺人!」(1930)ではフィリス・コンスタム、エドワード・チャップマン夫婦のアパートの家主、「リッチ・アンド・ストレンジ」(1932)では若夫婦のアパートの家政婦として出演している。
  ふしだらな女
英・
EASY VIRTUE
C・M・ウールフ、マイケル・バルコン クロード・L・マクドネル エリオット・スタナード 戯曲・ノエル・カワード クリフォード・ペンバー   イザベル・ジーンズ、ロビン・アーヴィン(再婚相手の青年、フランクリン・ダイアル(離婚裁判の夫)エリック・ブランスビー・ウィリアムズ(画家)、イアン・ハンター(弁護士)、バイオレット・フェアブラザー(青年の母親)。 ゲインズボロー社。配給W&F(ノンクレジット)。前作「下り坂」では脇役のイザベル・ジーンズとロビン・アーヴィンが主役に 。イザベル・ジーンズはのちに「断崖」(1941)で車に乗ってジョーン・フォンテーンの横を通り過ぎる噂好きな女を演じている。
  リング
英・

THE RING
ジョン・マックスウェル ジャック・コックス ★、潤色アルマ・レヴィル(クレジットなし) ★(クレジットなし) C・ウィルフレッド・アーノルド   カール・ブリッソン、リリアン・ホール=デイヴィス(恋人から妻へ)、イアン・ハンター(ライバルのボクサー)、フォレスター・ハーヴェイ(プロモーター)、ハリー・テリー(小屋のオーナー)、ゴードン・ハーカー(トレーナー)
ゲインズボロー社からブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズに転じての第一作。配給W&F。ヒッチコック初の原案。脚色のアルマ・レヴィはヒッチコックの妻。キャメラマンのジャック・コックスと初めて組む。ヒロインのリリアン・ホール=デイヴィスは続けて「農夫の妻」(1928)にも出演している。ゴードン・ハーカーは続けて「農夫の妻」(1928)「シャンパン」(1928)、「エルストリー・コーリング」(1929)にも出演している。主役のカール・ブリッソンは元ボクサーで「マンクスマン」(1928)にも主演。
1928 農夫の妻
英・
The Farmar's Wife
ジョン・マックスウェル ジャック・コックス エリオット・スタナード(adapted for the screen) 戯曲イーデン・フィルポッツ C・ウィルフレッド・アーノルド   ジェームソン・トーマス、リリアン・ホール=デイヴィス(家政婦)、ゴードン・ハーカー(下男)、ギル・マクラフリン、モード・ギル(見合い相手) ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品。配給W&F。キャメラマンが病気でヒッチコックみずからキャメラを回し照明もやる。「リング」のリリアン・ホール=デイヴィスが続いて出演している。
  シャンパン
英・
未CHANPAGNE
ジョン・マックスウェル  ジャック・コックス ★(構成)、エリオット・スタナード ウオルター・C・マイクロフト C・ウィルフレッド・アーノルド   ベティ・ボルファー(富豪の娘)、ジーン・バーディン(婚約者)、セオ・フォン・アルテン(探偵)、ゴードン・ハーカー(富豪の父親)。 ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品。配給W&F(クレジットなし)。「リング」ではトレーナーを「農夫の妻」では下男を演じていたゴードン・ハーカーが父親役。
    製作者 撮影 脚本 原作 装置・美術 音楽 俳優 コメント
マンクスマン
英・未
THE MANXMAN
ジョン・マックスウェル ジャック・コックス エリオット・スタナード サー・トマス・ヘンリー・ホール・ケイン原作 C・ウィルフレッド・アーノルド   カール・ブリッソン(漁師)、マルコム・キーン(弁護士)、アニー・オンドラ(旅館の娘)、ランドル・エイルトン(オンドラの父)、クレア・グリート(オンドラの母)。 ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品。配給W&F。ヒッチコック最後のサイレント映画。「マンクスマン」とはアイルランド海に浮かぶマン島人のこと。「リング」に続いてカール・ブリッソンが主演。「下宿人」(1926)の刑事マルコム・キーンがアニー・オンドラの浮気相手の弁護士として出演。アニー・オンドラは続く「ゆすり」でも主演。
1929 ゆすり
英・
BLACKMAIL
ジョン・マックスウェル ジャック・コックス ★(Adapted=構成)、ベン・W・レヴィ(ダイアローグ) チャールズ・ベネット(戯曲) C・ウィルフレッド・アーノルド キャンベル・&コネリー アニー・オンドラ、サラ・オールグット(オンドラの母親)、チャールズ・ペイトン(父親)、ジョン・ロングデン(刑事)、ドナルド・カールスロップ(ゆすり屋)、しりる・リチャード(画家)、ハンナ・ジョーンズ(画家のアパートの管理人)、ハーヴェイ・ブラバン(主任警部)、フィリス・コンスタム(ナイフ!と連呼する女・ノンクレジット) ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品。配給W&F。ヒッチコックのトーキー第一作は英のトーキー第一作。「マンクスマン」に続いてアニー・オンドラが主役。 ドイツ人のため英語が話せずアニー・オンドラの声はのちに「リッチ・アンド・ストレンジ」(1932)で主演する英女優ジョーン・バリーが同時録音の吹き替えをした。サラ・オールグッドが映画初出演、母親役で出演。チャールズ・ベネットと初めて組む。刑事役のロングデンはその後「ジュノーと孔雀」(1930)の弁護士役、「スキンゲーム」(1931)でエドマンド・グウェインの長男役、)、「第3逃亡者」(1937)の刑事役、「巌窟の野獣」(1939)の警官隊役で出演している画家の死体を発見して悲鳴を上げる管理人のハンナ・ジョーンズは「下り坂」参照。ゆすり男のドナルド・カールスロップは「殺人!」(1930)でも舞台俳優のチョイ役で、「第十七番」(1932)でも敵ボスとして出演。「ナイフ!」と連呼する女フィリス・コンスタムは「殺人!」(1930)参照。
1930 エルストリー・コーリング
英・未
ELSTREE CALLING
            ゴードン・ハーカー 監督エイドリアン・ブルネル。ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品。現存。ヒッチコックは1つか2つのシークエンスを撮っただけとされる。
  ジュノーと孔雀
英・未
Juno and the Paycock
ジョン・マックスウェル ジャック・コックス ★(Adapted=構成)、アルマ・レヴィル(シナリオ) 戯曲ショーン・オケーシー  ジェームズ・マーチャント、ノーマン・アーノルド(ノンクレジット)。   バリー・フィッツジェラルド、マリー・オニール(マディガン夫人)、エドワード・チャップマン船長)、シドニー・モーガン(ジョクサー)、サラ・オールグッド(母親)、ジョン・ローリー(息子)、デイブ・モリス(娘の恋人)、キャサリーン・オリガン()、ジョン・ロングデン(弁護士)、 ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品。配給W&F。アイルランドの俳優で撮る。「ゆすり」のサラ・オールグッドが続いて母親役で出演。 エドワード・チャップマンは次作の「殺人!」(1930)、「スキンゲーム」(1931)と二本続けて出演しているが、それぞれまったく違う性質の人物を演じ分けていて、普通に見ていると同一人物に見えない。これがイギリス流役者術。息子のジョン・ローリーは「三十九夜」(1935)の農家の厳格な夫役を演じている。バリー・フィッツジェラルドは唯一のヒッチコック出演作品。
  殺人!
英・未MURDER
ジョン・マックスウェル ジャック・コックス ★、ウォルター・マイクロフト(以上構成)、アルマ・レヴィル(シナリオ) 小説・戯曲・クレメンス・デイン、ヘレン・シンプスン ジョン・ミード ジョン・レウンダース ハーバート・マーシャル、ノラ・ベアリング(被疑者の女優)、フィリス・コンスタム(演出家の妻)、エドワード・チャップマン(演出家)、マイルズ・マンダー、エスメ・パーシー(真犯人)、ドナルド・カールスロップ(舞台俳優)、ハンナ・ジョーンズ(アパートの家主)、ウナ・オコナー(子沢山の巡査の妻)、バイオレット・フェアブラザー(陪審員) ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品。配給W&F。ドイツ版も存在する。モノローグを試行する。ハーバート・マーシャルは「海外特派員」とこの二本に出演。演出家の妻を演じたフィリス・コンスタムは次作の「スキンゲーム」(1931)のクロエ役で出演。さらにノンクレジットで「シャンパン」(1928)にも出演しているらしく、「ゆすり」(1929)で「ナイフ!ナイフ!」と連呼する女もこのフィリス・コンスタム。それぞれがまったく違う雰囲気の役を演じ分けている。陪審員長役で出ているR.E. ジェフリーは次作「スキンゲーム」(1931)に密告者役として出演。
  題名・製作国・原題 製作者 撮影 脚本 原作 装置・美術 音楽 俳優 コメント
1931 いかさま勝負
英・未
THE SKIN GAME
ジョン・マックスウェル ジャック・コックス ★構成。アルマ・レヴィル(シナリオ)  
ジョン・ゴールズワージー原作の戯曲
J・B・マックスウェル   C・V・フランス(当主)、ヘレン・ヘイ(妻)、ジル・エスモンド(娘、以上ヒルクリスト家)、エドマンド・グウェイン(成金)、ジョン・ロングデン(長男)、フィリス・コンスタム(嫁)、フランク・ロートン(次男、以上ホーンブローワー家)、ハーバート・ロス、ドラ・グレゴリー(以上ジャックマンズ家)、エドワード・チャップマン、R・E・ジェフリー(密告者)、ジョージ・バンクロフト、ロナルド・フランカウ ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品。配給W&F。キャメラを4台使って撮った、とヒッチコック。エドマンド・グウェインは「海外特派員」の殺し屋役、さらに「ハリーの災難」にも出演。
1932 リッチ・アンド・ストレンジ
英・未
Rich and Strange
ジョン・マックスウェル ジャック・コックス、チャールズ・マーティン ★構成。アルマ・レヴィル、ヴァル・ヴァレンタイン(以上シナリオ) デイル・コリンズ C・ウィルフレッド・アーノルド ハル・ドルフ、指揮ジョン・ラインダース ヘンリー・ケンドール、ジョーン・バリー、パーシー・マーモント(紳士)、ベティ・アマン、エルシー・ランドルフ(コミカルな女性)、以下ノンクレジット。ハンナ・ジョーンズ(アパートの家政婦)、ベティ・アマン(王女)。 ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品配給W&F。女の脚が細くなる。 パーシー・マーモントはこの後「間諜最後の日」「第3逃亡者」に出演。主演のジョーン・バリーは「ゆすり」(1929)で英語のしゃべれないアニー・オンドラの声の吹き替えをしている。コミカルな中年女を演じたエルシー・ランドルフはイギリスレビューの人気女優で40年後に「フレンジー」(1972)でジョン・フィンチを密告するホテルの受付の女の役で出演している。
  第十七番
英・
Number Seventeen
ジョン・マックスウェル ジャック・コックス ★、アルマ・レヴィル、ロドニー・アクランド 戯曲・小説ジェファースン・ファージョン C・ウィルフレッド・アーノルド A・ハリス レオン・M・ライオン、アン・グレイ、ジョン・ステュアート(刑事)、ドナルド・カールスロップ(敵ボス)、バリー・ジョーンズ、アン・カッスン(屋根から落ちて来る娘)。 ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品。ドナルド・カールスロップは「ゆすり」(1929)のゆすり屋を演じ、「殺人!」(1930)でもチョイ役で出演している。
1933 ウィーンからのワルツ
英・

WALTZES from VIENNA
トム・アーノルドプロダクション グレン・マクウィリアムズ ガイ・ボルトン、アルマ・レヴィル(以上シナリオ) ガイ・ボルトン(戯曲) オスカー・・ウエンドルフ ヨハン・シュトラウス(父と息子) ジェシー・マシューズ、エドマンド・グウェイン、フェイ・コンプトン、 ゴーモン・ブリティッシュ作品。トム・アーノルドブロへ。初のコスチューム・プレイ
1934 暗殺者の家

The MAN WHO NEW TOO MUCH
マイケル・バルコン、アイヴァ・モンタギュ カート・クーラント エドウィン・グリーンウッド、A・R・ロウリンスン チャールズ・ベネット、D・B・ウィンダム・ルイス アレフレッド・ユンゲ アーサー・ベンジャミンルイズ・レヴィ (音楽指揮) レスリー・バンクス、エドナ・ベスト、ピーター・ローレ、フランク・ヴォスパー(ポマードの射撃の名手)、、ヒュー・ウェイクフィールド(親友)、ノヴァ・ピルビーム娘)、ピエール・フレネー、シスリー・オーツ(看護師)、D・A・クラーク・スミス(警部)、ジョージ・カーズン(外務省秘書官ギブソン) ゴーモンブリティッシュ作品。再びマイケル・バルコンに拾われ、ゴーモン・ブリティッシュへ。ハンガリー出身のピーター・ローレのイギリス映画初出演。イギリス時代の最大のヒット作。アメリカでも大ヒット。最初に殺されるフランス人はピエール・フレネー。リメイク版ではダニエル・ジェランが演じた。日本で初めて公開されたヒッチコック映画。少女役のノヴァ・ピルビーム(14)18歳で「第三逃亡者」のヒロイン役として再度出演。外務省の秘書官ギブソンを演じたジョージ・カーズンは「第3逃亡者」(1937)の「まばたき男」として出演。
1935 三十九夜

THE 39
 STEPS
マイケル・バルコン・アイヴァ・モンタギュ バーナード・ノウルズ チャールズ・ベネット(構成)、アルマ・レヴィル(コンテ)、イアン・ヘイ(ダイアローグ) ジョン・バカン オットー・ウエンドルフ、アルバート・ジュリオン(ノンクレジット) ルイズ・レヴィ ロバート・ドーナット、マデリーン・キャロル、ルシー・マンハイム(女スパイ)、ゴッドフリー・ティアール(小指のない教授)、ペギー・アシュクロフト(農夫の妻マーガレット)、ジョン・ローリー(農夫)、ヘレン・ヘイ(教授の妻)、フランク・セリア(シェリフ)、ウィリー・ワトスン(ミスター・メモリー)、ペギー・シンプソン(メイド)、フレデリック・パイパー(牛乳屋・ノンクレジット) ゴーモンブリティッシュ作品。ヒッチコックの敬愛するジョン・バカンの原作。マクガフィンが四方八方に炸裂する強烈な作品。マデリーン・キャロルはイギリスの女優だが当時既にジョン・フォード「世界は動く」(1934)でハリウッド映画に出演していた。次作「間諜最後の日」(1936)のヒロインとしても出演。ジョン・ローリは「ジュノーと孔雀」(1930)の息子役で出演している。
    製作者 撮影 脚本 原作 装置・美術 音楽 俳優 コメント
1936 間諜最後の日

SECRET
AGENT
マイケル・バルコン・アイヴァ・モンタギュ バーナード・ノウルズ チャールズ・ベネット、イアン・ヘイ(ダイアローグ)、アルマ・レヴィル(コンテ)、ジェシー・ラスキー・ジュニア(アディショナル・ダイアローグ) 戯曲キャンベル・ディクスン、小説サマセット・モーム「アシェンデン」 オットー・ウエンドルフ、アルバート・ジュリオン(ノンクレジット) ルイズ・レヴィ マデリーン・キャロル、ジョン・ギールグッド、ピーター・ローレ、ロバート・ヤング、パーシー・マーモント(間違って殺される男)、フローレンス・カーン(その妻)、チャールズ・カースン(R)、リリー・パメマー(リリー) ゴーモンブリティッシュ作品。第一次大戦期のスパイもの。「三十九夜」のマデリーン・キャロルと「暗殺者の家」(1934)のピーター・ローレが再び出演。原題はよく「THE SECRET AGENT」とされているが実際は「THE」が付かない。馭者を演じたのはフランスの舞台俳優ミシェル・サン=ドニ。
  サボタージュ
英・未
SABOTAGE
マイケル・バルコン、アイヴァ・モンタギュ バーナード・ノウルズ チャールズ・ベネット(脚本)、イアン・ヘイ、ヘレン・シンプソン(以上ダイアローグ)、アルマ・レヴィル(コンテ)、E・V・H・エメット(アディショナル・ダイアローグ) ジョゼフ・コンラッド「THESECRET
AGENT
オットー・ウエンドルフ、アルバート・ジュリオン(ノンクレジット) ルイズ・レヴィ シルヴィア・シドニー、オスカー・ホモルカ、ジョン・ロダー(刑事)、デズモンド・テスター(シドニーの弟)、ジョイス・バーブア(ルネ)、マシュー・ボウルトン(警視)、S・J・ウォーミントン、ウィリアム・デューハースト(教授) ゴーモンブリティッシュ作品。挿入アニメーションはウォルト・ディズニー(クレジットあり)。子供を爆弾で死なせたシークエンスについてヒッチコックはしきりに後悔している。
1937 3逃亡者

Young and Innocent
エドワード・ブラック  バーナード・ノウルズ チャールズ・ベネット
エドウィン・グリーンウッド
アンソニー・アームストロング(以上脚本)
ジェラルド・サヴォリ(ダイアローグ)
アルマ・レヴィル(コンテ)
ジョセフィーン・ティ アルフレッド・ユンゲ ルイズ・レヴィ ノヴァ・ピルビーム、デリック・デ・マーニー、パーシー・マーモント、エドワード・リグビー(浮浪者)メリー・クレア(ノヴァ・ピルビームの伯母、ジョン・ロングデン(警部補)、ジョージ・カーズン(まばたき男)、ベイジル・ラドフォード(ピルビームの伯父)、パメラ・カーム(映画女優)、ジョージ・メリット(巡査部長代理)、J・H・ロバーツ(弁護士)、ジェリー・ヴァーノ(トラック運転手)、H・F・モルトビー(巡査部長)、ジョン・ミラー(警官) ゲインズボロー(ノンクレジット)=ゴーモンブリティッシュ作品。配給GFD。「暗殺者の家」(1934)で誘拐される子供を演じたノヴァ・ピルビームがヒロイン。見事な変貌を遂げている。ノヴァ・ピルビームの叔父役で出演のベイジル・ラドフォードは次の「バルカン超特急」(1938)「巌窟の野獣」(1939)と3作続けて出演、伯母役のメリー・クレアも「バルカン超特急」に伯爵夫人役として続けて出演。「まばはき男」ジョージ・カーズンは「暗殺者の家」(1934)でイギリス外務省の秘書官ギブソン役で「巌窟の野獣」(1939)ではチャールズ・ロートンの知人役で出演している。
1936 バルカン超特急

The Lady Vanishes
エドワード・ブラック ジャック・コックス シドニー・ギリアット
フランク・ロンダー(以上脚本)、
アルマ・レヴィル(コンテ)
エセル・リナ・ホワイト アレック・ヴェチンスキー、モーリス・カーター(ノンクレジット)、アルバート・ジュリオン(ノンクレジット) ルイズ・レヴィ マーガレット・ロックウッド、マイケル・レッドグレープ、ポール・ルーカス(博士)、ディム・メイ・ウィッティ(消える女)、セシル・パーカー、リンデン・トラヴァース、メリー・クレア(男爵夫人)、ノートン・ウェイン(英国紳士2人組)、ベイジル・ラドフォード(英国紳士2人組)、エミール・ボレオ(ホテルの主人)、グーギー・ウィザース(女スパイ) ゲインズボロー作品。配給ゴーモンブリティッシュ(ノンクレジット)。本物の列車の車輛を一台使っただけ。あとはすべてスクリーンプロセスとミニチュアで撮る。ディム・メイ・ウィッティは「断崖」(1941)でジョーン・フォンテーンの母役で出演。ベイジル・ラドフォードとノートン・ウェインの英紳士コンビはキャロル・リード「ミュンヘンへの夜行列車」(1940)でもまったく同じ役柄で出演している。
1939 巌窟の野獣

JAMAICA INN
エーリッヒ・ポマー、チャールズ・ロートン ハリー・ストラドリング、バーナード・ノウルズ、 シドニー・ギリアット(脚本、ダイアローグ)、、ジョーン・ハリソン(脚本)、アルマ・レヴィル(コンテ化か、J・B・プリーストリー(アディショナルダイアローグ) ダフネ・デュ・モーリア トーマス・N・モラハン(セッティング)、ハリー・ワット(特殊効果) エリック・ファンビー、フレデリック・ルイス(指揮) チャールズ・ロートン、レスリー・バンクス。モーリン・オハラ、エムリン・ウィリアムズ、ロバート・ニュートン、マリー・ネイ(オハラの叔母)、ウィリー・ワトソン、ベイジル・ラドフォード、ジョン・ロングデン(警官隊・ノンクレジット)。以上、役者のクレジットの順序が特異なので並べ替えて提示。 メイフラワー・ピクチャーズ作品。配給アソシエーテッド・ブリティッシュ(ノンクレジット)。エーリッヒ・ポマーとは処女作「快楽の園」(1925)以来に組む。ボス、ジョン役には「暗殺者の家」(1934)のレスリー・バンクスが演じているが、強烈なメイクから同一人物には見えない。チャールズ・ロートンは「パラダイン夫人の恋」(1947)にも出演。大ヒット。ダフネ・デュ・モーリアの原作はその後「レベッカ」(1940)、「鳥」(1963)でも採用。
  以降、国の記載のない作品はアメリカ作品 製作者 撮影 脚本 原作 美術 音楽 俳優 コメント
1940 レベッカRevecca デヴィッド・O・セルズニック ショージ・バーンズ ロバート・E・シャーウッド、ジョーン・ハリソン(以上脚本)、フィリップ・マクドナルド、マイケル・ホーガン(以上構成) ダフネ・デュ・モーリア ライル・ホイラー(美術)、ジョセフ・B・プラット(インテリアデザイン)、ジャック・コスグロープ(特殊効果)、ハワード・ブリストル(インテリアデコレーション) フランツ・ワックスマン ローレンス・オリヴィエ、ジョーン・フォンテイン、ジョージ・サンダース(遊び人)、ジュディス・アンダーソン(家政婦)、グラディス・クーパー(オリヴィエの姉)、ナイジェル・ブルース(義兄)、レジナルド・デニー、セシル・オーブリー・スミス(財産管理人)、フローレンス・ベイツ(意地悪な女主人)、、メルヴィル・クーパー、レオ・G・キャロル(医者)、 セルズニック・インターナショナル・ピクチャーズ作品。配給UA(ノンクレジット)。アメリカ初の作品。アカデミー賞作品賞。フローレンス・ベイツはヒッチコックが舞台から引っ張ってきた女優で映画初出演。ジョージ・サンダースは次の「海外特派員」(1940)に続いて出演。ジョーン・フォンテーンはナイジェル・ブルースと共に「断崖」(1941)と二度の出演。医師役のレオ・G・キャロルは続いて「断崖」(1941)「白い恐怖」(1945)「パラダイン夫人の恋」(1947)「見知らぬ乗客」(1951)「北北西に進路を取れ」(1959)とヒッチコックの俳優では最多の六本に出演。次はケーリー・グラントとジェームズ・スチュワートの4本。
  海外特派員
Foreign Correspondent
ウォルター・ウェンジャー ルドルフ・マテ チャールズ・ベネット、ジョーン・ハリソン(以上脚本)、ジェームズ・ヒルトン、ロバート・ベンチリー(以上ダイアローグ)   アレグザンダー・ゴリツェン(美術)ウィリアム・キャメロン・メンジス(特殊演出効果) アレフレッド・ニューマン ジョエル・マックリー、ラレイン・デイ、ハーバート・マーシャル、ジョージ・サンダース(記者)、アルバート・バッサーマン(誘拐される男)、ロバート・ベンチリー(記者)、エドマンド・グウェイン(殺し屋)、エドゥワルド・チアネリ、 ハリー・ダヴェンポート(編集長)、マーティン・コスレック、以下ノンクレジット イアン・ウルフ、フランシス・カーソン(ロンドンの午餐会で知り合う女)、チャールズ・ホールトン(記者) ウォルター・ウェンジャー=ユナイト。配給UA。B級映画プロデューサ、ウォルター・ウェンジャー、そしてルドルフ・マテのヒッチコック映画参加はこの作品だけ。ストーリーの大筋を決めたのはウェンジャー。最後はベン・ヘクトが脚本と台詞を仕上げる。ナチのゲッペルスが大好きな映画。ハーバート・マーシャルの家の召使役のイアン・ウルフは「逃走迷路」(1942)でもオットー・クルーガーの屋敷の使用人として出演。フランシス・カーソンは「逃走迷路」(1942)の慈善パーティでアルマ・クルーガーを呼びに来る女の役で、また「疑惑の影」(1943)では未亡人役で出演。記者でチョイ役のチャールズ・ホールトンは続く「スミス夫妻」(1941)でロバート・モンゴメリーに結婚無効を告げる役人ディーバを、「逃走迷路」(1942)では保安官役で出演している。
1941 スミス夫妻
Mr. εMrs. Smith
ハリー・E・エディントン  ハリー・ストラドリング ノーマン・クラスナ  ノーマン・クラスナ  ヴァン・ネスト・ポルグレイズ(美術)、ヴァーノン・L・ウォーカー(特殊効果)、L・P・ウィリアムズ ロイ・ウェッブ、エドワード・ウォード(スコア) キャロル・ロンバート、ロバート・モンゴメリー、ジーン・レイモンド、ジャック・カーソン、フィリップ・メリヴェール(カスター氏)、ルシル・ワトソン(カスター夫人)、マーレイ・アルパー(タクシー運転手)、チャールズ・ホールトン(役人ディーバ) RKO作品・配給。日本で89年に劇場公開。 タクシー運転手役のマーレイ・アルパーはその後「逃走迷路」(1942)のトラック運転手、「見知らぬ乗客」(1951)の遊園地のボート係として出演。助監督にジュールス・ダッシン。
  断崖
Susption
  ハリー・ストラドリング サムソン・ラファエルソン、ジョーン・ハリソン、アルマ・レヴィル フランシス・アイルズ ヴァン・ネスト・ポルグレイズ(美術)、ヴァーノン・L・ウォーカー(特殊効果)、キャロル・クラーク(美術アソシエート) フランツ・ワックスマン ケイリー・グラント、ジョーン・フォンテーン、セドリック・ハードウィック(フォンテーンの父)、ナイジェル・ブルース(親友)、ディム・メイ・ウィッティ(母)、イザベル・ジーンズ(車に乗っている女)、レオ・G・キャロル(不動産屋)、ヘザー・エンジェル(メイド)、オーリオル・リー(小説家)、 RKO作品・配給。ヒッチコックとフォンテインはセルズニックからの貸し出し(クレジットあり)。モーリン・オハラで撮る予定がフォンテーンになる。ケーリー・グラントはヒッチコック映画初出演。その後「汚名」(1946)、「泥棒成金」(1955)、「北北西に進路を取れ」(1959)に出演。フォンテーンがアカデミー主演女優賞受賞。セドリック・ハードウィックは「ロープ」(1948)にも出演。イザベル・ジーンズは「ふしだらな女」(1927)以来の出演。メイドのヘザー・エンジェルは「救命艇」(1944)で赤ん坊の母親役で出演。
1942 逃走迷路Saboteur フランク・ロイドプロダクション、ジャック・H・スカーバル ジョセフ・バレンタイン ピーター・ヴィアテル、ジョーン・ハリソン、ドロシー・パーカー ★原案。ノンクレジット ジャック・オターソン、ロバート・ボイル(アソシエート) チャールズ・プレヴィン、フランク・スキナ=(スコア) プリシラ・レイン、ロバート・カミングス、オットー・クルーガー(敵ボス)、アラン・バクスター(子供を溺愛する若いスパイ)、クレム・ベヴァンス、ノーマン・ロイド、アルマ・クルーガー(サットン夫人)、以下はノンクレジット→ボウハン・グレイザー(盲人)、ペドロ・デ・コルドバ(サーカス団団長)、ビリー・カーティス(小柄の大佐)、イアン・ウルフ(敵ボスの召使い)、、マーレイ・アルパー(トラック運転手)、フランシス・カーソン(慈善パーティでアルマ・クルーガーを呼びに来る女)チャールズ・ホールトン(保安官)。 ユニヴァーサル作品・配給。企画セルズニックがユニヴァーサルに売った初のユニヴァーサル作品。ヒッチコックはセルズニックから貸し出される(クレジットあり)。撮影中真珠湾が攻撃される。ユニヴァーサルに俳優を押し付けられた。オットー・クルーガーの役はハリー・ケリーにやらせたかった。ジョン・ハウスマンがノーマン・ロイドを見つけロイドは生涯ヒッチコックの朋友となる。ノーマン・ロイドは「白い恐怖」(1945)の患者役でも出演。
1943 疑惑の影
Shadow of a doubt
ジャック・H・スカーバル ジョセフ・ヴァレンタイン ソートン・ワイルダー、サリー・ベンソン、アルマ・レヴィル、 ゴードン・マクドネル ジョン・B・グッドマン、ロバート・ボイル(アソシエート)、R・A・ガウスマン(セットデザイン)、E・R・ロビンソン(アソシエート) ディミトリ・ティオムキン テレサ・ライト、ジョセフ・コットン、マクドナルド・ケリー(刑事)、ヘンリー・トラヴァース(父親)、パトリシア・コリンジ(母親)、ヒューム・クローニン(殺人推理マニア)、ウォーレス・フォード(刑事)、エドナ・メイ・ウォルコット(妹)、チャールズ・ベイツ(弟)、アーヴィング・ベーコン(駅長?)、クラレンス・ミューズ(寝台車の駅員)、ジャネット・ショー(同級生で酒場のウエイトレス)、エステル・ジュエル(メガネをかけた友だち)、フランシス・カーソン(未亡人・ノンクレジット) ユニヴァーサル作品・配給。ヒッチコックはセルズニックから貸し出される。ソートン・ワイルダーの協力にヒッチコックは感謝し冒頭賛辞を捧げている。ヒューム・クローニンの映画デビュー作。彼は続いて「救命艇」に出演。ウォーレス・フォードは「白い恐怖」(1945)でホテルのベンチでバーグマンにちょっかいを出す迷惑男として出演。「白い恐怖」(1945)のラストシーンの駅員役で出演しているアーヴィング・ベーコンがクレジットされているがどこにも見当たらない、、、
    製作者 撮影 脚本 原作 装置・美術 音楽 俳優 コメント
  救命艇

LIFEBORT
★ヒッチコックプロダクション、ケネス・マックゴワン  グレン・マック・ウィリアムズ ジョー・スワーリング ジョン・スタインベック ジェイムズ・バセヴィ、モーリス・ランスフォード(以上美術)、トーマス・リトル、フランク・E・ヒコュージェス(以上セットデコレーション)、フレッド・サースン(特殊効果) ヒューゴ・フリードホーファー(音楽)、エミール・ニューマン(指揮) タルラ・バンクヘッド(記者)、ウィリアム・ベンディックス(足を切断される男)、ヴァルター・シュレザーク(ドイツ人船長)、メアリー・アンダーソン(看護師)、ジョン・ホディアク(エンジン質の労働者)、ヘンリー・ハル(富豪)、ヘザー・エンジェル(赤ん坊の母親)、ヒューム・クローニン、カナダ・リー(黒人コック) 20世紀フォックス作品・配給。最後はベン・ヘクトが脚本の手直しに加わる。ドイツ人船長役のヴァルター・シュレザークはカール・ドライヤー「ミカエル」(1924)の主人公のきりりとした青年。
1945 白い恐怖SPELLBOUND デヴィッド・O・セルズニック ジョージ・バーンズ ベン・ヘクト(脚本)、アンガス・マックフェイル(構成)、メイ・E・ロム(精神分析顧問) フランシス・ビーディング ジェイムズ・バセヴィ(美術)、ジョン・エウイング(アソシエート)、ジャック・コスグローブ(特殊効果)、サルバドール・ダリ(夢のシーンのデザイン) ミクロス・ローザ イングリッド・バーグマン、グレゴリー・ペック、 マイケル・チェーホフ(恩師の教授)レオ・G・キャロル(院長)、ロンダ・フレミング(患者)、ジョン・エマリー、ノーマン・ロイド(患者)、ウォーレス・フォード(ホテルのロビーの迷惑な男)、アーヴィング・ベーコン(ラストシーンの駅員・ノンクレジット)、 セルズニック・インターナショナル作品。UA配給。夢のシーンのデザインはサルバドール・ダリ。バーグマンは次の「汚名」(1946)「山羊座のもとで」(1949)に出演。音楽のミクロス・ローザがアカデミー賞獲得。配収700万ドルの大ヒット。
1946 汚名
Notorious
★・バーバラ・ケオン テッド・テズラフ ベン・ヘクト   ヴァーノン・L・ウォーカー、ポール・イーグラー(以上特殊効果)、アルバート・S・ダゴスティーノ、キャロル・クラーク(以上美術)、ダレル・シルヴェラ、クロード・カーペンター(以上セットデコレーション)、 ロイ・ウエッブ ケーリー・グラント、イングリッド・バーグマン、ケーリー・グラント、クロード・レインズ、ルイス・カルハーン、レオポルディン・コンスタンティン、レインホルド・シュンツェル(科学者)、マローニ・オルセン、アイヴァン・トリーソール(車で同僚のナチを殺した男)、アレクシス・ミノティス、DAクロムシュミット(殺される敵スパイ・ノンクレジット RKO製作・配給。セルズニックがまるごとRKOに売り飛ばしたという説(クレジットには『セルズニックと提携』とある)。ワーナー・ブラザーズのハル・B・ウォリスがRKOに売ったという説もあり錯綜している。企画をヒッチコックが引き受けベン・ヘクトとふたりで脚本を書く。200万ドルの製作費で800万ドルの純益をあげる。原爆を扱ったせいでヒッチコックは3ヶ月FBIに尾行される。
1947
パラダイン夫人の恋
THE PARADINE CASE

デヴィッド・O・セルズニック リー・ガームス デヴィッド・O・セルズニック(脚本)、アルマ・レヴィル(構成) ロバート・ヒチェンス ジョゼフ・マクミラン(プロダクションデザイン)、、トーマス・N・モラハン(美術) フランツ・ワックスマン グレゴリー・ペック、アン・トッド(ペックの妻)、チャールズ・ロートン(判事)、チャールズ・コバーン(弁護士)、エセル・バリモア、ルイ・ジュールダン、アリダ・ヴァリ、レオ・G・キャロル(検事)、ジョーン・テッツェル(コバーンの娘)、イゾベル・エルソム セルズニック・インターナショナル作品。配給セルズニック・リリーシング・オーガニゼーション。ルイ・ジュールダンとアリダ・ヴァリ(クレジットはValli)はセルズニックの新星、とクレジットされている)。アリダ・ヴァリの役にはグレタ・ガルボを画策したが失敗とヒッチコック。セルズニックと組んだ最後の作品。ベン・ヘクトがノンクレジットで参加
1948 ロープ
ROPE
★・シドニー・バーンスタイン ジョセフ・ヴァレンタイン、ウィリアム・V・スコール ヒューム・クローニン(構成)、アーサー・ローレンス(脚本) パトリック・ハミルトン(戯曲) ペリー・ファーグスン(美術。「市民ケーン」(1941)の美術補佐)、エミール・キュリー、ハワード・ブリストル(以上装置) レオ・F・フォーブスタイン ジェームズ・スチュワート、ジョン・ドール、ファーリー・グレンジャー、サー・セドリック・ハードウィック(被害者の父)、コンスタンス・コリアー、ダグラス・ディック(ケネス)、イーディス・エヴァンソン(家政婦)、ディック・ホーガン(デーヴィット・殺される男)、ジョーン・チャンドラー(ジョン・ドールの元恋人)、 トランスアトランティック・ピクチャーズ作品。配給ワーナー。 62年日本公開。ヒッチコック初のカラー映画。ヒッチコックが初めて独立プロデューサとして撮った作品。ベン・ヘクトがノンクレジットで参加。ジョン・ドールの役はこの年デビューのモンゴメリー・クリフトにやらせたかったらしい。家政婦役のイーディス・エヴァンソンは「マーニー」(1964)の耳の遠い掃除婦役で出演。ファーリー・グレンジャーは「見知らぬ乗客」(1951)の主人公でも出演。
1949 山羊座のもとに
英・

UNDER CAPRICORN
★・シドニー・バーンスタイン ジャック・カーディフ、ポール・ビースン、イアン・クレイグ、テ゜イウ゜ィッド・マックネイリージャック・ヘイスト ジェイムズ・ブライディ(脚本)、ヒューム・クローニン(構成) ヘレン・シンプスン トーマス・N・モナハン リチャード・アディンセル(スコア)、ルイ・レヴィ(指揮) イングリッド・バーグマン、ジョセフ・コットン、マイケル・ワイルディング(アイルランド貴族)、マーガレット・レイトン(家政婦)、セシル・パーカー(知事)、デニス・オディア(検事総長)、ジャック・ワトリング(秘書ウインター) トランスアトランティック・ピクチャーズ。配給ワーナー。イギリスで撮る。三作目にして最後のコステューム・プレイ。「ロープ」に次いでヒッチコックが独立プロデューサとなって撮った。カラー。バーグマン、コットンはセルズニックから貸し出される。完成直前にバーグマンはロッセリーニと知り合いその後イタリアへ駆け落ち。マイケル・ワイルディングは次の「舞台恐怖症」(1950)に続けて出演。ヒューム・クローニンにシナリオの協力を頼んでしまったのが間違い。脚本にジェイムズ・ブライディを起用したのも間違いとヒッチコック。バーグマンは長回しに怒り狂ったとヒッチコック。
1950 舞台恐怖症

STAGE FRIGHT
ウィルキー・クーパー ホイットフィールド・クック、アルマ・レヴィル(構成) セルウィン・ジェプスン、 テレンス・ヴェリティ レイントン・ルーカス、ルイ・レヴィ(指揮) ジェーン・ワイマン、マレーネ・デートリッヒ、マイケル・ワイルディング(警視)、リチャード・トッド、アラステア・シム(ワイマンの父)、、シビル・ソーンダイク(ワイマンの母)、ケイ・ウォルシュ、マイルズ・マルソン、ヘクター・マクレガー(デートリッヒのマネージャー)、パトリシア・ヒッチコック、 ワーナー・ブラザーズ=ファースト・ナショナル作品。配給ワーナー。モノクロ。ロンドンで撮影。ジェーン・ワイマンはロナルド・ケーガンと離婚直後に出演。アルマ・レヴィル最後のクレジット。偽りの回想が問題となる。
    製作者 撮影 脚本 原作 美術・装置 音楽 俳優 コメント
1951 見知らぬ乗客Strangers On A Train ロバート・バークス レイモンド・チャンドラー、チェンチ・オーモンド(以上脚本)、ホイットフィールド・クック(構成) パトリシア・ハイスミス  エドワード・S・ハワース(美術)、ジョージ・ジェイムズ・ホプキンス(セットデコレーション) ディミトリ・ティオムキン ファーリー・グレンジャー、ルース・ローマン、ロバート・ウォーカー、レオ・G・キャロル(ルース・ローマンの父親)、パトリシア・ヒッチコック(ローマンの妹)、ローラ・エリオット(殺される妻)、マリオン・ローン(ウォーカーの母)、ジョナサン・ヘイル、ハワード・セイント・ジョン、ジョン・ブラウン(列車で出会った教授)、ノーマ・バーデン(パーティで首を絞められる女)、ロバート・ギスト、マーレイ・アルパー(貸しボート係・ノンクレジット) ワーナー・ブラザーズ=ファースト・ナショナル作品・配給。モノクロ。ファーリー・グレンジャーはサミュエル・ゴールドウィンから貸し出される(クレジットあり)。前二作の不評を挽回。ヒッチコック自信が選んだ題材。クレジットのチャンドラーとは上手く行かず。犯人役のロバート・ウォーカーは翌年急死。ファーリー・グレンジャーではなくウィリアム・ホールデンにやらせたかったとヒッチコック。
1952 私は告白する
I Confess
★、バーバラ・ケオン ロバート・バークス ジョージ・タボリ、ウィリアム・アーチボルド ポール・アンセルメ(戯曲) エドワード・S・ハワース(美術)、ジョージ・ジェイムズ・ホプキンス(セットデコレーター) ディミトリ・ティオムキン、レイ・ハインドーフ(指揮) モンゴメリー・クリフト、アン・バクスター、カール・マルデン(刑事)、ブライアン・アハーン(検事)OE・ハッセ(使用人)、ロジャー・ダン(バクスターの夫)、ドリー・ハース(使用人の妻)、シャルル・アンドレ(ミレ神父)、オヴィラ・ルガール(弁護士・ノンクレジット) ワーナー・ブラザーズ=ファースト・ナショナル作品・配給。モノクロ。いやいや買わされた企画とヒッチコック。モンゴメリー・クリフト、カール・マルデンはアクターズ・スタジオ出身。ヒッチコックはアン・バクスターの代わりに「令嬢ジュリー」に出演したアニタ・ビョルクを使いたかった。
1954 ダイヤルMを廻せ!
DIAL M FOR MURDER
ロバート・バークス フレデリック・ノット フレデリック・ノット(戯曲) エドワード・キャレール(美術)、ジョージ・ジェイムズ・ホプキンス(セットデコレーター) ディミトリ・ティオムキン レイ・ミランド、グレース・ケリー、ロバート・カミングス(ケリーの恋人)、ジョン・ウィリアムズ(刑事)、アンソニー・ドーソン(殺される男)、レオ・ブリット、パトリック・アレン、ジョージ・リー、ジョージ・オルダーソン(刑事)、ロビン・ヒューズ(巡査) ワーナー・ブラザーズ=ファースト・ナショナル作品・配給。カラー。3D用に撮られたが3Dブームが去ったため公開は普通版となる。グレース・ケリー初のヒッチコック出演。その後「裏窓」(1954)「泥棒成金」(1955)と二本続けて出演。「逃走迷路」(1942)のロバート・カミングスがグレース・ケリーの恋人役。刑事のジョン・ウィリアムズは「泥棒成金」(1955)でも出演。
  裏窓
REAR WINDOW
ロバート・バークス ジョン・マイクル・ヘイズ コーネル・ウールリッチ ハル・ペレイラ、ジョゼフ・マクミラン・ジョンスン(以上美術)、サム・コマー、レイ・メイヤー(セットデコレーション) フランツ・ワックスマン ジェームズ・スチュワート、グレース・ケリー、ウェンディル・コリー(友人の刑事)、セルマ・リッター(家政婦)、、レイモンド・バー(向かいのアパートの男)、ジュディス・イヴリン(ミス・ロンリーハート)、ロス・バグダサリアン(作曲家)、ジョジーヌ・ダーシー(踊り子)、サラ・バーナー(ベランダで寝ている子犬の飼い主の女)、フランク・キャディ(ベランダで寝ている男)、ジェスリン・ファクス(女性彫刻家)、ランド・ハーパー(新婚の夫)、アイリーン・ウィンストン、ヘイヴィス・ダヴェンポート(新婚の妻) パラマウント作品・配給。カラー。アパート全体が実物大のセット。ヒッチコックは「純粋な見た目のショットの映画だね」と語っている。
1955 泥棒成金
TO CATCH A THIEF
ロバート・バークス ジョン・マイクル・ヘイズ デヴィッド・ドッジ ハル・ペレイラ、ジョゼフ・マクミラン・ジョンスン(以上美術)、ジョン・P・フルトン(特殊効果)、サム・コマー、アーサー・クラムズ(以上セットデコレーション) リン・マーレイ(スコア) ケーリー・グラント、グレース・ケリー、ジェシー・ロイス・ランディス(ケリーの母)、ジョン・ウィリアムズ、シャルル・ヴァネル、ブリジット・オベール(ダニエル)、ジャン・マルティネリ(ダニエルの父)、ジョルジェット・アニス(家政婦) パラマウント作品・配給。ビスタビジョン。引退していたケーリー・グラントがヒッチコックに「グレース・ケリーとキスさせてやるから出ろ」と言われて出る。
1956 ハリーの災難
THE TROUBLE WITH HARRY
★、ハーバート・コールマン ロバート・バークス ジョン・マイクル・ヘイズ  ジャック・トレヴァー ハル・ペレイラ、ジョン・グッドマン(以上美術)、ジョン・P・フルトン(特殊効果)、サム・コマー、エミール・クリ(以上セットデコレーション) バーナード・ハーマン(音楽)、挿入歌作詞マック・デヴィッド、作曲レイモンド・スコット) エドマンド・グウェイン(船長)、ジョン・フォーサイス(画家)、シャーリー・マクレーン、ミルドレッド・ナトウィック、ミルドレッド・ダンノック(雑貨屋の女主人)、ジェリー・マザーズ(少年)、ロイヤル・ダノ(保安官)、パーカー・フェネリー(富豪)、バリー・マッカラム(浮浪者)、ドワイト・マーフィールド(医師) パラマウント作品・配給。ビスタビジョン。カラー。31日で撮られる。シャーリー・マクレーン映画初出演。ジョン・フォーサイスはこの後「トパーズ」(1969)で出演・ヒッチコック劇場にも常連として出る。
    製作者 撮影 脚本 原作 装置・美術 音楽 俳優 コメント
  知りすぎていた男
THE MAN WHO KNEW TOO MUCH
★、ハーバート・コールマン ロバート・バークス ジョン・マイクル・ヘイズ 、アンガス・マックフェイル  チャールズ・ベネット、DB・ウィンダム・ルイス ハル・ペレイラ、ヘンリー・バムステッド(以上美術)、ジョン・P・フルトン(特殊効果)、サム・コマー、アーサー・クラムズ(以上セットデコレーション) バーナード・ハーマン(音楽)。挿入歌「ケ・セラ・セラ」はジェイ・リビングストン作詞レイ・エバンズ作曲。アルバートホールの曲はアーサー・ベンジャミン作曲DB・ウィンダム=ルイス作詞「ストーム・クラウド・カンタータ」 ジェームズ・スチュワート、ドリス・デイ、、ブレンダ・デ・バンジー(スパイ夫婦の妻)、バーナード・マイルズ(スパイ夫婦の)、ラルフ・トルーマン(警部)、ダニエル・ジェラン(殺されるエージェント)、モーゲンズ・ヴィース(大使)、アラン・モーブレイ(来客)、ヒラリー・ブルック(来客の美人)、クリストファー・オルセン(息子)、レジー・ナルダー(暗殺者)、アリックス・タルトン(来客の美人)、キャロリン・ジョーンズ(来客の美人)、 フィルワイト・プロダクションズ作品・配給パラマウント。カラー。パラマウントの意向で「暗殺者の家」(1934)をセルフリメイク。音楽のバーナード・ハーマンは指揮者で出演。美術のヘンリー・バムステッドと初めて組む。
1957 間違えられた男
THE WRONG MAN
★、ハーバート・コールマン ロバート・バークス マックスウェル・アンダーソン、アンガス・マックフェイル  マックスウェル・アンダーソン ポール・シルバート(美術)、ウィリアム・L・キュエール(セットデコレーション) バーナード・ハーマン ヘンリー・フォンダ、ヴェラ・マイルズ、アンソニー・クエイル(弁護士)、ハロルド・J・ストーン(警部)、チャールズ・クーパー(刑事)、リチャード・ロビンズ(犯人) ワーナー・ブラザーズ=ファースト・ナショナル作品・配給。モノクロ。ヒッチコック初の実話の映画化。
1958 めまい
VERTIGO
★、ハーバート・コールマン ロバート・バークス アレック・コペル、サミュエル・テイラー ピエール・ボワロー、トーマ・ナルスジャック  ハル・ペレイラ、ヘンリー・バムステッド(以上美術)、ジョン・P・フルトン(特殊効果)、サム・コマー、フランク・マッケルヴェイ(以上セットデコレーション)、ソール・バス(タイトルデザイン) バーナード・ハーマン  ジェームズ・スチュワート、キム・ノヴァク、バーバラ・ベル・ゲデス、トム・ヘルモア(友人)、ヘンリー・ジョーンズ(検視官)、レイモンド・ベイリー(医師)、エレン・コービー(ホテルの支配人)、コンスタンティン・シェイン(本屋の主人)、リー・パトリック(ノヴァクから譲り受けた車の持ち主) パラマウント作品・配給。ビスタビジョン。カラー。以降「サイコ」(1960)以外はすべてカラー。ヒッチコックはヴェラ・マイルズのために構想したがヴェラ・マイルズが妊娠ため果たせず。ヒットせず。
1959 北北西に進路を取れ
NORTH BY NORTHWEST
★、ハーバート・コールマン ロバート・バークス  アーネスト・レーマン   ロバート・ボイル(プロダクションデザイン)、、ウィリアム・A・ホーニング、メリル・パイ(以上美術)、ヘンリー・グレイス、フランク・マッケルヴェイ(以上セットディレクション)、A・アーノルド・ギレスピー、リー・ルブラン(以上特殊効果)、ソール・バス(タイトルデザイン) バーナード・ハーマン ケーリー・グラント、エヴァ・マリー・セイント、ジェイムズ・メイスン、ジェシー・ロイス・ランディス(グラントの母親)、レオ・G・キャロル(『教授』)、ジョセフィーン・ハッチンソン(家政婦)、フィリップ・オバー(背中を刺されて殺される男)、マーティン・ランドー(敵スパイ)、アダム・ウィリアムズ(ナイフ使い) MGM作品・配給。初のMGM作品。ビスタビジョン。エヴァ・マリー・セイントはアクターズ・スタジオ出身。ヒッチコックはシド・チャリシーをヒロインにしたかった。終盤の隠れ家は、フランク・ロイド・ライトの設計した邸のコピー。ラストシーンで列車がトンネルの中に入ってゆくのは男根のシンボル
1960 サイコ
PSYCHO
ジョン・L・ラッセル ジョゼフ・ステファーノ ロバート・ブロック ジョゼフ・ハーレイ、ロバート・クラトウォーシー(美術)、ジョージ・ミロ(セットディレクター)、ソール・バス(タイトルデザイン、ピクトリアル・コンサルタント)、クラレンス・シャンペイン(特殊効果) バーナード・ハーマン ジャネット・リー、アンソニー・パーキンス、ヴェラ・マイルズ(妹)、ジョン・ギャヴィン(恋人)、マーティン・バルサム(探偵)、ジョン・マッキンタイア(保安官)、サイモン・オークランド(精神科医)、ボーン・テイラー(不動産屋の支配人)、フランク・アルバートソン(不動産の取引相手)、ルーリーン・タトル(保安官夫人)、パトリシア・ヒッチコック(不動産屋の社員)、ジョン・アンダーソン(中古車屋)、モート・ミルズ(パトカーの警官) パラマウント作品・配給。モノクロ。製作費わずか80万ドルで大ヒット。テレビのスタッフで撮る。オーソン・ウェルズ「黒い罠」(1957)との共通点の挙げられる作品だが、「黒い罠」のラストシーンで受信機を肩から下げた刑事(モート・ミルズ)が「サイコ」てサングラスをかけてジャネット・リーを検問するパトカーの警官。モート・ミルズは「引き裂かれたカーテン」(1966)でトラクターを運転する農夫役でも出演している。
1963
THE BIRDS
ロバート・バークス エヴァン・ハンター ダフネ・デュ・モーリア ロバート・ボイル(プロダクションデザイン)、アブ・アイワークス(特撮費門)、ローレンス・A・ハンプトン(特殊効果)、ジョージ・ミロ(セットデコレーション) レミ・ガスマン、オスカー・サラ(以上電子音楽)、バーナード・ハーマン(音響顧問) ロッド・テイラー、ティッピ・ヘドレン、ジェシカ・ダンディ、スザンナ・プレシェット、ベロニカ・カートライト、エセル・グリフィス(鳥類学者)、チャールズ・マッグロウ(レストランの漁師)、ドリーン・ラング(レストランのヒステリックな母親) ユニヴァーサル作品・配給。音楽のない映画。はじめて電子で効果音を出す。雀が暖炉から入って来たあとのシークエンスについて初めて即興演出をする。ティッピ・ヘドレンの映画デビュー作。ティッピ・ヘドレンは続いて「マーニー」(1964)にも出演。子役のベロニカ・カートライトは後年リドリー・スコット「エイリアン」(1979)に出演。
    製作者 撮影 脚本 原作 装置・美術 音楽 俳優 コメント
1964 マーニー
MANIE
ロバート・バークス ジェイ・プレッスン・アレン ウィンストン・グレアム ロバート・ボイル(プロダクションデザイン)、ジョージ・ミロ(セットデコレーション) バーナード・ハーマン ティッピ・ヘドレン、ショーン・コネリー、ダイアン・ベイカーコネリーの義妹)、マーティン・ギャベル(経理部長)。ルイーズ・ラサム(ヘドレンの母親)、ボブ・スウィニー、ミルトン・セルザー(競馬場のしつこい男)、マリエット・ハートレイ(秘書)、アラン・ネイピア、ブルース・ダーン(水兵)、ヘンリー・ベックマン(刑事)、S・ジョン・ラウナー、イーディス・エヴァンソン(耳の遠い掃除夫)、メグ・ウィリー ユニヴァーサル作品・配給。ヒッチコックはグレース・ケリーで撮りたかった。撮影中に大統領のケネディが暗殺される。ロバート・バークス、バーナード・ハーマン、編集のジョージ・トマシーニとはこれが最後の仕事となる。
1966 引き裂かれたカーテン
TORN CURTAIN
ジョン・F・ウォーレン ブライアン・ムーア フランク・アリゴ(美術)、ヘイン・ヘックロス(プロダクションデザイン)、ジョージ・ミロ(セットデコレーション) ジョン・アディソン ポール・ニューマン、ジュリー・アンドリュース、リラ・ケドロヴァ(亡命希望の伯爵夫人)、ハンスイェルク・フェレミー(秘密国家警察ボス)タマラ・トゥマノーヴァ(バレリーナ)、ウォルフガング・キーリング(オーブンで焼かれる男)ルドウィッヒ・ドナト(教授)、ギュンター・ストラック(マンフレッド教授)、ダヴィット・オパトシュ(ヤコビ氏)、ゲセラ・フィッシャー(女医)、モート・ミルズ(農夫)、キャロリン・コンウェル(農夫の妻)、アーサー・ゴールド=ポーター(フレディ)、グロリア・ゴーヴィン(マン嬢) ユニヴァーサル作品・配給。実話にヒントを得たヒッチコックがブライアン・ムーアらに書かせる。ポール・ニューマン、ジュリー・アンドリュースはヒッチコックの希望でキャスティングされたのではないとのこと。バーナード・ハーマンとの確執で彼との最後の作品となる。照明はほとんど自然光をレフ版に反射させて、どのシーンも薄いグレーの紗をかけて撮影。
1969 トパーズ
TOPAZ
★、ハーバート・コールマン ジャック・ヒルドヤード サミュエル・テイラー レオン・ユリス ジョン・オースティン(セットデコレーション)、ヘンリー・バムステッド(プロダクションデザイナー) モーリス・ジャール フレデリック・スタフォード、ダニー・ロバン()、ジョン・ヴァーノン(キューバの幹部)、カレン・ドール(未亡人)、ミシェル・ピッコリ、フィリップ・ノワレ、クロード・ジャド(娘)、ミシェル・シュボール(娘婿)、ジョン・フォーサイス、ロスコー・リー(黒人の部下) ユニヴァーサル作品。ヒッチコックの企画でなく、原作からキャスティングまですべて押し付けられて撮る。
1972 フレンジー
FRENZY
★、ウィリフム・ヒル ジル・テイラー アンソニー・シェーファー アーサー・ラ・バーン シドニー・ケイン(プロダクションデザイン)、ボブ・レイング(美術)、ブライアン・バージェス(プロダクションマネージャ) ロン・グットセウィン(音楽構成・指揮) ジョン・フィンチ(ブレイニー)、アレック・マッコーエン(警部)、バリー・フォスター(ラスク)ビリー・ホワイトロウ(戦友の妻)アンナ・マッセイ(ウエイトレス)、バーバラ・リー=ハント(元妻)バーナード・クリヴィンス(パブの店長)、ヴィヴィアン・マーチャント(警部夫人)マイクル・ベイツ(警部の部下)ジーン・マーシュ(秘書)、クライヴ・スウィフト(戦友)、ジョン・ボクサー(テムズ河畔で演説する男)、ジョー・トヴィ(結婚相談所の客の男)、マッジ・ライアン(結婚相談所の客の女)、エルシー・ランドルフ(ホテルの受付の女)、ジミー・ガードナー(ホテルの守衛)、ジェラルド・シム(パブの弁護士)、ノエル・ジョンソン(パブの医者)、 ユニヴァーサル作品。「舞台恐怖症」(1950)以来21年ぶりに故郷のロンドンで撮る。音楽はヘンリー・マンシーニが途中で降ろされる。ホテルの受付嬢のエルシー・ランドルフは「リッチ・アンド・ストレンジ」(1932)以来の出演
1976 ファミリープロット
FAMIRY PLOT
レナード・J・サウス  アーネスト・レーマン ヴィクター・カニング
ヘンリー・バムステッド(プロダクションデザイナー)、アルバート・ウィットロック(特殊効果)、ジェームズ・W・ペイン(セットデコレーション)
ジョン・ウィリアムズ カレン・ブラック(誘拐犯)、バーバラ・ハリス(占い師)、ブルース・ダーン(タクシー運転手)、ウィリアム・ディヴェイン(誘拐犯)、エド・ローター(ガソリンスタンドの男)、キャスリーン・ネスビット(資産家の老婦人)、キャスリン・ヘルモンド(ガソリンスタンドの男の妻)、ウォーレン・J・ケマリング、イディス・アトウォーター、ウィリアム・プリンス(司教)、ニコラス・コラサント、マージ・レッドモンド、ジョン・レーネ、チャールズ・タイナー(石屋)、アレクサンター・ロックウッド、マーティン・ウエスト、 ユニヴァーサル作品・配給。53本目のヒッチコック映画で遺作。ヒッチコック73歳。脚本は「北北西に進路を取れ」(1959)以来のアーネスト・レーマン。音楽のジョン・ウィリアムズと初めて組む。ブルース・ダーンの役はアル・パチーノに頼みたかったがギャラが高くて実現せず。
  題名・製作国・原題 製作者 撮影 脚本 原作 装置・美術 音楽 俳優 コメント


ヒッチコック年代記